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第40話 ざんげ

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国葬をする為、祭壇を設けていた。
王の枕の下から文書を発見された。
チマリの、存在は、まだ、皆には知られていなかった。

ストルグ王子は、冷たくなってしまった、
アランから、離れる様子はなかった。
どれくらい、時間が経ったのか、わからないくらい、
ストルグ王子は、涙も枯れるほど、泣き嘆いていた。
いつのまにか、ストルグ王子の手には、
2通の手紙が、握りしめてられていた。

王の最後の手紙を、王の側近から、受け取ったものと、ほぼ、同時に、チマリの世話を内密にしていた者から、目を覚まさない、チマリからの手紙を、受け取った。

アランと、チマリに、嫉妬のあまり、
2人に、取り返しのつかない事をしてしまった。

「誰か、誰かいるか?」
そばに、控えていたものが、リマーユ王子に、応じると、
「リマーユと、客間にいる、リマーユに似た女性がいるはずだから、すまないが、彼女は、寝たままだろうが、ここにつれてきてくれ。」
「はっ。かしこまりました。」
本来なら、私が…。出来れば、私が…。

小さい頃から、次の王は、お前になるはずだからと、母親から、毎日毎日責めるように、言われ続けていた。
『せっかく、王族特化の、目だけでも、授かったのに…。』
俺を見ながら、王妃は、恐ろしげな表情をし、
『目は、いいけど、髪色が、ダメね。髪をあの人の色に、染めなさい。気に入られるように、言葉、振る舞い、気をつけなさい。』
朝から晩まで、寝相まで、一つ一つ、嫌味や注意ばかりだった。
家庭教師も、四六時中いたから、遊ぶ暇なんか、なかった。私が、間違えると、ムチで、ひどく打たれた。
剣も、勉強も、1番でないと、王妃が…。

何度か、見かねた、教師が発言すると、その教師は、二度と逢う事はなかった。

自分は、一番じゃないとダメ。
周りを信用してはダメ。
可能性が、あるものは、弱いうちに、つみとる。
王妃の教えは、こんな感じだったが、いつも1人ぼっちの自分に寂しさは、あったし、違和感もあった。
このままで、いいのかと。

王妃が亡くなってからは、周りの見る目が、変わった。
ワガママ王子が、またかって感じで、仮面をつけた者だらけになり、味方はいない事に、気づいた。
根気よく、俺のワガママに、付いてきてくれたのは、乳兄弟のアランだけだった。
アランに、教えてもらった立ち居振る舞いや、女性への気遣いなど、驚くことばかりだった。
何もかもが、新鮮に感じ、毎日が楽しかった。
自由になれた気がした。

少しは、人間に近づけたはずだったのに、結局は、王妃の操り人形か、ワガママ王子の復活だ。

私に、2つの蝶のアザの奇跡が、使えたら、どんなに良かった事だろうか。

コンコン。
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