不幸体質の私、トリップ先は○○ですか?!強面男性と童顔女性の物語。

カヨワイさつき

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言うぞ

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ゆりは、あまりの突然な出来事に
驚き過ぎていた。
踏まれたゆきは、すでにいつもの
まん丸ふわふわになっていた。
「ゆき、大丈夫?怪我してない?」
「ぷぎゅ。」
「きゅう。」
「うぎゅ。」
ゆきを撫でると、ももとれもんも
近寄り甘えてきた。
「甘えん坊で、可愛い。」

「ゆりが1番だ。」
「はっ?」
「えっ?」
一瞬、部屋が静けさに包まれた。

「そ、その巨大な物体は、ウサモルだよな。」
「は、はい。」
「そ、そんなに大きくなるんだな。」
「は、はい。」
「……。」
「…。」
会話は、たどたどしくつづき、
ゆき、れもん、ももっていう名前を
ウサモルにつけた事を教えてくれた。
従魔契約したんだろう。

「失礼ですが、お二人とも会話に
若さがないです。しいて言うなら、
子育てが終わった老夫婦の会話です。」
「「……。」」
「ゼルンさん、わたくしもそう
思いました。お坊ちゃま、小さい時から
女性に対して不器用だと思いましたが、
こんなにまで、可愛そうなくらい不器用だなんて。
情けのうございます。」
執事のゼルンとメイド長は、
俺のダメ出しをしていった。
ついには、俺の小さい時の話まで…。

「坊っちゃまは、本当は優しくて弱いものに
手を差し伸べることが出来る人なんです。
怪我した、氷ネズミを拾ってきては、
治術をしてくれって、魔法省に駆け込んだり、
傷ついた、火の子鳥をたすけようとしたり。」
「全部、治ったとたん逃げたがな。」
「顔が怖いから、損をしてるんですよねぇ。」
ゼルンが楽しそうに言った。

「そ、そんな、ミーナ様じゃなくて、
ミーナさんは、とても優しく、顔も
凛々しくかっこいいです。それにたくましい。」
優しい。
凛々しい。
たくましい。
なんだこの魔法の言葉。
これは誰に対して言ってるんだ?

ぶふっ。
ゼルンは吹き出し、メイド長はなぜか
泣いていた。
「お坊ちゃまを、お坊ちゃまを末永く
よろしくお願いします、ゆり様。」
「は、はい。」
「……。」
「えっ?」
はいって言った?
いいのか?
本気だぞ。
俺は背筋を伸ばした。
片膝をついて、ゆりの左手をとった。

「ユリ・シライと朝の神、昼の神、晩の神に誓う。
我、ミーナ・レジェン・カセンドラーは、
一生ユリ・シライを愛し守り抜く事を誓う。
我、ミーナ・レジェン・カセンドラーは、
ユリ・シライが成人すると同時に
正式に婚約をし婚姻を結びたいと願う。」

宣誓をした後、緑色の俺の瞳の色の
ピアスを差し出した。
俺の耳には、既にゆりの瞳の色
澄んだ茶色い石のピアスをつけている。

「俺の気持ちだ。受け取って欲しい。
返事はすぐじゃなくていい。」
よし、俺は言った。
言い切った。
俺なりのゆりへの宣誓だ。
これで断られたら、余裕で凹む。
数日は、下手したら数ヶ月立ち直れない。

「は、はい。う、嬉しいです。」
「…そ、そうか、そうだよな。こんな、
俺だし、はいって言わないよな、はいって、はい?」
えっ、な、な、な、何が起きた?
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