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9、もう1人のヒロインの過去と今
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*エリーゼ・ラミティス、ヒロイン目線*
私のこの世界での目標
・レイチェル・ベルローズ様を眺めながら、あわよくばお友達になること。
・めんどくさい王太子をどうにかすること。
・王太子よりいい条件の人をさがすこと。
・王太子にイイ子を紹介すること。
・私は、筋肉質で包容力ある人と……。
・なるべく目立たないようにする。
・イイ成績はとらなようにするか、数字に関して強くし文官の道を目指す?
・食事改善?和食っぽいのがあれば……ムフッ。
・"神の箱縄"の攻略キャラの好感度を上げないようにすること。
「今のところこんな感じかな?」
私は秘密の手帳に、この世界の文字ではない日本語で
書き込んだ。
万が一この世界の人に見られたとしても、内容がバレないし安心よね。
今の状況が嫌だとしても自分で死ぬ勇気もなく、ただ流されながら生きている。
独り立ちの第一歩として、お貴族様になってしまったならそれを利用しながらなんとかしようと考えた。
気づくのが遅かったけど、まだ間に合うよね?
お貴族様の屋敷から通うことも可能だったけど、あの場所には居たくなかった。
寮に入るにあたって使用人を連れて行くように言われたけど監視の為の使用人だから、必死に断った。
「○○家のご令嬢や○家のご子息も使用人なしで入寮するそうですわ。私もそれに見ならい使用人なしで入寮しますわ。」とゲーム知識内の高位貴族名を言いながら断った。
現実と違ったらどうしようと思いながら、冷や汗をかきながらいったんだけど、義理の両親は私がその高位貴族様と話すほど仲がいいと勘違いしてくれたようだった。
そして私は一昨日、監視という名の使用人なしでの1人で入寮出来たのだった。
エリーゼというゲーム内でのキャラは、平民から"お貴族様"になった。
ゲームをした時にはこんな嫌な事があるなんて思わなかった。
エリーゼの魔力はそこそこ人並みだけどオールマイティの魔法属性設定。
これってチートだけど、どこかで器用貧乏の属性と誰かが言うていた気もする。
前世を思い出した時の私は浮かれていた。
浮かれていた自分を殴りたいと思った。
過去をやり直したい。
あの頃はゲームの世界だと気づかなかった。
今はゲームに酷似した世界にリアルに生きているんだと思っているわ。
少し前の私は、魔法が使える事に浮かれ誰もいない村外れの森で大好きだった魔法少女のポーズをとったり、戦隊モノのように攻撃魔法を連発してたら、たおれたのよね。
魔力枯渇……。
全身筋肉痛と、貧血のように頭が痛かった。
それなのに、私ったら懲りずに何度か魔法の色々して魔力枯渇を繰り返していたら、魔力量は平均値より少し多くなっていた。
魔力量が多くなれば便利だし、商人として色々役にたつんだと思っていた。
相変わらず、誰もいないと思っていた森に、小さく痩せた子がいたんだけど、調子にのっていた私は魔法コントロールが出来ておらずその子に当たってしまった。
魔力枯渇寸前でフラフラしながらも、微かに治療魔法(回復魔法)をしたんだけど、結局私はまた倒れてしまったの。
治療系の魔法が、光や闇魔法のように貴重だと知らなかった。
私のせいでケガをしてしまった子は、私が気絶したからか助けを呼ぶ為に人を呼んだの。
私がそこそこの魔法が使えることや、珍しい治療魔法を使えることがバレてしまった。
どうしようと考えているうちに家にお貴族様が来るし、し、私が傷つけてしまった子はつい最近身寄りをなくしたばかりの子だったらしく、この世界での私の商人である両親はこの子に同情し養子縁組をしたの。
それと同時に、お貴族様は私を養子縁組……養女にしてしまったの。
(血の繋がった子を養子にだして、血の繋がらない子を自分の子にするの?
なぜ?なんで!!)
王太子に気に入られていたのもあり、手を回されてしまった。
(私は一人娘だったし、婿をとり商人になろうとしたのに。)
なんだか売られてしまった気分になってしまった。
私が傷つけてしまった痩せ細った子は、日に日に良くなり素直な子に成長していったわ。
私の両親を取られた気がした。
(私は捨てられ売られたの?
そこは、私の場所だったのに……。)
これは私の感情なの?それとも、エリーゼの感情なの?
お貴族様の仲間入りした私は、寝る時以外顔に仮面を貼り付けたような表情、マナー、教養を強制的に身につけさせられてしまった。
思わしくない成績をとれば、折檻され、罵倒(ばとう).された。
「養女にしてやったのに頭が空っぽの女なんて…無駄金を使わせやがって!!」
「教育してあげてるのに、恥をかかせないでちょうだい!!」
逃げ出したかったのに、逃げれなかった。
言われた通り勉強するしかなかった。
幸いなことに、前世の知識が役に立ってこの世界独自の魔法関連やこの国の歴史を新しく覚える程度で、なんとか成績はそこそこ良くなった。
王太子がまとわりつくけど、お貴族様の義理の父母よりはまだまっしだと思っていたのに……。
卒業パーティーでまさかの王太子とレイチェル・ベルローズ様の婚約破棄。
しかも私を婚約者するとまで言うし、初耳だし、私王太子とだけは嫌よ。
王太子との婚約話に義理の父母は喜んでいた。
(王太子と義理の父母によって、私は元いた商人の娘の居所を失ってしまったの?
いやだ、いや、イヤ……。)
いつのまにかBL大学院に入学させられてしまった。このままだと25歳で王太子と結婚させられてしまう。
なんとか回避しなきゃ。
考えごとしていたら、目の前に美少女のレイチェル・ベルローズ様がいたわ。
癒されるぅ~。
なんだか泣きそう。
見惚れていたら、生徒会とか言う人たちがいた気がする?
私とレイチェル様の憩いのひとときを邪魔されたわ。
入学式の主席あいさつも素晴らしく、美少女レイチェル・ベルローズ様ったら素晴らしいわ。
さすが、ゲームの世界。
でも私にとってはリアルの世界。
多少ゲームとはズレるだろうけど、あの王太子と一緒になってもこの国は……うっ、思い出せない。
入学式も終わり、昼食なんかとる気にならず寮に戻る途中、頭痛が酷くなってしまった。
***
「……。」
「……気づいたかい?」
えっ?誰?
「喉かわいてないかい?」
「……。」
私は、見たことないその男性を見ていた。
「困ったなぁー、保険の先生は確か明日まで帰ってこないし……。すまないなあ、生徒がめったにこないから大丈夫だと言っていたから、代理ひきうけたけど……。体調不良、貧血、栄養不足……君、もしかして。」
えっ?
黙って目の前の男性をついつい見て……観察してしまった。
この世界並みの大きさ身長は余裕で2mあり。
40代前後、この世界での私の両親(商人)と同じ位の年代。お貴族様の義理の父母は50代くらい。
整った顔、優しげな笑顔。
あっ!大きな手が!!
「あっ、ごめんごめん。怖がらせてしまったかな。おでこで、一応熱がないか確かめたかっただけだから、ごめんな、少し触れるけどいいか?」
「……は、はぃ。」
「声は出せそうだね。良かったらこれ、蜜入のハーブティーだから飲んでね。あとこれ、クッキーもな。」
見知らぬ男性に言われるまま、甘いハーブティーと甘い小さなクッキーを食べていたら、若い子はすぐダイエットしたがるんだからとか、君は細すぎるしダイエットは必要ないとか言われてしまった。
ダイエットしてるつもりはなかったし、気づいたら食事らしい食事するのを忘れていたかもしれない。
お貴族様の家ではお上品な食事に厳しいマナー、食事のスピードも計られながらだったし、味もわからなかった。食べた後、気分が悪くなりすぐ吐いてしまっていたわ。勉強さえしてれば、うるさくは言われなかったから……。
「味がする……美味しい……。」
目の前の男性が困りながら頭をボリボリかいていたことも、自分自身が涙を流していたことも気づかなかった。
私のこの世界での目標
・レイチェル・ベルローズ様を眺めながら、あわよくばお友達になること。
・めんどくさい王太子をどうにかすること。
・王太子よりいい条件の人をさがすこと。
・王太子にイイ子を紹介すること。
・私は、筋肉質で包容力ある人と……。
・なるべく目立たないようにする。
・イイ成績はとらなようにするか、数字に関して強くし文官の道を目指す?
・食事改善?和食っぽいのがあれば……ムフッ。
・"神の箱縄"の攻略キャラの好感度を上げないようにすること。
「今のところこんな感じかな?」
私は秘密の手帳に、この世界の文字ではない日本語で
書き込んだ。
万が一この世界の人に見られたとしても、内容がバレないし安心よね。
今の状況が嫌だとしても自分で死ぬ勇気もなく、ただ流されながら生きている。
独り立ちの第一歩として、お貴族様になってしまったならそれを利用しながらなんとかしようと考えた。
気づくのが遅かったけど、まだ間に合うよね?
お貴族様の屋敷から通うことも可能だったけど、あの場所には居たくなかった。
寮に入るにあたって使用人を連れて行くように言われたけど監視の為の使用人だから、必死に断った。
「○○家のご令嬢や○家のご子息も使用人なしで入寮するそうですわ。私もそれに見ならい使用人なしで入寮しますわ。」とゲーム知識内の高位貴族名を言いながら断った。
現実と違ったらどうしようと思いながら、冷や汗をかきながらいったんだけど、義理の両親は私がその高位貴族様と話すほど仲がいいと勘違いしてくれたようだった。
そして私は一昨日、監視という名の使用人なしでの1人で入寮出来たのだった。
エリーゼというゲーム内でのキャラは、平民から"お貴族様"になった。
ゲームをした時にはこんな嫌な事があるなんて思わなかった。
エリーゼの魔力はそこそこ人並みだけどオールマイティの魔法属性設定。
これってチートだけど、どこかで器用貧乏の属性と誰かが言うていた気もする。
前世を思い出した時の私は浮かれていた。
浮かれていた自分を殴りたいと思った。
過去をやり直したい。
あの頃はゲームの世界だと気づかなかった。
今はゲームに酷似した世界にリアルに生きているんだと思っているわ。
少し前の私は、魔法が使える事に浮かれ誰もいない村外れの森で大好きだった魔法少女のポーズをとったり、戦隊モノのように攻撃魔法を連発してたら、たおれたのよね。
魔力枯渇……。
全身筋肉痛と、貧血のように頭が痛かった。
それなのに、私ったら懲りずに何度か魔法の色々して魔力枯渇を繰り返していたら、魔力量は平均値より少し多くなっていた。
魔力量が多くなれば便利だし、商人として色々役にたつんだと思っていた。
相変わらず、誰もいないと思っていた森に、小さく痩せた子がいたんだけど、調子にのっていた私は魔法コントロールが出来ておらずその子に当たってしまった。
魔力枯渇寸前でフラフラしながらも、微かに治療魔法(回復魔法)をしたんだけど、結局私はまた倒れてしまったの。
治療系の魔法が、光や闇魔法のように貴重だと知らなかった。
私のせいでケガをしてしまった子は、私が気絶したからか助けを呼ぶ為に人を呼んだの。
私がそこそこの魔法が使えることや、珍しい治療魔法を使えることがバレてしまった。
どうしようと考えているうちに家にお貴族様が来るし、し、私が傷つけてしまった子はつい最近身寄りをなくしたばかりの子だったらしく、この世界での私の商人である両親はこの子に同情し養子縁組をしたの。
それと同時に、お貴族様は私を養子縁組……養女にしてしまったの。
(血の繋がった子を養子にだして、血の繋がらない子を自分の子にするの?
なぜ?なんで!!)
王太子に気に入られていたのもあり、手を回されてしまった。
(私は一人娘だったし、婿をとり商人になろうとしたのに。)
なんだか売られてしまった気分になってしまった。
私が傷つけてしまった痩せ細った子は、日に日に良くなり素直な子に成長していったわ。
私の両親を取られた気がした。
(私は捨てられ売られたの?
そこは、私の場所だったのに……。)
これは私の感情なの?それとも、エリーゼの感情なの?
お貴族様の仲間入りした私は、寝る時以外顔に仮面を貼り付けたような表情、マナー、教養を強制的に身につけさせられてしまった。
思わしくない成績をとれば、折檻され、罵倒(ばとう).された。
「養女にしてやったのに頭が空っぽの女なんて…無駄金を使わせやがって!!」
「教育してあげてるのに、恥をかかせないでちょうだい!!」
逃げ出したかったのに、逃げれなかった。
言われた通り勉強するしかなかった。
幸いなことに、前世の知識が役に立ってこの世界独自の魔法関連やこの国の歴史を新しく覚える程度で、なんとか成績はそこそこ良くなった。
王太子がまとわりつくけど、お貴族様の義理の父母よりはまだまっしだと思っていたのに……。
卒業パーティーでまさかの王太子とレイチェル・ベルローズ様の婚約破棄。
しかも私を婚約者するとまで言うし、初耳だし、私王太子とだけは嫌よ。
王太子との婚約話に義理の父母は喜んでいた。
(王太子と義理の父母によって、私は元いた商人の娘の居所を失ってしまったの?
いやだ、いや、イヤ……。)
いつのまにかBL大学院に入学させられてしまった。このままだと25歳で王太子と結婚させられてしまう。
なんとか回避しなきゃ。
考えごとしていたら、目の前に美少女のレイチェル・ベルローズ様がいたわ。
癒されるぅ~。
なんだか泣きそう。
見惚れていたら、生徒会とか言う人たちがいた気がする?
私とレイチェル様の憩いのひとときを邪魔されたわ。
入学式の主席あいさつも素晴らしく、美少女レイチェル・ベルローズ様ったら素晴らしいわ。
さすが、ゲームの世界。
でも私にとってはリアルの世界。
多少ゲームとはズレるだろうけど、あの王太子と一緒になってもこの国は……うっ、思い出せない。
入学式も終わり、昼食なんかとる気にならず寮に戻る途中、頭痛が酷くなってしまった。
***
「……。」
「……気づいたかい?」
えっ?誰?
「喉かわいてないかい?」
「……。」
私は、見たことないその男性を見ていた。
「困ったなぁー、保険の先生は確か明日まで帰ってこないし……。すまないなあ、生徒がめったにこないから大丈夫だと言っていたから、代理ひきうけたけど……。体調不良、貧血、栄養不足……君、もしかして。」
えっ?
黙って目の前の男性をついつい見て……観察してしまった。
この世界並みの大きさ身長は余裕で2mあり。
40代前後、この世界での私の両親(商人)と同じ位の年代。お貴族様の義理の父母は50代くらい。
整った顔、優しげな笑顔。
あっ!大きな手が!!
「あっ、ごめんごめん。怖がらせてしまったかな。おでこで、一応熱がないか確かめたかっただけだから、ごめんな、少し触れるけどいいか?」
「……は、はぃ。」
「声は出せそうだね。良かったらこれ、蜜入のハーブティーだから飲んでね。あとこれ、クッキーもな。」
見知らぬ男性に言われるまま、甘いハーブティーと甘い小さなクッキーを食べていたら、若い子はすぐダイエットしたがるんだからとか、君は細すぎるしダイエットは必要ないとか言われてしまった。
ダイエットしてるつもりはなかったし、気づいたら食事らしい食事するのを忘れていたかもしれない。
お貴族様の家ではお上品な食事に厳しいマナー、食事のスピードも計られながらだったし、味もわからなかった。食べた後、気分が悪くなりすぐ吐いてしまっていたわ。勉強さえしてれば、うるさくは言われなかったから……。
「味がする……美味しい……。」
目の前の男性が困りながら頭をボリボリかいていたことも、自分自身が涙を流していたことも気づかなかった。
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