【完結】テルの異世界転換紀?!転がり落ちたら世界が変わっていた。

カヨワイさつき

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7、フェーリス国とモジェ王国

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フェーリス国とモジェ王国の国王をはじめ
国民は奇妙な魔力について不安になっていた。
数日かけて議論を交わしていた。
両国の国王たちはお互い自分の国だけが
奇妙な魔力を感じたものだと思っていた。
だが貴族から平民にいたるまで
あちこちからの声にかなり
疲弊(ひへい)していた。
数日後、奇妙な魔力はフェーリス国と
モジェ王国のほとんどの国民が
感じとった事を知ったのだった。
とてつもない大きな魔力は人なのか
それとも物なのか、はたまた魔物なのか
不明な魔力を感じたのかも分からなかった。
誰もダンジョンの幻の魔術書(禁忌)を
用いた異世界へ向けた召喚術だとは
思わなかった。
ただ召喚術をする時に使用した
魔物からの魔石や鉱石などが
反応し大きな魔力が行き場を失い
テルの身体に吸い込まれたのだった。
本来なら幻の魔術書と術者の半分の
魔力で充分だったのだ。
それはテルの両親も知らなかった。

それぞれの国は解決策を見出せないまま
時間だけが過ぎていった。
各國の貴族や騎士団、そして
国民たちに魔力の高い者が
産まれたのかもしれないとか、
ナニかに良くない者が産まれたとか
日を追うごとに疑心暗鬼になっていった。
2カ国の国王はほぼ同日同時に
国民に向けおふれを出したのだった。
何か心当たりはないかと問うために
"不審な者や何かをみつけたら必ず
ギルドか騎士団に報告する事"
中途半端なおふれの為に
"あの貴族があやしい"
"あの人が不審な物を持っているようだ"と
不確かな情報が多数入るため
冒険者ギルド、商業ギルド、そして
騎士団の情報処理が追いつかず
魔物討伐もあまり出来なくなってしまった。
あまりの忙しさと人々のあやふやな情報に
各ギルド職員や騎士団の受付など
辞める者が多くなり更に混乱していった。

特に冒険者ギルドと騎士団への
要請が機能しない為、魔物の被害が
あちこちでではじめた。
国民に多数犠牲者が出るようになり
死人返りで更に犠牲者が出てしまった。
いくつかの村には全滅し、特に人族の
被害が多く数ヶ月で約4分の1の人口が
減ってしまった。
さらに"呪いを誰かがかけたんだ"と
ウワサが流れフェーリス国とモジェ王国は
険悪になっていった。

       ***

リリー(田辺 百合・たなべ ゆり)
38歳とウェイゴー(田辺 道行・
たなべ みちゆき)45歳は今まで
さまざまな場所に冒険者として
魔物討伐をしていたが、町や
国をまたがる時、門のタマに触れ
犯罪歴の有無を調べた後、
ギルドカードを見せ通行料を払えば簡単に
フェーリス国とモジェ王国は
行き来出来ていた。だが、今では
魔力検査や何をするのかなど
さまざまなチェック項目が増えたのだった。
長い行列に数刻かかったり
手続きも複雑化したのだった。
「最近、魔物増えたわね。」
「何かおかしいな。」
町にやっと入った2人は、冒険者ギルドに
行く途中疲れた様子の黒騎士と町の
自衛団、そして町の人が言い争いをしていた。
「私たちは何もしてない。」
「おまえは絶対何か隠してるだろ!!」
困った様子の黒騎士と自衛団の人を
横目に目的の冒険者ギルドに向かった。

「何かあったの?」
「…何か、起きたんだろな。」
明らかに冒険者では無さそうな人たちが
受付に何かを言い、受付の人は
疲れた顔をしながら書き取りをしていた。
やっと順番が回ってきた頃には
涙目で疲れ切ったギルド職員が対応してくれた。
「何が起きてるんですか?」
職員が言うには約2ヶ月前に
大きな不明の魔力をほぼ全国民が
感じ取り、ひと月前に国王から
おふれが出た事を知った。

"不審な者や何かをみつけたら必ず
ギルドか騎士団に報告する事"と義務化?
2人は顔を見合わせた。
「ギルドと騎士団が機能しなくなるわけだ、な。」
顔見知りのギルド職員は、休憩も
取れないほど疲れていた。
「リリーさん、ウェイゴーさん
今日(グチ聞いてください!!)
仕事夜にはおわるはずなんで
付き合って下さい!!」
「あぁ……。」
「…わかったわ。私たちいつもの
宿に泊まってるから、終わったら
声かけて、ね。」
「ありがとうございます。」
コソコソ話しながら、魔物の討伐報告や
ドロップ品を買い取りしてもらったのだった。
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