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第24話 身代わりの運命。

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チェムは、誰もいないリマーユ様の
部屋にいました、、
チマリが、消えた。さらわれた?
護衛もいない。
かすかな薬品の匂い。
眠り効果のある、薬品だろう。
すぐに、ストルグ王子に知らせました。
捜索網を広げ、次々と報告が入りました。
「何者かによって、リマーユ第二王子が、
さらわれました。」
「予定外の、リネン類のワゴンがあり、
まだ返却されてないそうです。」
「ワゴンが、西側の倉庫前に
ありました。中身はからです。」
「二人組の、大柄な女性が、
荷物を馬車に移し、森方面に行った
そうです。」
限られた人数で、リマーユを、
はやく探して欲しい。
本人を探し出してくれたなら、
さらにうれしいと、ストルグ王子は、
思っていました。

ガタガタガタガタ。ごごっ。
ドカッ。
バキッ。
ドサッ。
パカラッ、パカラッ、パカラッ…。
目がさめると、布の袋の中に、
入れられ、運ばれている様子でした。
馬?振動がダイレクトに伝わり、
身体が痛い。
このまま、水に入れられたり、
捨てられるの?
拘束は、されておらず、手足は
自由に、動かせました。
寝返りをしようとしましたが、
かなりのスピードで走ったいるのか、
ズレてしまったのか、体半分は鞍、
もう半分は、馬の背状態でした。
痛みが酷く、気が遠くなりました。

「もう、目覚めているのか?声は
出さないようにしないと、痛い目に
あうから、おとなしくしてろ。」

いざ、死ぬとわかっていても、
怖いものは、怖い。
痛みで、声なんか、出せないわ。
時間感覚は、わからないまま、
いつのまにか、気を失っていました。

「ここまでくれば、大丈夫かなぁ?」
袋から出して、平民の服に着替え
させようと、ブラウスを脱がした時
「女だったのか。あの噂は、本物。」
男は、考えを巡らし、右肩の
アザを探した。
「2つの…。あった。本物。」
まさか、昔の噂が本当だったなんて、
驚きだった。
性別は、わからなかったから、
常に不安だった。
もし、同性なら、命の危機がある。
異性なら、まだ、助かる可能性が
あった。女でよかった。
もう一度、袋に入れなおし、
抱えるように、馬に乗り、
来た道を引き返しました。
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