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ひとまず昼食 休戦?
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昼食に行く事にした誠一さんは、
本当に行ってしまった。
あっけにとられながらも、残された3人、
ケンジさん、私、そして弟の奏さん。
グゥ~。
「と、とりあえず私達も、お昼ご飯
食べましょう。」
立ち上がった私とケンジさん。
立ち上がらない弟さんに、何度か声を
掛けましたが、動かないので、放って置けないし、
ご飯運ぼうかなぁ?と思ったら、
「ケ、ケンジさん…。」
ムグッ。
「……。」
「世話が、かかるやっちゃぁ。行くぞ。来い。」
ケンジさんは、奏さんの首根っこを持って、
立ち上がらせ、そのまま引きずるように
連れて行きました。
まるで、猫のように見える誠一さんの弟、
奏さん。
ご飯をついであげて、味噌汁も注いであげても
まだ動かず、自分で好きなおかずとって
食べるように言っても動かない、奏さん。
誠一さんが食べ終わると、奏さんのそばに
座り、箸を持つと、
「白ごはん。」
誠一さんは、奏さんの口に一口大の、
ご飯を口にいれました。
「「……。」」
「イタドリ。」
「白ごはん。」
「豚味噌。」
「白ごはん。」
「つけもん。」
「白ごはん。」
「うり?煮物」
「せ、誠一さん?」
「ん?」
「あの…。」
「あぁ、コレかたまると長いから、すまん。
栄養補給中だ。」
「えっ、そうじゃなくて…。」
「ん?」
「い、いえ、何もないです。」
「んっ。」
何で食べさせてあげているのか、
小さい頃から、こうやってあげていたの?
誠一さんは36歳、確か2番目のお母さんの
子ってきいたけど…。後から知った年齢は
20歳だそうです。
10年以上まともにあって
いなかったらしいです。
奏さんによると、あっても顔を見る程度で、
言葉は交わさずすぐに目をそらされ、
話しかけても睨まれたそうです。
何が、あったんだろう?
ケンジさんも、食べるのを忘れたように
2人のやり取りを見つめていました。
「味噌汁。」
「白ごはん。」
「焼き魚。」
「白ごはん、ない。おかわりは?」
弟さんは、頷くと律儀にご飯を
ついであげる誠一さん。
与えられるまま、パクパク食べる奏さん。
誠一さんはしばらく、奏さんに
白ごはんとおかずを交互に、
食べさせてあげていました。
「まるで、ツバメのヒナだな。」
ケンジさんが呟くと、目が合いました。
顔が赤くなっていく奏さん。
「み、見るな。にいちゃ…あ、兄貴も、
僕、お、俺は一人で食べられる。」
誠一さんから、お茶碗を奪って自分で
かきこむように食べていました。
「んっ。」
誠一さんは、奏さんの頭を撫でていました。
無表情な誠一さんだったけど、奏さんは
なんだか嬉しそうでした。
「美味い…ごふっ。」
ゴホッ、ゴホッ。
「誰も取らないし、口に入れたまま話すな。」
咳き込みながら、誠一さんに頷く奏さん。
お茶を目の前においてあげると、
手を合わせ頭を下げてくれました。
なんだか…かわいいかも。
本当に行ってしまった。
あっけにとられながらも、残された3人、
ケンジさん、私、そして弟の奏さん。
グゥ~。
「と、とりあえず私達も、お昼ご飯
食べましょう。」
立ち上がった私とケンジさん。
立ち上がらない弟さんに、何度か声を
掛けましたが、動かないので、放って置けないし、
ご飯運ぼうかなぁ?と思ったら、
「ケ、ケンジさん…。」
ムグッ。
「……。」
「世話が、かかるやっちゃぁ。行くぞ。来い。」
ケンジさんは、奏さんの首根っこを持って、
立ち上がらせ、そのまま引きずるように
連れて行きました。
まるで、猫のように見える誠一さんの弟、
奏さん。
ご飯をついであげて、味噌汁も注いであげても
まだ動かず、自分で好きなおかずとって
食べるように言っても動かない、奏さん。
誠一さんが食べ終わると、奏さんのそばに
座り、箸を持つと、
「白ごはん。」
誠一さんは、奏さんの口に一口大の、
ご飯を口にいれました。
「「……。」」
「イタドリ。」
「白ごはん。」
「豚味噌。」
「白ごはん。」
「つけもん。」
「白ごはん。」
「うり?煮物」
「せ、誠一さん?」
「ん?」
「あの…。」
「あぁ、コレかたまると長いから、すまん。
栄養補給中だ。」
「えっ、そうじゃなくて…。」
「ん?」
「い、いえ、何もないです。」
「んっ。」
何で食べさせてあげているのか、
小さい頃から、こうやってあげていたの?
誠一さんは36歳、確か2番目のお母さんの
子ってきいたけど…。後から知った年齢は
20歳だそうです。
10年以上まともにあって
いなかったらしいです。
奏さんによると、あっても顔を見る程度で、
言葉は交わさずすぐに目をそらされ、
話しかけても睨まれたそうです。
何が、あったんだろう?
ケンジさんも、食べるのを忘れたように
2人のやり取りを見つめていました。
「味噌汁。」
「白ごはん。」
「焼き魚。」
「白ごはん、ない。おかわりは?」
弟さんは、頷くと律儀にご飯を
ついであげる誠一さん。
与えられるまま、パクパク食べる奏さん。
誠一さんはしばらく、奏さんに
白ごはんとおかずを交互に、
食べさせてあげていました。
「まるで、ツバメのヒナだな。」
ケンジさんが呟くと、目が合いました。
顔が赤くなっていく奏さん。
「み、見るな。にいちゃ…あ、兄貴も、
僕、お、俺は一人で食べられる。」
誠一さんから、お茶碗を奪って自分で
かきこむように食べていました。
「んっ。」
誠一さんは、奏さんの頭を撫でていました。
無表情な誠一さんだったけど、奏さんは
なんだか嬉しそうでした。
「美味い…ごふっ。」
ゴホッ、ゴホッ。
「誰も取らないし、口に入れたまま話すな。」
咳き込みながら、誠一さんに頷く奏さん。
お茶を目の前においてあげると、
手を合わせ頭を下げてくれました。
なんだか…かわいいかも。
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