不幸体質の私、トリップ先は○○ですか?!強面男性と童顔女性の物語。

カヨワイさつき

文字の大きさ
上 下
5 / 61

私は寝てます。 ゆり視点

しおりを挟む
いつのまにか私は、寝ていた。
この状況で寝れるなんて意外と私、
自分で思ってるより、図太いかもしれない…。

今の状況を確認してみる。
白井ゆり、25歳。独身。よし、覚えてる。
あとは…起きれない。手足は縛られているから、
身動きはとれない。
しかも、動かすたびに身体が痛い。
手を回したり色々試したけど、
キツく縛られているからか、
痺れていたはずの手足は、感覚がなくなってきた。
やはり、ここで私は……。


グワシャッ。
ドーン。

「……。」
な、な何?何が起きてるの。
この小屋も揺れた気がする。
大きな音が聞こえたと思ったら、
ギシ、ギシ、と床が軋む音。
な、な、何?怖い。
ゆっくりと足音が近づいてくる。
ドアの前で止まった。

またあの山賊が戻ってきたの?
ドキドキ?が最高潮になり
あまりの怖さに、目をギュッと閉じた。
"落ち着け、落ち着け私。"と
心の中で唱えていた。

ギッギッギシッ。がこっ。バタンッ。
ド、ドアの音?!
こ、壊れた?!

目を閉じてるからわからないけど
視線を感じる。
起きてるか確認してるのかな?
私は寝てます。
寝てるからそっとして下さい。
私の心臓は破裂しそうなくらい
脈をうってる気がする。
でも、このドキドキは恐怖のドキドキで、
冷や汗が出てきた。

「……?!」
手を触られた後、私のお腹を触った。
こ、怖い。お腹触られてる。
刺されるの?イヤっ。

服が破れてるから、私の素肌に誰かの手が
直接触れている。冷たい手。
ビクッとなったから、起きてるのバレたかな?
やはり、私はこの人に襲われるのかな?
可哀想になるくらいのかなり
小ぶりな胸があるから、
女だとはわかるはず。
悲しいまな板のアラフォー。
女なら誰でもいい人かもしれない。
怖いし、色々と泣きそう。
ダメ、泣いたらタヌキ寝りがバレるわ。
なるべく、ゆっくり呼吸をした。

はあ~。

んっ、あれ?私のため息じゃないわ。
やはり、襲う価値もないくらいの
魅力ない身体だから…
ため息をつかれたのね。


『朝の神様、昼の神様、晩の神様、
いつもの棒読みの毎日のお祈り、すみません。
この少女が助かるなら少しは…真面目に
祈ります。だから、お願いします。
この少女を助けて下さい。』

男性の声、淡々とした声。
なんだか落ち着く?男性の声なのに
安心出来る声だった。

残念ながら日本語ではなくゆりには、
言葉が通じなかった。

しばらくした後、男性が動くと
微かな金属音。
……。
こ、怖い。
そっと手に触れられた後、縄が切られた。
その瞬間、熱い血が流れていくのを感じた。
足の縄も切ってくれている。
私、助かったの?
手首、縛られていた場所からチュッと
リップ音がした。
……。
口付け…キスされた?
舌打ちじゃないよね。
男性からの初めての……。

ダメだ。私全身から火が出そうなくらい
熱くなってきたわ。
手を握り締められてる。

もうダメ。もういいよね?
もう、気絶してもいいよね。

『神よ感謝する。ありがとう。』

言葉がわからないけど、私の手を
握り締めたまま何か話してる。
話しかけられてるのかな?
薄目開けようかな?
う~でも、寝てるから襲われないだけで
もしかしたら……。
目を覚ましたら、犯人の顔を見たからって
最悪の状態になるかもしれない。

25歳のゆりの頭の中は、ただいま
お昼のサスペンスや刑事ドラマの殺人現場、
あとは、なぜか時代劇がぐるぐる回っていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

溺愛されている妹がお父様の子ではないと密告したら立場が逆転しました。ただお父様の溺愛なんて私には必要ありません。

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるレフティアの日常は、父親の再婚によって大きく変わることになった。 妾だった継母やその娘である妹は、レフティアのことを疎んでおり、父親はそんな二人を贔屓していた。故にレフティアは、苦しい生活を送ることになったのである。 しかし彼女は、ある時とある事実を知ることになった。 父親が溺愛している妹が、彼と血が繋がっていなかったのである。 レフティアは、その事実を父親に密告した。すると調査が行われて、それが事実であることが判明したのである。 その結果、父親は継母と妹を排斥して、レフティアに愛情を注ぐようになった。 だが、レフティアにとってそんなものは必要なかった。継母や妹ともに自分を虐げていた父親も、彼女にとっては排除するべき対象だったのである。

メリザンドの幸福

下菊みこと
恋愛
ドアマット系ヒロインが避難先で甘やかされるだけ。 メリザンドはとある公爵家に嫁入りする。そのメリザンドのあまりの様子に、悪女だとの噂を聞いて警戒していた使用人たちは大慌てでパン粥を作って食べさせる。なんか聞いてたのと違うと思っていたら、当主でありメリザンドの旦那である公爵から事の次第を聞いてちゃんと保護しないとと庇護欲剥き出しになる使用人たち。 メリザンドは公爵家で幸せになれるのか? 小説家になろう様でも投稿しています。 蛇足かもしれませんが追加シナリオ投稿しました。よろしければお付き合いください。

聖女のわたしを隣国に売っておいて、いまさら「母国が滅んでもよいのか」と言われましても。

ふまさ
恋愛
「──わかった、これまでのことは謝罪しよう。とりあえず、国に帰ってきてくれ。次の聖女は急ぎ見つけることを約束する。それまでは我慢してくれないか。でないと国が滅びる。お前もそれは嫌だろ?」  出来るだけ優しく、テンサンド王国の第一王子であるショーンがアーリンに語りかける。ひきつった笑みを浮かべながら。  だがアーリンは考える間もなく、 「──お断りします」  と、きっぱりと告げたのだった。

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。 因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。 そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。 彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。 晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。 それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。 幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。 二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。 カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。 こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます

天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。 王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。 影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。 私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!

りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。 食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。 だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。 食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。 パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。 そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。 王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。 そんなの自分でしろ!!!!!

処理中です...