上 下
4 / 57

視線

しおりを挟む
今の自分の格好は、ほとんど
黒に近い紅色に、髪の毛とほぼ同じ
赤が入ったパーティー用のスーツ。
あまり堅苦しさはない、服装のはずだ。
姉と兄たちが、選んでくれていたものだから
特別変ではないはず。

なのに…。会場入り直後、違和感と
視線を感じた。
貴族独特のヒソヒソ話。

パートナーを共わない時点で、
何かしら問題ありの人物と思われるのは
仕方がないと思っていたが……。
これ程とは、思わなかった。


成人になって初めての、公務にあたる
今日、パートナーがわりの普段から
口うるさく思っていた姉に対して、
どれだけ俺を守ってくれていたかが
痛いほどわかった。

ヒソヒソ話の内容は、
パートナーを伴っていない事。
先祖返りの、俺の髪と目の色。
破壊王子の噂話。
髪色の、印象から派手なイメージが
あるらしく、落ち着いた色を
身につけていても、なぜか
派手になるらしいの身なり…。
自作の魔具のアクセサリーに対する
ヒソヒソ話など、多すぎる噂話。

ピアスやイヤリングは、片耳に5つずつ。
腕輪は、細めに作ったが10連。
袖に、少し隠れるしそんなに
目立たないはずだが……。

ネックレスも、数本しているが、
高いエリのおかげで、隠れている。
足輪も、ズボンの裾に隠れている。
人前だから、なるべく隠れる様な
魔具、目立たない色をつけていた。

何かおかしなところが、あるんだろうか?

遠巻きに見ていた者も、肩書きに
コビを売るように近づいてくる。

「デルラン王国第4王子、
ヴィル・フォレス・デルラン王子の御到着です。」 
 
一斉に、強い視線が突き刺さった。
後退りしかけたが、根性で踏みとどまり
主催者、スール公爵がずっとくっついていた。

その間も、俺の噂、破壊王子の名に
相応しく魔力暴走で、人を殺したとか、
人間破壊兵器だとか、聞こえよがしに
聞こえてきた。

スール公爵が申し訳なさそうにしていた。
第二子の成人の祝いの言葉と、祝いの
品を手渡した。

それから遠巻きに見られながらも、
お暇の挨拶を述べようとした。
何かに引かれるような感じと
強い視線を感じた。

「スール公爵、2階の玄関に向かって右端には
何があるんだ?」

「……。」
しおりを挟む

処理中です...