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第212話 思い出

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ステラ目線

カイザを見たのは、"お偉いさんたち"が、
スラム街に来た初日だった。
グラン様の印象が、強すぎて、他の人も
それなりに、こわおもてな顔立ちばかり
なんだろうけど、その中に、カイザは、
変に目立っていた気がする。
遠目だけど、スラム街の人たちも、
"お偉いさんたち"に話しかける態度と、
カイザに、話しかける態度は、全く
別だった。
あのメンツに囲まれたら、カイザは、
まるで食虫植物の様な、存在だった。
カイザを油断させ、丸めこもうとした、
スラム街の悪いヤツらは、次々と、
退治されていった。

スラム街の悪人に、話しかけられた
カイザは、ニコニコ笑顔で、
何も知らないフリをしていた。
あることないこと吹き込まれていたから
助けようか迷っていたら、
「お兄さんたちの事、忘れないよ。
親切に教えていただき、ありがとう。」
って言いながら、瞬時に縄で縛り上げ、
「虚偽、誘惑の現行犯かな?まっいいか。
とりあえず、今、言った事、お父様たちの
前で、言ってね。一言一句
間違えないでね。」
にっこり笑った顔に、ゾクってなったわ。
かなり、遠かったのに、私と
目があった気がする。
この時から、気になり、目が離せなく
なった気がする。

「俺が守るから、俺を信じてくれ。」
「なんでもいいから、不安な事、グチ、
辛い事、なんでもいいから、話してほしい。
他は信じれなくても、俺を信じてほしい。」

見た目は、子犬、あの笑顔は、肉食系の
なんだろ?例えれないくらいの、
ゾクゾク感。
怖いのに、放っておけない感じ。
惹かれるって、この感覚なのかなぁ?

「どうしたの?大丈夫?」
カイザは、ぶつかった場所を、撫でながら
「ダンスを、一緒に、しませんか?」
あっこの、笑顔だ。何か、あったのかな?
カイザを信じてたら、何でも、
大した事無いように、感じれる気がする。
「大丈夫。カイザ。信じてるわ。」

カイザ目線

「あ、ありがとう?」
2人の世界に入っていたから、
気付かなかったが、現実は、
ヒソヒソ話、よくある嫉妬、ねたみ、
「私の方が…。」っていう、
わけわからない言葉を言う女性たち。
俺に、ふさわしいというか、
俺に必要なのは、ステラだけだ。
ダンスの練習も、わずかな間に、
ステップを覚えてしまったステラは、
すごい。運動神経や記憶力がいいのか、
ステラは、姉たちにダンスを教えられ、
、今では、上級者のステップも、
俺がついていく感じに、なってしまった。

初心者向けのダンス曲から、後半は、
上級者向けのダンス曲になり、
後半は、踊れない者達は、会場の食事に
ワザと行っている。
自然と笑いが、込み上げてきた。
ステラを見せたくない気持ちと、
俺のステラのスゴさを、見せつけたい
気持ちが、入り乱れた。
簡単な初心者向けの曲を踊り終え、
俺たちは、食事に行く事にした。

中には、ステラを無視するように、
話しかけてくる、愚かな女性もいた。

「これは、これは、どうも。話しかけて
くれるのはうれしいですが、どちらの
ご令嬢か、忘れてしまいすみません。
あいにくと、私は、婚約者のステラしか、
眼中にないので、今更、名乗られても、
覚えが悪いので、忘れてしまいますが、
それでも、よろしければ、名乗りから、
お願いします。」

引きつった、女性数人は、立ち去った。
身分が下の者から、上の者への、
話しかけは、マナー違反。
しかも、俺の大切な、ステラを、
押しのけようとしただけでも、
腹ただしい出来事だった。
「ステラ。愛してる。」
ポカンとした顔もかわいいが、顔を
赤く染めた、ステラもかわいい。

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