上 下
50 / 64

第50話 おかえりなさい

しおりを挟む
チマリ、アラン、ストルグは、ほぼ同時に、
気がつきました。
蝶の姿も、ありません。

「チ、チマリ、大丈夫か?どこか、痛いところ、
辛いところ、苦しいところないか?」

ボヤ~とする視界で、男性の声だけが、聞こえました。
チマリは、よく見ようと、何度か、目を開けたり、
閉じたりしていました。

「目、目が痛いのか?」
違う、声が、違う。
チマリが知っている声に、似ていたけど、
かすれ声だった。
「大丈夫?」
誰の声だろう?
「誰?」
声をかけた、男性、リマーユ王子は、
酷く落ち込みました。

「ま、まさか、記憶が…いや、でも、生きているだけでも、嬉しいし、記憶も、そのうち……。」
「チマリ、俺は、リマーユだ、リマーユ。」
「すみません。」
「いや、こちらこそ、大丈夫だ。無事なら、良かった。記憶は、戻ればいいが、俺の名前、覚えていてくれたら…。いやしかし、忘れていても、リマーユって、覚えて欲しい。」

「…リマーユ王子、すみません。」
「チマリ、謝らなくていい。大丈夫だから。」
リマーユ王子は、記憶が一時期ないと思い、チマリを心配しながらも、落胆を隠せない自分が、いやになっていた。

「あのぉ、違うんです。リマーユ王子の事も、アラン隊長も、ストルグ王子の事も、わかります。ただ…。」
「ただ、なんだ、ただ?
リマーユ王子は、チマリが、自分を分かる事に、喜びながら、たずねました。
「ただ、目を開けにくくて、リマーユ王子の、声もかすれていたから、あの~、すみません。一瞬、誰かわからなかっただけですから。すみません。」

「あははは、そうだったんだ。それなら、よかった。ほんっとうに、よかったよ。」

「おーい、リマーユと、チマリ。俺たちも、目覚めたんだが、なんだか、服が、おかしなことになっているんだ。」
アラン隊長は、まるで、お母さんのような、シンプルだけど上品な、ドレス姿でした。

ストルグ王子は、10歳位の、可愛い男の子に、なっていました。しかも、奇抜い色のカラフルなスーツ姿でした。
不思議と、すごい色々のスーツなのに、あまり違和感はありませんでした。

2人とも夢で、出てきたような、服装、姿かたちでした。
しおりを挟む

処理中です...