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第1話 日常

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私、チマリ18歳は、両親が病気で、
あっけなくこの世を去り、三年が
経ちました。
両親は、狩りや、薬草畑も作り、
簡単な薬や、小間物作りをして、
生計を立てていました。

三年前の流行病で、寝る間を惜しんんで、
薬作りをし、ほぼ無償で、村や町の人に
配り歩いていました。
時には、知らない人の看病を
したりしていました。
お人好しな両親。
流行病が収まった時、薬を配り終え、
帰ってきた両親は、崩れるように倒れ、
そのまま、目を覚ましませんでした。

両親が亡くなった時、病気と
思われたのか?村や町の人の反応は、
腫れ物に触るのように、冷ややかで、
なんだか、虚しくなりました。

15歳の私は、両親を弔い、今では、
最低限の人付き合いをしながら、
村はずれに、あったボロ家に住み着き、
薬草畑の、薬草も、新たに畑を耕して、
色々な物をつくりました。

薬草作りや、狩り、動物をさばくのも
両親から教わり、今では、ほぼ、
自給自足の生活状態です。

動きやすいように、両親の服を、
リメイクし、汚れが目立ちにくい色の
ズボンをはいて、髪の毛も、ギリギリ、
1つくくりに出来る長さです。
ぱっと見は、男の子。
町に行く時も、この格好だから、変に、
絡まれないし、便利。知り合いには、
ちょっと冷ややかな、視線をもらうだけ。

最近、チラチラと視線を感じるけど、
気にしないようにしました。

月に一度、二日間にわたりバザーが、
開かれ、私が作った薬や小物を、
町の教会の、売り場の一部をかりて、
売り子をしてます。
神様は、信じてないけど、教会の、
神父様や、シスターは、優しいし、
そして、身寄りのない子ども達と、
話しながら、売り子をするのは、
とても楽しいです。

売れ行き好調。
1日目にして、ほぼ売り切れました。
帰ったら、明日の分も、大急ぎで、
作ろうかなぁ。

数日前教会に、売り場を貸してもらう
お礼に、各種薬と育てたハーブを
数種類、渡しました。
子ども達が作った手作りクッキー、
ハーブを混ぜ込んだクッキーは、
とても美味しかったぁわ。
少し焦げたものや、割れたクッキー、
失敗作は、子ども達の、おやつで、
売り子を、始める前に、
少し分けてもらい、食べたら、すごく、
美味しかったんです。

1日目も、終わりかけ、売れ残りの
物を、代金を、渡して買おうとすると、
小さい子ども達に、
「チマリお姉ちゃんに、貰ったら
ダメって言われたから、これ、いいよ。」
「あっ…。そっか。うん。ごめんね。」
私から、貰ったら、ダメなんだ。

まだ、小さな子どもは、クッキーの袋を、
握っていました。
「そろそろ、お片付けしていこうか。」
「うん。」
クッキーの袋を握りしめた子どもは、
不思議そうな、顔をし、
「クッキーは?」と訪ねてきたので、
「クッキー、余っちゃたね。どーするか、
わからないから、シスターに聞いておいで。」
「うん。わかった。」
パタパタパタパタ。
元気に走って行く子どもを見送り、
私は、片付けをし、神父様達に、
お礼を、言い教会をあとに、しました。
もう、三年経つけど、やっぱり、
原因不明の、流行病だったから、
私もまだ、病気と思われてるのかな?
両親が、亡くなった原因も、過労死
なのに、流行病と同じ扱いされたし、
なんで、私だけ、生きてるんだろ。

早く、お金を貯めて違う町に、行こう。
私の事、ダレも知らない町に。

「探しましたよ。逃げても無駄です。」
えっ?
「そのような格好を、しているから、
探すに苦労しました。」
な、何?
「た、助け…」
叫ぼとしたけど、口を塞がれ、
羽交い締めされ、ました。
人さらい。
ダレも、知らない町に、行きたかった
けど、人さらいはイヤ。
私は、売られるの?
こわい。
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