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結界

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まだ名前も聞けてない異国の姫君。
間に合わせで、姫君に合うドレスを
既製品だがいくつか用意した。
そろそろ体力も戻ったとの報告が
上がっていたから、ドレスを誂えるのも
いいだろう。
庭でお茶をするとの事だし、ベッドで
倒れかけた時、泣き叫ばず俺に
抱き抱えられているのに、会話もした。
柔らかな感触に、今にも消えてしまいそうな
くらい軽い体重。
薄手のナイトドレスのせいで、俺は…。
姫君から目線を避けると、む、胸に…、
さらに我慢出来ず、姫君をベッドに
押し込め寝かせてしまったが、
不審がられてないだろうか?

異国の姫君……。
使用人にも気さくに笑顔で挨拶や
お礼を言于姫君。
まるで月夜の精霊の様な姫君だ。
最初見た時は、御神木に寄りかかり
傷だらけだった。
木の精霊かと思ったが、肌は柔らかく
なんとも言えない惹きつけてやまない
甘い花の香り、花の精霊?
傷つきぐったりとし、足元を見ると
見た事がない履物を履き、くつ下の
形も変わっていた。
足の太さが違い?
柔らかで細い足をあらわにすると、
熱を持ち腫れていた。

鍛錬なんかしてる場合じゃない。
馬に乗れるだろうか?
念の為、縄で自分と姫君を結びつけ
落ちないようにし、馬で急いで帰った。
執事のボットマに、急いで治療するように
言いつけ、医師や治癒師も手配した。
なかなか目が覚めない。
頭や身体に打ち身があったと報告を受け
医師とはいえ、姫君の肌をみたのが
腹正しい。威殺しそうな勢いで見ていたからか、
翌日には、違う医師が来た。
俺も付き添い、手足までならと言うと、
女性医師は怒り、"ちゃんとみないと
取り返しつかない事があるかも知れません。"
と逆に怒られてしまった。

メイドに手伝ってもらいながら、
背中や腹部、手足の捻挫が1番ひどいらしいが
骨には異常がないとの事。
頭を打っているので、目覚めたら、
知らせて欲しいと言われた。
記憶や、体調が心配らしい。
乱暴なことをされたか、落馬して、転がった
ような感じだとも言っていた。
姫君は、何者かに襲われたのか?
3日目にやっと目を覚ました姫君は、
はじめはボヤーとしていたらしいが、
痛みが和らぐと5つの言語を理解しているのか
会話も出来たらしい。
かなり、高度な教育を受けているみたいだった。
姫君、あなたはいったい……。

その時、姫君の部屋にはった結界が
揺らぐのを感じた。
内側からだ。
窓?急いで部屋を見ると、カーテンを
めくろうとしているところだった。
逃げようとしているのか?
何も言えず見つめていると、夜空の
月に手をのばしている。
宵闇の月の姫君……。
漆黒の艶やかな神と瞳。瞳には涙。
 
「…もう、やだ…助けて。」
 「………。」
つらいのか?
どう助ければいいんだ?
あまりにも、儚さに声をかけれず
俺は部屋を出てしまった。
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