上 下
19 / 57

魔力

しおりを挟む
俺はオリービアの手を見つめていた。

最近落ち着いたようにみえた俺の魔力、
だが今は、魔力暴走を起こす前触れだった。
感情が抑えれない未熟な自分。
周りを巻き込みたくない。
今までに何度か、魔力暴走をおこし、
そのたびに、自分自身の内側に
魔力を向けたが……。
優秀な医師や魔術師により、俺の命は
助かってしまった。

えぐれた地面、部屋の壁やカーテンは
ズタボロ。高級な茶器は粉々になり
えぐれた部屋の地面に、散乱している。


"俺は誰も傷つけたくない。"
"俺の魔力よ、俺の中に……。"
"痛い。身体が痛い。バラバラになりそうだ。".
"いっそう…このままバラバラになれば
"楽なのに……。"
"まだ、俺は生きてるのか?"
"助からなければいいのに。"
"このまま消えたい。"

"ダメ!!"

"…ん?誰?"
あれ?身体が軽くなった?


なぜ、俺はこんなにも無駄に魔力が
多いんだ?
成人したと同時に、前から打診があった
魔術師団特別筆頭に就任した。
魔術師団の特別枠で戦闘時に先陣をきる役。
魔術師団特別筆頭、ありがたくもない肩書を
手に入れた。
真っ先に戦いに切り込みし、敵を蹴散らす。
要は、戦闘時において一番死に近い位置を
手に入れた。
割と平和な国だか、俺が生まれて15年
過去2回程、国境沿いで争いがあったそうだ。


急に身体の力が抜ける感覚があった。
気づいた時には、オリービアが
俺に抱きついていた。
俺はまた、生きているのか?
抱き締めかえそうと、手を回そうとしたが
力が入りにくい。
俺はオリービアに押し倒される形で
後ろに倒れていった。
はずだった……。

「うわぁぁ…私ったらナイスキャッチだわ。
ヴィル王子、可愛い。オリービアの
おまけ付きだけどね。」
「う……っ。」
俺は、シンディー…じゃなくてジヴァーディは
俺を庇うように背中からすっぽりと
抱き締める感じで、助けて?くれた。
「あ、ありがとう。」
「いや~ん、可愛い。ヴィル様大好き。ちゅっ。」
「「「……。」」」

「シヴァーディー・カテドラル辺境伯
速やかに私の息子から、離れなさい。」
「そうよ。シヴァーディー・カテドラル
辺境伯、私の可愛いヴィルちゃんから、
離れなさい。」
「ショーオ様、ハル様、酷い。せっかく
助けたのに……。倒れそうになったヴィル様が
あまりにも儚げで可愛いから、
助けたお礼、報酬がわりにほっぺにちゅー
しただけなのに、酷いわ。」
「「「……。」」」
「ヴィルが嫌がってるじゃないの。もぉ~。」

お、俺は、ほっぺにちゅーされたのか?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-

猫まんじゅう
恋愛
 そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。  無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。  筈だったのです······が? ◆◇◆  「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」  拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?  「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」  溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない? ◆◇◆ 安心保障のR15設定。 描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。 ゆるゆる設定のコメディ要素あり。 つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。 ※妊娠に関する内容を含みます。 【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】 こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)

【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!

りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。 食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。 だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。 食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。 パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。 そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。 王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。 そんなの自分でしろ!!!!!

【完結】どうして殺されたのですか?貴方達の愛はもう要りません  

たろ
恋愛
処刑されたエリーゼ。 何もしていないのに冤罪で…… 死んだと思ったら6歳に戻った。 さっき処刑されたばかりなので、悔しさも怖さも痛さも残ったまま巻き戻った。 絶対に許さない! 今更わたしに優しくしても遅い! 恨みしかない、父親と殿下! 絶対に復讐してやる! ★設定はかなりゆるめです ★あまりシリアスではありません ★よくある話を書いてみたかったんです!!

猛禽令嬢は王太子の溺愛を知らない

高遠すばる
恋愛
幼い頃、婚約者を庇って負った怪我のせいで目つきの悪い猛禽令嬢こと侯爵令嬢アリアナ・カレンデュラは、ある日、この世界は前世の自分がプレイしていた乙女ゲーム「マジカル・愛ラブユー」の世界で、自分はそのゲームの悪役令嬢だと気が付いた。 王太子であり婚約者でもあるフリードリヒ・ヴァン・アレンドロを心から愛しているアリアナは、それが破滅を呼ぶと分かっていてもヒロインをいじめることをやめられなかった。 最近ではフリードリヒとの仲もギクシャクして、目すら合わせてもらえない。 あとは断罪を待つばかりのアリアナに、フリードリヒが告げた言葉とはーー……! 積み重なった誤解が織りなす、溺愛・激重感情ラブコメディ! ※王太子の愛が重いです。

あの子を好きな旦那様

はるきりょう
恋愛
「クレアが好きなんだ」  目の前の男がそう言うのをただ、黙って聞いていた。目の奥に、熱い何かがあるようで、真剣な想いであることはすぐにわかった。きっと、嬉しかったはずだ。その名前が、自分の名前だったら。そう思いながらローラ・グレイは小さく頷く。 ※小説家になろうサイト様に掲載してあります。

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした

風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。 一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。 平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません! というか、婚約者にされそうです!

行き遅れにされた女騎士団長はやんごとなきお方に愛される

めもぐあい
恋愛
「ババアは、早く辞めたらいいのにな。辞めれる要素がないから無理か? ギャハハ」  ーーおーい。しっかり本人に聞こえてますからねー。今度の遠征の時、覚えてろよ!!  テレーズ・リヴィエ、31歳。騎士団の第4師団長で、テイム担当の魔物の騎士。 『テレーズを陰日向になって守る会』なる組織を、他の師団長達が作っていたらしく、お陰で恋愛経験0。  新人訓練に潜入していた、王弟のマクシムに外堀を埋められ、いつの間にか女性騎士団の団長に祭り上げられ、マクシムとは公認の仲に。  アラサー女騎士が、いつの間にかやんごとなきお方に愛されている話。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

処理中です...