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11 姉と元騎士団長

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リリーと元騎士団長のラドリックは、
旅を続けていた。
冒険を始めひと月半、薬草やレベルの低い
魔物を倒したり、ラドが倒した魔物の
とどめを刺したりしていた為、
リリーのランクが上がった。
Eランク。
まだまだ駆け出しには違いないが、
ランクの高いラドが常にいる為、
知識量はかなりなものになっていた。

リリーが作りたがっていた
ポーション系や毒消し効果付きの
万能薬の作り方を教えると、
リリーはほとんど失敗せずに、
つくれるようになっていた。
ラドの半分くらいのスピードで
作れるまでに、なっていた。
魔力を込めて、魔法で水を出した物で
ポーションを作ったリリー。
ラドが、何も言わないうちに、アレンジして
最高級のポーションや万能薬まで
作ってしまったのだ。

ラドはリリーにレベルの低いポーションなどは
ギルドに売り、性能の良い物は
そのまま持たせていた。
「薬師になりたいなら、冒険者から薬師に
鞍替えしてもいいレベルだ。切り替えるなら
今だ。薬師として薬を作ったらいい。」
「……。」
「薬師になったとしても、俺は
リリーお嬢様のそばにいるから
安心しろ。」
「…ち、ちがっ。」
顔を赤くしながら、照れているリリー。
その照れているリリーを見つめながら
遠い目をするラド。
「…迷っていいから、ゆっくり
考えたらいい。自分の人生だからな。」
「……ラド様は、なぜ……?」
「んっ?」
「……いえっ。」
ラドの表情と雰囲気から、リリーは
言葉を飲み込んでしまった。

「ランクの低い者は、好きに使われやすく
高価なポーションでさえ、安く買い叩かれる。」
「えっ?そんな事……。」
「現に、さっきのポーションも俺が
売ると1.5から2倍…、下手したら3倍の
値段で買い取るだろうな。」
「えっ?なんでぇ。」
「鑑定眼を持つものが見たら、
どのランクの者が持ち込んだのか
見れる場合があるんだ。」
「エッ?!」
「たとえば俺が作って、リリーお嬢様が
売ったらどうなると思う?」
「えーと、それは…ラド様が作ったから…
…でも、私が売りに行きポイントが
付くから、私?」
「そうだ。売った時の登録した一部が
商品に付与されるんだ。」
「……。」
「納得いかないか?」
「うーん。」
「商業ギルド登録の商店の商品が良い例だな。
あれは、誰が作っても店に売った段階で、
店の名前の賞品になる。店の名前の
価値により値段が変わるんだ。」
「あっ、そうか。だから…。」
「そう、もう少しランクアップした時
ポーションとかを売る方が、効率いい。
せっかく品質がいいのに、いまは
安く買い叩かれるからもったいない。」
「そうなんだ。教えてくれてありがとう、ラド様。」
「相変わらず"様"付けなんだな。
リリーお嬢様。」

「ラド様はラド様です。私はいつも私です。」
「ははは、よくわからんな。」
「はい、私もわかりませんから。」
「あはは……。」
まっそれが、リリーお嬢様の魅力
なんだろうけど、どんどん巻き込まれていくなぁ。
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