【完結・R18】28歳の俺は異世界で保育士の仕事引き受けましたが、何やらおかしな事になりそうです。

第一章 2人の約束

6、ここはどこだ？

目覚めると異世界でした。
えーと…そして、お互いに一目惚れした
お姫様と王子様はハッピーエンドでした？！
ぱちぱちぱち(拍手)のめでたしめでたし。
あとは、剣や魔法がバリバリの異世界に
主人公が神様からチートを貰って、大活躍し
仲間や家族を作ったりして異世界で
ハッピーライフ……ってな話、
「大団円」の話たくさん読んだなぁ。
ハッピーエンドは正義。
ハッピーエンドの先はなんだろう？
ここやはり異世界だよね……？
痛いし…亡くなった……。

バイト先だった居酒屋さんの奥さんから
たまーにオススメの本を頂くけど、最近は
異世界ものの素敵な恋バナの話が多かった。
休み前や辛い時、よく読んだなあ。
シンプルな一対一の真剣な恋、
同時に好きになり、恋の相手が複数とか、
物語の皆は、本気の恋どんな気持ちなんだろう？
多少のハードルはあるものの、
恋愛って何だろう。
心が下にあると下心ありで、恋。
心が真ん中にあるのは、愛。
心に杭やタスキをかけたら、必。
心は必ず、何になるのかな？
心は、上にいくと何になるのか……。
はあ、恋愛した事ないからわからない。

物語の中の相手はイケメンと平凡、
イケメンとイケメン、スパダリとかいう、
スパダリと平凡。
スパダリ、居酒屋の奥さんが言うには
“スーパーダーリン”の略で整った容姿、
高身長、高学歴、高収入、
大人の余裕と包容力がある者で、とにかく
すごい人の高スペックな人、
スパダリと言われたらすごい褒め言葉だそうだ。
居酒屋の主人とは全然違…って、
……ゴホッ、ゴホッ。
うん、理想と現実の違いっていうやーつ？！
今年に入ってからはジャンルが変わり
5冊に1冊から、3冊に1冊の割合で、
徐々に同性の恋愛モノが増えたのだ。
俺、恋愛対象は女性だし、出来れば
自分より低い身長の女性がいい。
上目遣いや、色々、ムフフな出来事も
まだ未体験だけど……。
やっぱり初めてのアレは、好きな人としたい。
ジャンルが偏ってるのはわかっていたが……。
居酒屋の奥さんから頂いた本、男女の恋愛は
昼ドラ仕立てのドロドロ状態が多かった。
男女の恋愛って拗れやすいのか？
だけど、同性同士の恋愛ってなんだか
純粋、純愛、障害を乗り越えて白馬の王子様
以上の王子系と結ばれてる感じ。
しかも、あ、あんなとこに、挿れるって…。
アレは、気持ちいいのかなぁ？
出来れば攻めが…って、俺、な、何
考えてるるんだろう？
攻めとか受けとか、男なら攻めだ！！

えーとっ、居酒屋のバイト辞めた今でも、
お世話になったお礼がわりに月に一度は
食べに行ってるんだけど、そのたびに数冊
頂く本が楽しみになっていたのだ。
決して奥さんからのBLの本が目当てじゃない。
楽しみに…してるわけでは…ないとも言えない。
結局、何が言いたいかわからない。
現実逃避に本は、ホントありがたかった。
……ダジャレじゃない。

昔堅気の考えの両親は俺が保育士になる夢に
対して反対的な意見だった。
保育士の資格を取った日、親父とケンカをし
数日後に一人暮らしをした。
だけど3年前親父が病気で亡くなり、
２年前、母も同じ病気でなくなったのだ。
今は謝る事すら出来なくなってしまった。
家を飛び出してからはすぐに働くつもり
だったのに、未経験の俺は認可のおりた
保育園や託児所どころか、保育士の
仕事が出来なかった。
なぜか面接に全て落ちたのだ。仕方なく
安アパートから一番近い居酒屋で
バイトしながら就職探しをしたのだ。
バイトの掛け持ち、ヒョロガリの俺は
彼女とかもいなかった。
あるのは保育士の資格と、客商売、
飲食店仕込みの営業スマイル。

結局は、店長と店長の奥さんヅテに
託児所を紹介してもらい、念願の
保育士になれたのだ。
保育士の先生に慣れた時、泣きそうに…
(ちょっと泣いたかも…。)なる位嬉しかった。
居酒屋の店長もお祝いしてくれたし、
俺は優しい人たちに囲まれていた。
仕事運はいいかも。
可愛い子たちの寝顔、たまにグズリ泣きの子を
見ながらの昼夜逆転生活。
今日も朝からよく寝たぞっ！！
さあ、起きよう！！
変な夢を見た気がしたが、まぁ……いい。
あれ、血の味がする。
チュク、チュク、チュク……。
何んだろ？血の味と思ったけど？？
あれぇ、なんだろう？果実酒？
チュク、チュク、クチュ……。
口の中の何かがビクッとした。
「おいひぃ……もっちょ。ほひぃー。」
"美味しいからもっと欲しい"
そう思って夢中に舐めていたのだが、
身体がふわぁとしたかと思えば、
熱くなり、足に痛みを感じた瞬間
痛みが引いていった。
甘くて、暖かくて、美味しい。

ふぇぇーん、ふぇぇーん。
んっ？アレ？寝すごしたのか？
まずい、早く起きて子どもたちを
落ち着かせなければ……。
この泣き声は、え～と誰だ？
「ケイちゃん、コウチャン……。」
俺…先生が助けるから…泣かないで…。