『完結』地味でも地道にコツコツとしていたのに、突然、なぜかこうなりました。

準備

誠一目線

さくらっ。
彼女を探してもう9か月が経とうとしていた。
父を問い詰めたが、無駄であった。
嫌がらせのように、押し付けてくる仕事。

自分は人間だったのかと思えるほど、さくらを
好きになり、俺に"温かみ"や"慈しみ""感情"を
与え、教えてくれたさくら。
これからは、もっとさくらを大切にするぞって
思った瞬間、さくらが消えた。

最初はなぜいなくなったのかわからず、
呆けてしまった気がする。
近場から探し身近なモノに、問い詰めたが
足取りがわからなかった。

父が気にいるやりかた、人間の感情を
なくしたように、淡々と仕事をこなすやりかた
をしていった。
同時に俺は、父にばれないように
さくらの足取りを探し続けてたいた。


父親の秘書が、半年契約でとある場所に
家を借りたと報告があった。

今すぐに確認しに行きたがったが、
絶妙なタイミングで次々と仕事に
追われる毎日が続いてしまった。

仕方がなく人を雇い調べてもらうと、
契約後すぐに解約手続きされていた。

そのあとすぐに本社の父宛に、
大量の最新家電や
封書が送られてきた。

さくら。

送り状のコピーを手に入れた。

書かれた電話番号に連絡すると、
男が出た。
さくらに男！！

「いない。」と一言で切られた電話。
何度か掛けたが同じ回答。
不審に思った俺はそれからしばらく、
定期的に電話をかけていた。
今では月に数回、電話をかけている状態だ。
何かひっかかる。

この時点で誰かを現地に派遣して
調べて貰えば良かったが父は
俺を警戒していた。

電話を掛け続けていると、男以外にも
同じ回答「いません。」と一言だけ言われ
すぐに電話を切ろうとされた。

しつこいほど食い下がると、豚のさくら
ならいると、教えてもらえた。

適当に電話番号を書いたのか、足取りを
掴みにくくするためなのかは、わからなかった。
現地の人を使い、また移動させられたのか？
さくらっ。

父からお見合いの話もあったが、
無視し続けていた。
臭い匂いを振りまく母との間に父は
2人子をもうけていた。
2人の弟に1人の妹。
赤ちゃんの時だけ、見た事があるが、
誕生日などは必要最低限の出席か、
最近ではカードと品物だけ、倉田が
送ってくれていた。

社長の代わりはいくらでもいる。
他の者は喜んで受け取る地位だろう。
俺の代わりは、３人いる。

父は、さくらに手切れ金を渡したそうだが、
結局は受け取らなかったさくら。
今、どうしているだろうか？

段取りをつけ、飲食関係の新店舗候補地を
いくつかあげていた。
そのうちの一つに現地入りし、さくらを
探しながら色々情報収集していた。

以前から気になっていた電話番号を
頼りに"畜産農家のホームページ"を
見つけた。
そのままの名前…だった。

その中に後ろ姿だが、さくらに似た女性と
ひよこの写真があった。

試しにコメントをすると、"コメントS"
から返信がきた。
Ｓ、さくら？

最近突然、失恋したあいつもこのホームページ
を知っているようだった。
行ったこともあるらしいが、さくらちゃんは
いたが、豚のさくらちゃんが出産していたと
言い、あかねさんという女性に、今あいつは
熱をあげているようだった。

ホームページを見ると、飛行機を予約し
"コメントA"あかねさんに逢いに行くらしい。

ここから近い場所だった。

例え違うとしても新店舗の仕入れ先
として契約してもいい所だ。

色々騒ぎがあったらしいが、口コミでも
評判が良い所だった。

明日行くとあいつに逢うことになるだろうが、
人の恋路を見るのも良いかもしれない。

さくらはどこにいるんだ。
「さくら。逢いたい。」