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長い一日 パート2

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食べ終わったらいつもならすぐに
仕事に行くのだが、台所が…。
人間のさくらが気になり
しょうがなかった。

食べ終わった食器を持って
台所に行くと会話が聞こえてきた。

食べる前に寄った台所の会話を
思い出していた。さくら……。
また方言がわからないだろなぁ、
助け船を出すつもりで会話をきいていた。

ひったまがたしょ?
「びっくりした、って意味。」

「あ、ありがとうございます、
おはようございます、ケンジさん。」
「んっ。」
さくらの頭をまたなでたい。
名前を呼ばれただけで、抱きしめたい
衝動にかられる。

どんぶりを持つと、小走りで近寄り
「あっ、まって。私が持って行きます。」
「いい。」
小さいのに気が利く、人間のさくら。
さくらの頭をポンポンしたら、一瞬
驚いていた。
俺の行動にも、自分自身が驚いていた?

「いんやぁ~珍しかぁ。今日、ひょーが
降ってくんかもねぇ。」
「ケンジが朝から、もじょかおごじょに
しゃべれたんかぁ。」

「しゃべれぇーわっ。」
ちゃかされた。恥ずかしいし、なぜか
食事前から、俺の下半身は臨戦体制に
入っていた。ズボンにあたり地味に痛い。

食後。
豚味噌、柚味噌が美味しいとさくらが
褒めてくれた。

「そんなんやねえ。そんの豚は、
ケンジのとこの豚やよー。」
ナイスおかん。
俺のアピールしてくれた。

「うちんとこは、畜産農家ってかぁ、
養豚場がおもやかんねぇ。畑と田んぼは
趣味と牛と豚の餌用やねぇ

「上の兄夫婦らは牛ね。ちょっと離れた
とこに牛と馬いるよ。ケンジは、
豚と鶏とかね。」

「牛に馬すごい。豚に鶏、だから
卵焼きが絶品なんですねー。」

たまごアピール。
豚のさくらの出産の立ち合いと
たまご拾いを体験させちゃろうか?
喜ぶかな?

「嬉しい事言うねー、たまごかけごはんに、
煮卵、はい食べて食べて。お箸で黄身
掴めるよ。都会っ子ならめずらしーん
じゃない?」

たまご、食べてる小さな口。
あの口かわいい。
俺のモノをくわえて欲しい。
うっ。

「わぁ~。」
さくらは何かに感動し拍手までしていた?
かわいい。
小刻みに揺れているさくらは、
小動物のようだった。

さくらの声だけでイキそうだった。
立ち去ろうって思ったが何かに
感動したみたいだった。

たまごが双子だったみたいだった。
煮玉子にも可愛い笑顔をむけていた。
なぜかたまごに 嫉妬しそうな自分がいた。

そろそろヤバくなり食器を
上り口に置いて、トイレでヌイてから
仕事に行った。
さくらは泊まり込み?住むのか?
親御さんはどうした?

色々考えていたが、わからない事だらけだ。

田舎者の愛想なし。
不器用な自分。
持てないし女の子を目の前に
緊張して話せない自分がいた。

人間のさくらが気になり過ぎて
なかなか仕事がはかどらなかった。

お昼ご飯は、さくらが握ってくれた
小さなオニギリ。
手が小さいからか、オニギリまで
小さい。
だが食べやすい。

食べ終わった頃、豚のさくらが
苦しみだした。
ブヒーッブヒーッ。
陣痛か。

人間のさくらにも見せたくて、
夕方には子豚が生まれるかもしれないから、
姉のあかねに、メールをした。

陣痛が始まった。
夕方出産予定。
さくらの都合で立ち合いオッケー。

ピコン。

あと豚の出産の取材したいって言ってた
人がいたよな。
名刺を取り出し、収入源になる、
取材を受けるためメールをした。

藁をかきよせていた。
豚のさくら、頑張れ。
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