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来訪者
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さくら目線
いつもの朝。
いつもの暖かい賑やかな家族がいました。
じゃれ合いの中、ご飯を食べて
仕事に行くのを見送り、家事をする。
娘のいちごの幼稚園に連れて行き、
美香さんの休憩時間などに、受け付けを
代わったりしていました。
美香さんが誠一さんを追いかけて、
牛舎へ行ってる間、一人の若い男性が
きました。
「いらっしゃいませ、畜産農家に
ようこそ。」
若いのに、少しきつい目に、落ち着きがない
様子の男性。
どことなく誰かに似ていました。
見学コースや体験コースを勧めるため
説明をしようとすると、
「兄さんはどこ?」
「えっ?」
「頭悪そうな女だなぁ。朝竹誠一は
どこなんだよ。ここに、いるんだろ?」
何この人、失礼な人。
「頭悪くてすみませんが、偉そうな
あなた様は、どこのだれなんですか?」
ニヤリと笑った人物は、
「ビビるかと思ってたら、フンっ、
クソ生意気そうな女だな。顔も悪くないし、
気に入った。おまえ、俺の…。」
グイッ。
「ひゃっ。」
あっ、びっくりしたけど…急に、
引き寄せ抱きしめてくれたのは、
ケンジさんでした。
あたたかい安心するこの腕、
一瞬ウットリしかけました。
「ケ、ケンジさん…あっあの…。」
「チッ、男付きかよ。」
舌打ちした男に、
「失礼だがお名前とご用件は?」
圧をかけるように話すケンジさんに
態度や言動が悪い男は、
「…朝竹奏(かなで)朝竹誠一の弟だ。
兄貴に逢いに来た。これで、いいだろう。
早く逢わしてくれ、ここにいるんだろう?」
「身分証は?本人に連絡したら、
いいんじゃないのか?」
「か、勝手な事言わないでくれ。電話しても
繋がらないし、挙げ句の果てに…。」
あ、あれ?目が潤んでる?
「携帯もすぐ切れるようになったし、
そのうち…使われてない番号だってアナウンス
流れたから、番号変更したみたいなんだ…。」
「拒否されただけじゃないのか?」
「ケ、ケンジさん…ちょっと…。」
「う、うるさい…。お、お前たちに、
何がわかるんだよ。」
ず、図星なの?あっ、泣いた…。
ケンジさんが対応してくれている間に、
こっそり牛舎に内線し、誠一さんに
伝えました。
現れた誠一さんは、
サングラスにマスク?
頭にタオル、いつもの作業着がわりの
ジャージ姿でした。
美香さんに受付を任して、一旦、山ノ上本宅に
戻りました。
真也さんは、お父さんと一緒に、出荷や
買い出しについて行ったので、不在でした。
第三者もいる方がいいと判断したのか、
誠一さんに言われ、ケンジさんと私も
交えて話を聞いていました。
本宅に行く前、
「に、兄さん?僕、奏(かなで)です。
逢いたかったです。」
「誰かわからないが、俺は別になんとも
思ってないし、逢いたくない。仕事がある。
失礼する。」
と二人の会話?がありました。
拒否された弟さんは、本格的に泣き出しました。
だ、誰かわからないって…誠一さん…?
弟さん名乗りましたよ?っあれ?
二人の関係…。
あまりの泣き方に同情したのか、ケンジさんが
「話くらいは聞いてやったらどうか?」
と言ったので、ひとまず本邸で話し合いが
始まりました。
始まってから数分、無言状態が続き
お昼時になり、「話がないなら、昼ご飯に
行く。」と言った誠一さん。
いつも漫才の様にノリツッコミで、
笑うようになった誠一さんなのに、
表情もかたく、笑わない誠一さん。
なんだか別人のようです。
いつもの朝。
いつもの暖かい賑やかな家族がいました。
じゃれ合いの中、ご飯を食べて
仕事に行くのを見送り、家事をする。
娘のいちごの幼稚園に連れて行き、
美香さんの休憩時間などに、受け付けを
代わったりしていました。
美香さんが誠一さんを追いかけて、
牛舎へ行ってる間、一人の若い男性が
きました。
「いらっしゃいませ、畜産農家に
ようこそ。」
若いのに、少しきつい目に、落ち着きがない
様子の男性。
どことなく誰かに似ていました。
見学コースや体験コースを勧めるため
説明をしようとすると、
「兄さんはどこ?」
「えっ?」
「頭悪そうな女だなぁ。朝竹誠一は
どこなんだよ。ここに、いるんだろ?」
何この人、失礼な人。
「頭悪くてすみませんが、偉そうな
あなた様は、どこのだれなんですか?」
ニヤリと笑った人物は、
「ビビるかと思ってたら、フンっ、
クソ生意気そうな女だな。顔も悪くないし、
気に入った。おまえ、俺の…。」
グイッ。
「ひゃっ。」
あっ、びっくりしたけど…急に、
引き寄せ抱きしめてくれたのは、
ケンジさんでした。
あたたかい安心するこの腕、
一瞬ウットリしかけました。
「ケ、ケンジさん…あっあの…。」
「チッ、男付きかよ。」
舌打ちした男に、
「失礼だがお名前とご用件は?」
圧をかけるように話すケンジさんに
態度や言動が悪い男は、
「…朝竹奏(かなで)朝竹誠一の弟だ。
兄貴に逢いに来た。これで、いいだろう。
早く逢わしてくれ、ここにいるんだろう?」
「身分証は?本人に連絡したら、
いいんじゃないのか?」
「か、勝手な事言わないでくれ。電話しても
繋がらないし、挙げ句の果てに…。」
あ、あれ?目が潤んでる?
「携帯もすぐ切れるようになったし、
そのうち…使われてない番号だってアナウンス
流れたから、番号変更したみたいなんだ…。」
「拒否されただけじゃないのか?」
「ケ、ケンジさん…ちょっと…。」
「う、うるさい…。お、お前たちに、
何がわかるんだよ。」
ず、図星なの?あっ、泣いた…。
ケンジさんが対応してくれている間に、
こっそり牛舎に内線し、誠一さんに
伝えました。
現れた誠一さんは、
サングラスにマスク?
頭にタオル、いつもの作業着がわりの
ジャージ姿でした。
美香さんに受付を任して、一旦、山ノ上本宅に
戻りました。
真也さんは、お父さんと一緒に、出荷や
買い出しについて行ったので、不在でした。
第三者もいる方がいいと判断したのか、
誠一さんに言われ、ケンジさんと私も
交えて話を聞いていました。
本宅に行く前、
「に、兄さん?僕、奏(かなで)です。
逢いたかったです。」
「誰かわからないが、俺は別になんとも
思ってないし、逢いたくない。仕事がある。
失礼する。」
と二人の会話?がありました。
拒否された弟さんは、本格的に泣き出しました。
だ、誰かわからないって…誠一さん…?
弟さん名乗りましたよ?っあれ?
二人の関係…。
あまりの泣き方に同情したのか、ケンジさんが
「話くらいは聞いてやったらどうか?」
と言ったので、ひとまず本邸で話し合いが
始まりました。
始まってから数分、無言状態が続き
お昼時になり、「話がないなら、昼ご飯に
行く。」と言った誠一さん。
いつも漫才の様にノリツッコミで、
笑うようになった誠一さんなのに、
表情もかたく、笑わない誠一さん。
なんだか別人のようです。
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