『完結』地味でも地道にコツコツとしていたのに、突然、なぜかこうなりました。

葬儀終わり

告別式が始まる前、
３人の写真を撮られました。

すぐに気づいた、ケンジさんやしんちゃんが
「告別式はじまる。」
「こんなとこで、泣かないで、ほら、
立ち上がって。」
とケンジさん、しんちゃんがと
マスコミを背に立ちふさがり、
告別式の方へ連れて行ってくれました。

こっそり「終わってから。」と
しんちゃんが言い、私と、誠一さん、
ケンジさんは、なんとも言えない
表情をし、告別式をとり行いました。

"笑顔で見送る"事が、出来ませんでした。

棺桶にお花を入れる時、蓋を閉めるときまでは、
なんとか涙をためるくらいまで、
我慢できました。

出棺時
「ひいひいおじーちゃん、ひいひいおばーちゃん、
ねんね。安らかにねんね。またね。」
いちごの言葉で、涙が止まりませんでした。


火葬場で小さくなってしまった曽祖父母。
初七日を終え、精進落としの席。
喪主の挨拶の後。

私と誠一さん、ケンジさんといちご。
誠一さんが皆に話し始めました。


曽祖父母に声かけてもらい、畜産農家に
たどり着いた事。

いつの間にか、居心地の良い曽祖父母に
教えてもらいながら、ここに根を下ろした事。

初めての食べもの、農作物のあれこれ、
笑わずに教えてくれた事。

失敗した初めてのスーパーでの買い物にも、
「ちゃんと、出来てえー子じゃ。せいちゃん。」
と言って、頭を撫でられた事。

「成人してから、頭をなでられるなんて
思わなかった。友達？腐れ縁のここにいる、
"しんちゃん"には笑われたのに、
曽祖父母は、すごい人です。」

「貴方たちの、ひ孫になれて良かったです。」

「さくら。」
誠一さんは、私を呼びました。
いちごは、ケンジさんのお膝の上で、
うとうとしていました。

私はこの土地に来た時、右も左も
わからない状態で困った時に、曽祖父母達に
出会い、「ひとりはさみしかろ？」
と言われそのまま、畜産農家にとまり、
気づいたら、暖かい大家族に包まれていた事。

そして、好きな人といる事を再確認した場所。

誠一さんとケンジさんと話した後、
いちごに説明した事を、曽祖父母が
亡くなる前の日の言葉を思い出しながら、
話そうとしました。

「俺たち、さくらとわたくし誠一は、
婚姻関係を結び、いちごを娘とします。」

「いちごは、俺が不甲斐なかったため、
ケンジさんに守られながら、ケンジさんを
"パパ"と呼んでいます。俺も呼んで欲しいと
伝えると"せいちゃんパパ"と呼ばるました。」

「不謹慎な時期にとお思いの方も
多数いらっしゃるかと思いますが、
ここにいる家族には、了承を得たので、
本日付けで、婚姻届など提出、
受理されました。」