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第3話 身動きとれません。

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アラン隊長目線

極秘任務を遂行中。
三人での行動中、教会を隠れ蓑にし、
少し髪を伸ばした、探し求めていた方が、
やっと、見つかった。
約ひと月ぶりだった。
今まで遠目でしか、お会いしたことが、
なかったが、近くでみると、なかなか、
かわいい顔をした、男性だった。
まるで、女の子のようにも、みえる。

夕暮れの教会、終わりかけの頃、
子どもと、お話をされている姿も、
時折、憂いを帯びた微笑みも、
衝撃的だった。
相手は、子どもで、男だ。
なんだ、この、締め付けられるような、
心臓の、動き。病気か。そういえば昨日、
野菜は食べずに、肉を食べすぎたから、
消化不良か?

俺たちは、しばらく、観察をしていた。
今度こそ、逃がさない。
間に合わせなければ、ならない。
子どもを見送り、丁寧に神父様達に、
挨拶をされていた。
教会から、出てきた。
タイミングを間違えては、ならないと思い、
気合いを入れ直した。
仲間の2人を背後にまわし、逃げられないように、
俺は、前から声を、かけた。

「探しましたよ。逃げても無駄です。」
えっ?
「そのような格好を、しているから、
探すに苦労しました。」
驚いた顔もかわいい。
「た、助け…」
叫ばれたらやっかいだ。俺は、手で
口を塞いだ。なんだ、この、やわらかさ。
逃げれないように、後ろから拘束した。
剣技を、サボっていたのか、筋肉が落ち、
子どもの体?みたいに柔らかかった。
約ひと月、食べれなかったのか、
ひどく痩せていた。

一瞬力を入れられたようだが、やはり、
食べてないからか、すぐに力は緩んだ。
逃亡生活していたが、やはり逃げ出したい
心境なのだろう。このお方が、
もし、女性なら、よかったのに。
「泣かないで下さい。ただ、叫ぶのは、
やめて下さい。お願いします。」
泣き顔は、苦手だ。
俺を一瞬見上げた顔に、また、なぜか
心臓が締め付けられたような、
感覚がしたが、安心させる為、俺は、
ぎこちなく、にっこり笑ってみた。
ぎこちなさすぎたか、また、
涙を流していた。

「隊長、泣いてますよ。呼吸しにくそうだし
外してあげては、どうですか?」
「あぁ。すまない。本当に、叫ばないで、
下さいね。」
この、お方は、小刻みに首を縦に
振られていた。可哀想だが、
「もう、逃げれませんよ。あと、
数日後ですから、覚悟してください。」
また、泣かしてしまった。

「隊長、力強いから、あーぁ、可愛そうに、
かわいい顔に、手の跡が、あーぁ。」
「大丈夫ですか?」
俺の力が強くて、痛かったのか、仲間に
おちょくるように、言っていたが、
このやわらかな、触り心地が良いほっぺや、
口は、赤くなっていた。
「すまない。思ったより、柔らかな
ほっぺで、力、入れすぎた。すまん。」

「柔らかなほっぺ?あっ本当だ。プニプニ
気持ちいい、ほっぺ、いいね。」
二人は、ほっぺをぷにぷに、
つんつんしていた、
「おい、お前ら、失礼な事はやめろ。」
「えー、ずっと触ってるの、隊長だけ
ずるーい。今も、手握ったままだし、
そーゆー趣味だったんだ。」
「そーゆー趣味。隊長、やーらし。」
「う、うるさい、これは、安全の為、
逃げないようにだ。」

つい力が入り、引っ張ってしまい、
よろけてしまったお方を、俺の、
ひざの上に、乗せてしまった。
柔らかい。
ダメだ。男なのに、俺はなぜか、
心拍数が、上がってしまった。

「ご、ごめんなさい。」
しまった、謝られてさしまった。
「揺れるから。危ないから。着くまで、
ここにいたらいい。」
「「はっ?」」
「隊長。やはり……。」
……。
「違う、何を、勘違いしてるだ。」
「俺は、やましい気持ちはなく、
じゅ、純粋な気持ちで、危ないから、
安全の為、そうだ、安全確保の為
俺の膝に、乗せてるだけだ。」
「うわぁー。」
「隊長、色々、アウトです。」
「ち、違う。第一、この方は…。」
「この方は?」
「このお方は、男だ。」
仲間には、バレたのか?
俺の心拍数も、上がって行くと、
馬車の、揺れで、俺のひざの上で、
寝てしまった。

ヤバイ。かわいい。
自分でも抑えれない、心拍数に、
俺はやばいのか。

「行かないで…。私も…死にたい。」
死にたい?夢で、うなされるくらい
嫌な事なのか。
なんとか、このお方をお守り、
できないものなのか。
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