不幸体質の私、トリップ先は○○ですか?!強面男性と童顔女性の物語。

カヨワイさつき

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私は寝てます。 ゆり視点

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いつのまにか私は、寝ていた。
この状況で寝れるなんて意外と私、
自分で思ってるより、図太いかもしれない…。

今の状況を確認してみる。
白井ゆり、25歳。独身。よし、覚えてる。
あとは…起きれない。手足は縛られているから、
身動きはとれない。
しかも、動かすたびに身体が痛い。
手を回したり色々試したけど、
キツく縛られているからか、
痺れていたはずの手足は、感覚がなくなってきた。
やはり、ここで私は……。


グワシャッ。
ドーン。

「……。」
な、な何?何が起きてるの。
この小屋も揺れた気がする。
大きな音が聞こえたと思ったら、
ギシ、ギシ、と床が軋む音。
な、な、何?怖い。
ゆっくりと足音が近づいてくる。
ドアの前で止まった。

またあの山賊が戻ってきたの?
ドキドキ?が最高潮になり
あまりの怖さに、目をギュッと閉じた。
"落ち着け、落ち着け私。"と
心の中で唱えていた。

ギッギッギシッ。がこっ。バタンッ。
ド、ドアの音?!
こ、壊れた?!

目を閉じてるからわからないけど
視線を感じる。
起きてるか確認してるのかな?
私は寝てます。
寝てるからそっとして下さい。
私の心臓は破裂しそうなくらい
脈をうってる気がする。
でも、このドキドキは恐怖のドキドキで、
冷や汗が出てきた。

「……?!」
手を触られた後、私のお腹を触った。
こ、怖い。お腹触られてる。
刺されるの?イヤっ。

服が破れてるから、私の素肌に誰かの手が
直接触れている。冷たい手。
ビクッとなったから、起きてるのバレたかな?
やはり、私はこの人に襲われるのかな?
可哀想になるくらいのかなり
小ぶりな胸があるから、
女だとはわかるはず。
悲しいまな板のアラフォー。
女なら誰でもいい人かもしれない。
怖いし、色々と泣きそう。
ダメ、泣いたらタヌキ寝りがバレるわ。
なるべく、ゆっくり呼吸をした。

はあ~。

んっ、あれ?私のため息じゃないわ。
やはり、襲う価値もないくらいの
魅力ない身体だから…
ため息をつかれたのね。


『朝の神様、昼の神様、晩の神様、
いつもの棒読みの毎日のお祈り、すみません。
この少女が助かるなら少しは…真面目に
祈ります。だから、お願いします。
この少女を助けて下さい。』

男性の声、淡々とした声。
なんだか落ち着く?男性の声なのに
安心出来る声だった。

残念ながら日本語ではなくゆりには、
言葉が通じなかった。

しばらくした後、男性が動くと
微かな金属音。
……。
こ、怖い。
そっと手に触れられた後、縄が切られた。
その瞬間、熱い血が流れていくのを感じた。
足の縄も切ってくれている。
私、助かったの?
手首、縛られていた場所からチュッと
リップ音がした。
……。
口付け…キスされた?
舌打ちじゃないよね。
男性からの初めての……。

ダメだ。私全身から火が出そうなくらい
熱くなってきたわ。
手を握り締められてる。

もうダメ。もういいよね?
もう、気絶してもいいよね。

『神よ感謝する。ありがとう。』

言葉がわからないけど、私の手を
握り締めたまま何か話してる。
話しかけられてるのかな?
薄目開けようかな?
う~でも、寝てるから襲われないだけで
もしかしたら……。
目を覚ましたら、犯人の顔を見たからって
最悪の状態になるかもしれない。

25歳のゆりの頭の中は、ただいま
お昼のサスペンスや刑事ドラマの殺人現場、
あとは、なぜか時代劇がぐるぐる回っていた。
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