不幸体質の私、トリップ先は○○ですか？！強面男性と童顔女性の物語。

異変

俺は"眠っている"ユリの前に座り込み
どの位時間が過ぎただろうか？

俺が動かないから、周りのものが
色々お世話してくれていた気がする。

冷たくなった手に、俺の体温を分けるように
握ったり、寝ていたら関節が
痛くなるらしいから、たまに動かしていた。
「ほら、ちゃんと食べないから、身体の
あちこちが固いし、身体また痩せたか？」

魔力循環、何故だか空っぽの容器に
魔力を流す感じで、いつもの抵抗も
軽い反応もない。

「食べもの代わりに、俺の魔力、
たくさん食べてるのか？」
「なんだか反応ないし、何故だか…。
なぁ。焦らさないで、そろそろ
起きてもいいぞ。」
「もう準備出来てるぞ。寝坊助だな。」
俺の目から出ていた水分も
カラカラに乾き、毎日同じ様な事を
繰り返していたらしい。


長官に頼み事をされた神は
張り切っていた。
まさに神がかりな速さで
あれこれ考えをまとめ、準備をしていた。

はじめに異変に気づいたのはゼルンでも
メイド長でもなかった。

庭師の親子だった。
数日前に確かに植えた種や苗は、
元の位置に戻り、作ったはずの
花壇はなくなっていた。
最初は、愉快犯の仕業だと思い、
念のため報告はしたが、
物質的な損失は無かったので、あまり
気にしないようにした。
ただ、また同じ花壇を作る労力を
強いられるので少し不満もあったが
前の工程があったので、工夫を凝らし
前より納得できる花壇に
仕上がったので庭師の親子は
大変満足していた。

不思議な事はまた起きた。
購入した物がなくなり
かわりに購入金額が戻っていた。
勘違いか？自分はボケてしまったのかと
自分自身を疑う庭師がいた。

そんなことが立て続けに3回も
起こり、ミーナ様とゆり様の
御成婚の準備用に購入し植えた
樹木や花の苗は、たった今
植え終わったかのようになっていた。

さすがにこれはおかしいと思い、
報告書だけではなく、直接
その事をゼルンに報告すると、
他の書類も含め見直した。
確かに確認したはずの書類が
すっぽり消えていた。
毎日、つけていた報告書のような
日記は……。

ゼルンは、手が震えていた。
そんな、バカなことが…。

ゼルンは、急いでミーナとゆりがいる
部屋に足をむけた。