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38、終焉
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儚げな美しいマリーチェ王妃。
第二夫人のチェリカ・ギーゼ・ルーモイ。
少し鋭い目付きで、こちらを見ていた。
王だった男のかたわらに数人の
夫人たちの手は血に濡れていた。
「なぜ、ここに来たの?」
「民衆が、暴徒化していると
ウワサできいたので。」
「ウワサだけで動くだなんて
あなた方は余程暇なのね。」
「……相変わらずですね。」
しばらく視線を外さなかったクロードは
チェリカ夫人から、マリーチェ王妃に
視線を移した。
「みんな"ヒナン"したかしら?」
「どちらの意味かは、分かりませんが
ここから海辺にたどり着いた者たちは
感謝してるみたいですよ。」
「……そう。」
「悪役とやっかいな魔法まで
使って、相当な力を使ったようですね。」
「この男が原因で、人々どころか
多くの犠牲を出したんだから
国を助ける為、当然でしょう?」
「……。」
「この男の魔力は少なくて、使い物に
ならなかったけど、半日分の魔力の
糧にはなったわ。」
「……アンデッドになった者たちは?」
マリーチェ王妃とチェリカ夫人は
横たわるオトコだったモノをみていた。
「クロード王子、あの者たちは
この王に虐げられた者たちばかりで
自ら志願してくれた人たちでした…。」
「私たちが発見したときには
もう、虫の息だったわ……。」
この先、この国はどうなるのか
わからないが、何も言わないまま
クロード様は、城を出た。
***
***数百年後***
「こちらの遺跡は、ナゾの魔物により
たった数時間で瓦礫となったと言われる
お城跡です。」
「こちらは発掘された玉座と
6人の妻と悪王の肖像画です。
色に溺れた王、犠牲になったおびただしい
数の人骨などが城跡から出てきた場所です。」
笑顔で、城跡を観光案内する者。
様々な人種があつまり、何を
考えているのか分からない目をした者。
睨みつけるように美しかった玉座を見る者。
「これで、よかったの?」
「……。」
「みずからの手で、始末
つけたかったんじゃないの?」
「……。」
「俺たちは、飛行機事故で亡くなった
魂の集合体。そして、この世界の魂をも
吸収してしまったけど、さみしいよ。
そろそろ役目終わってもイイかな?」
「……。」
「クロード様?俺の魂をわけたら
また、お話できるようになるかな?」
ひとりはさみしいよ。
もう、消滅していいよね?
もう、疲れたんだ。
……好きだったよ、さよなら。
終
第二夫人のチェリカ・ギーゼ・ルーモイ。
少し鋭い目付きで、こちらを見ていた。
王だった男のかたわらに数人の
夫人たちの手は血に濡れていた。
「なぜ、ここに来たの?」
「民衆が、暴徒化していると
ウワサできいたので。」
「ウワサだけで動くだなんて
あなた方は余程暇なのね。」
「……相変わらずですね。」
しばらく視線を外さなかったクロードは
チェリカ夫人から、マリーチェ王妃に
視線を移した。
「みんな"ヒナン"したかしら?」
「どちらの意味かは、分かりませんが
ここから海辺にたどり着いた者たちは
感謝してるみたいですよ。」
「……そう。」
「悪役とやっかいな魔法まで
使って、相当な力を使ったようですね。」
「この男が原因で、人々どころか
多くの犠牲を出したんだから
国を助ける為、当然でしょう?」
「……。」
「この男の魔力は少なくて、使い物に
ならなかったけど、半日分の魔力の
糧にはなったわ。」
「……アンデッドになった者たちは?」
マリーチェ王妃とチェリカ夫人は
横たわるオトコだったモノをみていた。
「クロード王子、あの者たちは
この王に虐げられた者たちばかりで
自ら志願してくれた人たちでした…。」
「私たちが発見したときには
もう、虫の息だったわ……。」
この先、この国はどうなるのか
わからないが、何も言わないまま
クロード様は、城を出た。
***
***数百年後***
「こちらの遺跡は、ナゾの魔物により
たった数時間で瓦礫となったと言われる
お城跡です。」
「こちらは発掘された玉座と
6人の妻と悪王の肖像画です。
色に溺れた王、犠牲になったおびただしい
数の人骨などが城跡から出てきた場所です。」
笑顔で、城跡を観光案内する者。
様々な人種があつまり、何を
考えているのか分からない目をした者。
睨みつけるように美しかった玉座を見る者。
「これで、よかったの?」
「……。」
「みずからの手で、始末
つけたかったんじゃないの?」
「……。」
「俺たちは、飛行機事故で亡くなった
魂の集合体。そして、この世界の魂をも
吸収してしまったけど、さみしいよ。
そろそろ役目終わってもイイかな?」
「……。」
「クロード様?俺の魂をわけたら
また、お話できるようになるかな?」
ひとりはさみしいよ。
もう、消滅していいよね?
もう、疲れたんだ。
……好きだったよ、さよなら。
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