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帰城 2
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スール公爵の妻と話しながら
いつの間にか、城に着いていた。
オリービアは、穏やかな表情のまま
眠ったままだった。
こんこん。
馬車の扉がノックされた。
「ヴィル様、御到着致しました。」
「ああ。侍医はいるか?」
「はい、お部屋にて待機しております。」
「助かる、ありがとう。」
「もったなきお言葉、ありがとうございます。」
俺は小さなオリービアをお姫様抱っこ
しながら、馬車から降りた。
出迎えていた皆が、ざわついていた。
どうせ、俺が女の子に触れてるからだろう。
俺がやってしまったかのように言う
使用人は、さすがにここにはいないが
そういう目で見られている事は
なんとなくわかる。
次に、使用人の手をかりて、
スール侯爵の妻が降りて来た。
「ア、アリメラちゃん?」
「えっ?ハルちゃん、あっ、ハル様?」
えっ?
スール公爵の妻が、アリメラさんで、
母、王妃の知り合い?
2台目の馬車から降りてきたのが、
シンディーと、スール公爵の長男と
次男だった。
「げっ、ま、まさか、ハル姫?」
げってなんだよ、シンディー。
一応じゃないが、この国の王妃に
向かって、げっは、ないだろう。
「あーーーっ。行方不明の
カテドラル辺境伯の、えーっと、
うー、シー?シヴァゾーノ?シヴァーディー?」
「シンディーです。」
「えーっ、それ、絶対ちがうでしょう。
その名前、あっ、たしかお姉様の…
愛称?お名前でしょ。シヴァーディー。」
一瞬、ハル王妃とシヴァーディーの
表情がわずかにくもった。
「うっ。相変わらずボケても、よろしい
ご年齢のはずなのに、ハル姫、わたくし
そんな硬っ苦しい名前捨てて、シンディーと
して、生まれ変わったんです。」
母、王妃は、迫力ある笑顔で、
シンディーを睨みつけていた。
この笑顔の時はヤバい時だ。
「あーそうなんだ。確か今年28歳くらいの
カテドラル辺境伯のバカ長男は次男に
押し付けて爵位を継がせようと
画策したらしいわね。そして、バカ長男は
流れの魔術師になるって
訳わからない書き置きをして10年近く
行方不明になってたみたいね。
シヴァーディー・カテドラル辺境伯。
弟君が心配して捜索願い出されてるわよ。」
「……。」
シヴァーディー?
「シンディー…。えーと、シヴァーディー
君は男なのか?」
「「「「えっ?」」」」
「「「はっ?」」」
まわりが、違う意味でザワザワしていた。
「ヴィル?これが女性に見えるの?」
王妃は、堂々とシンディーと名乗る
シヴァーディーをコレ扱いし指差ししていた。
「は、母、お、王妃、いや…。
疑ってはいたんですが…女性に対して
男っぽくみえた事とか、名前も女性ですし
女性の可能性があったから年齢や色々
聞いたら失礼かと思ったので……。」
「はあ~。どこからどう見ても、変態っ…。」
「ごほっ。失礼。ヴィル、信じてあげるのは
素晴らしい事だけど、これに関しては
信じるのはやめなさい。あなたの将来が
あやぶまれます。」
「…はい。」
王妃付きの執事に促され、ひとまず客間に
案内をし、オリービアだけ侍医に
診せることにした。
夜も遅いとのことで、軽食後、
お風呂に案内されたあと、
それぞれ客室で休む事になった。
なんだか、精神的にどっと 疲れた
1日になってしまった。
いつの間にか、城に着いていた。
オリービアは、穏やかな表情のまま
眠ったままだった。
こんこん。
馬車の扉がノックされた。
「ヴィル様、御到着致しました。」
「ああ。侍医はいるか?」
「はい、お部屋にて待機しております。」
「助かる、ありがとう。」
「もったなきお言葉、ありがとうございます。」
俺は小さなオリービアをお姫様抱っこ
しながら、馬車から降りた。
出迎えていた皆が、ざわついていた。
どうせ、俺が女の子に触れてるからだろう。
俺がやってしまったかのように言う
使用人は、さすがにここにはいないが
そういう目で見られている事は
なんとなくわかる。
次に、使用人の手をかりて、
スール侯爵の妻が降りて来た。
「ア、アリメラちゃん?」
「えっ?ハルちゃん、あっ、ハル様?」
えっ?
スール公爵の妻が、アリメラさんで、
母、王妃の知り合い?
2台目の馬車から降りてきたのが、
シンディーと、スール公爵の長男と
次男だった。
「げっ、ま、まさか、ハル姫?」
げってなんだよ、シンディー。
一応じゃないが、この国の王妃に
向かって、げっは、ないだろう。
「あーーーっ。行方不明の
カテドラル辺境伯の、えーっと、
うー、シー?シヴァゾーノ?シヴァーディー?」
「シンディーです。」
「えーっ、それ、絶対ちがうでしょう。
その名前、あっ、たしかお姉様の…
愛称?お名前でしょ。シヴァーディー。」
一瞬、ハル王妃とシヴァーディーの
表情がわずかにくもった。
「うっ。相変わらずボケても、よろしい
ご年齢のはずなのに、ハル姫、わたくし
そんな硬っ苦しい名前捨てて、シンディーと
して、生まれ変わったんです。」
母、王妃は、迫力ある笑顔で、
シンディーを睨みつけていた。
この笑顔の時はヤバい時だ。
「あーそうなんだ。確か今年28歳くらいの
カテドラル辺境伯のバカ長男は次男に
押し付けて爵位を継がせようと
画策したらしいわね。そして、バカ長男は
流れの魔術師になるって
訳わからない書き置きをして10年近く
行方不明になってたみたいね。
シヴァーディー・カテドラル辺境伯。
弟君が心配して捜索願い出されてるわよ。」
「……。」
シヴァーディー?
「シンディー…。えーと、シヴァーディー
君は男なのか?」
「「「「えっ?」」」」
「「「はっ?」」」
まわりが、違う意味でザワザワしていた。
「ヴィル?これが女性に見えるの?」
王妃は、堂々とシンディーと名乗る
シヴァーディーをコレ扱いし指差ししていた。
「は、母、お、王妃、いや…。
疑ってはいたんですが…女性に対して
男っぽくみえた事とか、名前も女性ですし
女性の可能性があったから年齢や色々
聞いたら失礼かと思ったので……。」
「はあ~。どこからどう見ても、変態っ…。」
「ごほっ。失礼。ヴィル、信じてあげるのは
素晴らしい事だけど、これに関しては
信じるのはやめなさい。あなたの将来が
あやぶまれます。」
「…はい。」
王妃付きの執事に促され、ひとまず客間に
案内をし、オリービアだけ侍医に
診せることにした。
夜も遅いとのことで、軽食後、
お風呂に案内されたあと、
それぞれ客室で休む事になった。
なんだか、精神的にどっと 疲れた
1日になってしまった。
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