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あらあらまあまあ

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タッパーに詰めていると、
朝5時過ぎになっていました。

「おかん。茶碗ない。」
ケンジさんだ、あれ?お茶碗
もう足りないの?

朝からひと仕事終えた人たち、
アルバイトの人もたくさん
従業員がいるみたいで、
朝4時半からポツポツと
居間にご飯を食べる来ている人が
増えてきました。

「あらぁ?さくらちゃんが
持ってってくれたの無くなった?」

「あはっ。言い忘れたわぁ。
うちん家(ち)のは、どんぶりが
茶碗で、少し大きめ茶碗が普通の茶碗、
一番ちっこいのが、ちびっこ用かなぁ。」
「私も嫁っ子来た時、おかーさんに、
叱られってねー。ひったまがたしょ。」

ひったまがたしょ?
「びっくりした、って意味。」

「あ、ありがとうございます、
おはようございます、ケンジさん。」
「んっ。」
ケンジさんは、また私の頭を
くしゃくしゃになでてくれました。

どんぶりをいくつか重ねてあるのを
ミズヤから取り出して、ケンジさんは
自分で持って行こうとしました。

「あっ、まって。私が持って行きます。」
「いい。」
どんぶり数個を片手でもち、もう片方で
私の頭をポンポンとしてくれました。
なんだか照れるけど、子どもあつかいよね?

「いんやぁ~珍しかぁ。今日、ひょーが
降ってくんかもねぇ。」
「ケンジが朝から、もじょかおごじょに
しゃべれたんかぁ。」

「しゃべれぇーわっ。」
照れた様子のケンジさんが、
スタスタと歩いて行ってしまいました。

あかねさんのお母さんとおばあちゃんは
楽しそうに何か話していました。
私は、2つの籠にお弁当、
タッパーをそれぞれに
入れていきました。

起き出したあかねさんも
巻き込み、ケンジさんと私のやりとりを
大げさに話が広がっていきました。

畑仕事用と、ケンジさんがしている
養豚場などのお弁当を準備し、
台所で、折りたたみの椅子や木箱に
座り朝ごはんを一緒に、"つつき合い"
食べていました。

卵焼きや豚味噌、ネギ味噌、柚子や
色々な味が違うネギみそで、ご飯が
すすみました。
ノビル、ニラ、青ネギ、わけぎ。
それぞれに美味しかった。

豚味噌、柚味噌が美味しいと言うと、
またにこにこじゃなく、
ニヤニヤされました。

「そんなんやねえ。そんの豚は、
ケンジのとこの豚やよー。」

「うちんとこは、畜産農家ってかぁ、
養豚場がおもやかんねぇ。畑と田んぼは
趣味と牛と豚の餌用やねぇ。」

趣味にしては、スケールが違う。
本業でしょう?

「上の兄夫婦らは牛ね。ちょっと離れた
とこに牛と馬いるよ。ケンジは、
豚と鶏とかね。」

「牛に馬すごい。豚に鶏、だから
卵焼きが絶品なんですねー。」

「嬉しい事言うねー、たまごかけごはんに、
煮卵、はい食べて食べて。お箸で黄身
掴めるよ。都会っ子ならめずらしーん
じゃない?」

私は玉子を割ると双子の黄身でした。
「わぁ~。」
つい初めてみた双子の黄身に、
拍手してしまいました。

うずらの煮卵も最高でした。

いつの間にか話に花が咲き、後片付けをして
くれていたケンジさんが、コッソリ私を
見ながら食器を台所の上り口に
持ってきてくれていたようでした。
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