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第一章 2人の約束
2、ハロー、ワーク?!
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んぎゃー。んぎゃぁ。
「……んっ。」
ガタガタガガガ……。
「@#&%#。」
泣き声……。助けなきゃ。
「ハルト」先生のように力強く優しい先生に
俺はなる為…守らなきゃ。
だけど、すごく頭が痛い。
頭だけじゃなく、体中あちこち痛い。
ガタガタガタガガガ……。
揺れてる。揺れが激しい。
ふぎゃぁ、ふあぁぁぁ……。
なんだかだんだん揺れが酷くなっていた。
重い身体に重いまぶた。
誰が泣いてるのかな。怖い夢でも見たのか?
大丈夫だよ!って落ち着かせて、
早く安心させてあげなきゃ……。
焦りながら俺は重いまぶたを開けると、
言葉を失った。
「……。」
ここは……どこだ?
目の前には、こげ茶色の髪を上品にまとめた、
きれいな若いお母さんは赤ちゃんを
抱っこしていた。
まだ慣れていなさそうな手つきで
赤ちゃんの背中をトントンしたり
左右に揺らしたりしながら、抱っこしていた。
首が座ったかどうかわからない位だし
小さな可愛い赤ちゃんが泣いている。
"あまり揺らし過ぎは良くないですよ!"
と言おうかどうか、かなり迷ってしまった。
深い森の様な色の瞳のきれいなお母さんは
赤ちゃんを泣き止まそうと必死になっている。
その隣には少し汚れた服を着た小太りの男性と
痩せ細った神経質そうな男性など
赤ちゃんを入れて5人乗っていた。
何に乗っていたのかって?
人生初の、えーっとこれは荷馬車?
幌馬車?って言うのかな?
かたい木で出来た長椅子が
向かい合わせにあり、荷物は足の下や
空いた場所に置いてあった。
お馬さんは頑張って俺たちが乗った
幌付きの馬車をひいていた。
整備されていない山道。
酷い揺れと、泣き止まない赤ちゃん。
周りからの視線を感じている女性は、
今にも泣きそうになりながらも
赤ちゃんを泣き止まそうとしていた。
「いないいなーい、ばぁ、
いないいなーい、ばぁ。」
「んぎゃ、ふぁ……。」
鈍痛する頭やひどい揺れで打ち続けたのか
お尻や身体のあちこちが痛かったが、
赤ちゃんに通じたのか、"いないいないばぁ"は
効果抜群だった。世界共通?
この場合、異世界共通"いないいないばぁ"
赤ちゃんは俺の方を見ていた。
不思議そうな顔をした紫色の目をしていた。
「…ふぁ、んん。」
「@/*。」
えっ?何?何て言ってるの?
「えーと、あのすみません。もう一度
お願いします。」
「……。」
首を傾げた俺と若いお母さん。
「「……。」」
これは言葉が通じないなと思った瞬間、
なぜか笑けてしまった。
いくらなんでもおかし過ぎる。
俺はなんだか変な夢を見てるんだ。
言葉が通じず、明らかに日本人じゃない人と
馬車に乗っているのだ。
お互い首を傾げているとキレイなお母さんは
小さな声で何かを呟き指輪を外した。
そして、しきりに手を指さししてきたのだ。
「んっ?」
手?思わず手の平を上に自分の手を
ついつい見てしまった。
その瞬間、キレイなお母さんは俺の
手の平にコロンとさっきまではめていた
指輪を置いたのだった。
濃い色の緑色の石と紫の石がついており
かっこいい感じの鳥と唐草模様の様な
デザインのお洒落な指輪だった。
「えっ?」
「うふふ。」
「えぇ?指輪?」
「はい、指輪です。」
「あれ?言葉が……。」
「はい、これで言葉が通じますね。」
「えっと、えっ?」
しばらく一時停止した俺の頭は、
キレイなお母さんが通訳のため?
「言葉が通じないと不安でしょ。」
とウインクしてキレイなお母さんは
指輪を貸してくれたのだ。
それからはお互いに自己紹介をし、
キレイなお母さんの名前がリナリアさん、
そして可愛い赤ちゃんがアベリア、
お母さん似の男の子だった。
「ホント、女の子のように可愛いです。
お母さんに似て可愛いですね。」
「まぁ、カドゥミさんてお世辞が上手いのねぇ。
でも、嬉しい、ありがとう。この子は
私の一番愛する方との子なのよ。」
うわぁ。"一番愛する方"って、こっちが
照れてしまう言い方だけど、この笑顔は
本心なんだろうなぁって思った。
"愛する“ってどういう気持ちになるのかなぁ?
キレイな人をさらに笑顔にするくらい
すごい事なんだろうな……。
俺の名前を発音しにくいのか、結局
"カドゥミ"と呼ばれる事になったのだ。
「いえいえ、お世辞じゃないです。本心ですよ。」
「あら、やだぁ。」
うふふって感じで和やかに会話が続いていた。
今回赤ちゃんと初めての遠出だったらしく、
赤ちゃんが泣き止まない事に
だんだんと不安になっていたそうだ。
俺は、リナリアさんにアベリアちゃんの
あやしかた、子守りがうまいと褒められ、
有頂天になっていた。
そして保育の仕事をしている事を伝えると、
"カナップ"という目的地まで雇いたいと
言われた俺は「ぜひお願いします。」
と即返事をしたのだった。
アベリアちゃん、赤ちゃんが再び寝た事により
周りからの視線も和らぎ、ガタガタと揺れの酷い
山道をそこそこのスピードで下っていた。
ガガガガガッガッガッ……。
タカタッタカタッタカタッ……。
ゴゴゴッ……。
怖い……。
揺れはますます酷くなっていった。
「……んっ。」
ガタガタガガガ……。
「@#&%#。」
泣き声……。助けなきゃ。
「ハルト」先生のように力強く優しい先生に
俺はなる為…守らなきゃ。
だけど、すごく頭が痛い。
頭だけじゃなく、体中あちこち痛い。
ガタガタガタガガガ……。
揺れてる。揺れが激しい。
ふぎゃぁ、ふあぁぁぁ……。
なんだかだんだん揺れが酷くなっていた。
重い身体に重いまぶた。
誰が泣いてるのかな。怖い夢でも見たのか?
大丈夫だよ!って落ち着かせて、
早く安心させてあげなきゃ……。
焦りながら俺は重いまぶたを開けると、
言葉を失った。
「……。」
ここは……どこだ?
目の前には、こげ茶色の髪を上品にまとめた、
きれいな若いお母さんは赤ちゃんを
抱っこしていた。
まだ慣れていなさそうな手つきで
赤ちゃんの背中をトントンしたり
左右に揺らしたりしながら、抱っこしていた。
首が座ったかどうかわからない位だし
小さな可愛い赤ちゃんが泣いている。
"あまり揺らし過ぎは良くないですよ!"
と言おうかどうか、かなり迷ってしまった。
深い森の様な色の瞳のきれいなお母さんは
赤ちゃんを泣き止まそうと必死になっている。
その隣には少し汚れた服を着た小太りの男性と
痩せ細った神経質そうな男性など
赤ちゃんを入れて5人乗っていた。
何に乗っていたのかって?
人生初の、えーっとこれは荷馬車?
幌馬車?って言うのかな?
かたい木で出来た長椅子が
向かい合わせにあり、荷物は足の下や
空いた場所に置いてあった。
お馬さんは頑張って俺たちが乗った
幌付きの馬車をひいていた。
整備されていない山道。
酷い揺れと、泣き止まない赤ちゃん。
周りからの視線を感じている女性は、
今にも泣きそうになりながらも
赤ちゃんを泣き止まそうとしていた。
「いないいなーい、ばぁ、
いないいなーい、ばぁ。」
「んぎゃ、ふぁ……。」
鈍痛する頭やひどい揺れで打ち続けたのか
お尻や身体のあちこちが痛かったが、
赤ちゃんに通じたのか、"いないいないばぁ"は
効果抜群だった。世界共通?
この場合、異世界共通"いないいないばぁ"
赤ちゃんは俺の方を見ていた。
不思議そうな顔をした紫色の目をしていた。
「…ふぁ、んん。」
「@/*。」
えっ?何?何て言ってるの?
「えーと、あのすみません。もう一度
お願いします。」
「……。」
首を傾げた俺と若いお母さん。
「「……。」」
これは言葉が通じないなと思った瞬間、
なぜか笑けてしまった。
いくらなんでもおかし過ぎる。
俺はなんだか変な夢を見てるんだ。
言葉が通じず、明らかに日本人じゃない人と
馬車に乗っているのだ。
お互い首を傾げているとキレイなお母さんは
小さな声で何かを呟き指輪を外した。
そして、しきりに手を指さししてきたのだ。
「んっ?」
手?思わず手の平を上に自分の手を
ついつい見てしまった。
その瞬間、キレイなお母さんは俺の
手の平にコロンとさっきまではめていた
指輪を置いたのだった。
濃い色の緑色の石と紫の石がついており
かっこいい感じの鳥と唐草模様の様な
デザインのお洒落な指輪だった。
「えっ?」
「うふふ。」
「えぇ?指輪?」
「はい、指輪です。」
「あれ?言葉が……。」
「はい、これで言葉が通じますね。」
「えっと、えっ?」
しばらく一時停止した俺の頭は、
キレイなお母さんが通訳のため?
「言葉が通じないと不安でしょ。」
とウインクしてキレイなお母さんは
指輪を貸してくれたのだ。
それからはお互いに自己紹介をし、
キレイなお母さんの名前がリナリアさん、
そして可愛い赤ちゃんがアベリア、
お母さん似の男の子だった。
「ホント、女の子のように可愛いです。
お母さんに似て可愛いですね。」
「まぁ、カドゥミさんてお世辞が上手いのねぇ。
でも、嬉しい、ありがとう。この子は
私の一番愛する方との子なのよ。」
うわぁ。"一番愛する方"って、こっちが
照れてしまう言い方だけど、この笑顔は
本心なんだろうなぁって思った。
"愛する“ってどういう気持ちになるのかなぁ?
キレイな人をさらに笑顔にするくらい
すごい事なんだろうな……。
俺の名前を発音しにくいのか、結局
"カドゥミ"と呼ばれる事になったのだ。
「いえいえ、お世辞じゃないです。本心ですよ。」
「あら、やだぁ。」
うふふって感じで和やかに会話が続いていた。
今回赤ちゃんと初めての遠出だったらしく、
赤ちゃんが泣き止まない事に
だんだんと不安になっていたそうだ。
俺は、リナリアさんにアベリアちゃんの
あやしかた、子守りがうまいと褒められ、
有頂天になっていた。
そして保育の仕事をしている事を伝えると、
"カナップ"という目的地まで雇いたいと
言われた俺は「ぜひお願いします。」
と即返事をしたのだった。
アベリアちゃん、赤ちゃんが再び寝た事により
周りからの視線も和らぎ、ガタガタと揺れの酷い
山道をそこそこのスピードで下っていた。
ガガガガガッガッガッ……。
タカタッタカタッタカタッ……。
ゴゴゴッ……。
怖い……。
揺れはますます酷くなっていった。
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