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14、おっチャン、目覚める

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気絶させられたナオキ、
異世界1日目、色々ありすぎた長い長い
1日目を終わり、2日目に突入した。

目を覚ましたナオキは驚いた。
目の前には至近距離で眠る赤髪の
ハロルドがいた。
長いまつげ、形がいい赤い眉毛、
鼻筋はとおり、彫りの深い顔立ち。
「えぇなぁ……。」
少し羨ましいハロルドのイケメンぷりに、
思わず呟いたナオキ。
聞こえていたのか、顔を触っていたからか
くすぐったそうに笑いながら、
ナオキ指を口に含んだハロルド。
驚きで目を見開いた、ナオキ。

「可愛い。」
一瞬、肉食獣に狙われた様な感覚に陥った
ナオキは思わず後ずさった。
後ずさりした俺は悪くない……はず。
「逃げないでよ。ナオキは可愛いな。
可愛いナオキ、ほらプレゼント。」
「……。」
ピンクの花?
水につけていないので少し萎れている。
いつ抜いたのだろうか?
ひきちぎられたような花は、痛そうだった。

ぱっこーん。

「いだぁー。」
「犯人はあなたでしたか。団長。」
仁王立ちしている大きな人。
声に柔らかみがあり、腰まである
ふんわりしたカールがかかった
輝く金色の髪、ブルーサファイアのような
澄んだ瞳。すごくきれいな人だ。
「オスカルゥー、痛いよー。」
そう、オスカル様だ。
初めて見た時はきれいな女性と思い
ドキドキしたが、騎士団に男性はいない事、
このピンキー王国の9割が男性と聞いた時の
俺の絶望感。
異世界で可愛い、きれいなねえちゃんと
イチャラブ、恋の物語は……って思った。
そしたら(すると)逆に9割が女性の国もあると
聞いた時の俺は、その国に絶対に
行ってやると思ったのだ。
ハロルドさんたちは、微妙な顔をしていたが
イケメンでモテモテの顔面偏差値が高い
騎士団の面々にはわからないだろう。
俺は、たぶんというか転生というものをして、
若返ったはず。だから、主に女性と
是非ぜひお友達になり、イチャイチャ、
時にはぴー(自粛規制の言葉)をしたい。
運のいい事に、女性だらけの国は
隣の国でリーン国というらしい。
「……。」
自分のメモがわりのノートにも、
人物名の後に、リーン国と書いた時
素晴らしくネーミングセンスがない"誰か"が、
テキトーにつけたような国名、
それか寝不足のあまり名前とかが
思いつかなかった"誰か"がつけた
国名としか思えなかった。
あっ、あの女神様なのか?

すぱーん。
ハロルドさんとオスカル様の
やりとりは続いていた。
ハイレベルなイケメンVSハイレベルな美人
そういえば軍師さんの竜は水色、
美人なオスカル様の瞳はブルーサファイア
のきれいな色。
竜の色とそれぞれ関係あるのか?
「ナオキ、浮かない顔をして
どうかしたのか?」
「あっ、オスカル様…お花すみません…。」
「君が謝る必要はない。悪いのは
無断で人のものをあらし、花壇から
ぶち抜き、しかも他の花を踏んだ形跡が
あったこの犯人、ハロルド団長が悪い。」
パァーン。
この世界にも、スリッパはあるんだと
ナオキは思った。

「むしろこの私が君に似合う花を
1番に贈りたかったよ。はいこれ。
カゴの下にシンが触った土があるから
長持ちするよ。」
".シン"確か茶色の竜の副団長?
茶色の竜、土の色……。
カゴいっぱいに、小さな色とりどりの
花が生き生きしながら咲いていた。
「おおきに。ありがとう、オスカル様。」
「…その、様呼びはやめてくれ。
その団長ですら"さん"呼びだし、なんか
くすぐったい感じがする。」
「あっ、でも……。」
「私も君を呼び捨てにしてるし、君も
呼び捨てか、そうだな……。」
オスカル様は実にいい笑顔で笑って
おられました。はい、美しい人が笑うと
怖いんだと、わかりました。はい。
「オスカルお兄様と呼んでくれていいよ。」
「お、オスカル、お兄様。」
「うん、実にいい。」
満面の笑みで、オスカル様…オスカルお兄様は
ハロルドさんにドヤ顔をしていた。

「ナオキ~、お、俺もお兄様かお兄ちゃまって
呼んでいいぞ。むしろ呼んでくれ。」
「ヤダ。」
俺の中で、なんかの警鐘がなっていた。
特別な呼び方は、人に優越感を
与えやすいのだ。
きっと、たぶん……。

「あっ、ハロルドさんに聞きたいことが
あるんやけど、ええかなぁ……あっ、
いいでしょうか?」
「ふふっ、あぁー、なんでもハロルド
お兄ちゃまに聞いていいんだよー。
ハロルドお兄ちゃまが、なんでも
答えてあげるよー。」
お兄ちゃま推しでキタ~。
「えーとっ。では、疑問に思っていたんだけど…
いたのですが……、竜とその竜に
乗ってる人と髪や瞳が同じなのは、偶然なの?」
「おっ。いい質問だ。ハロルドお兄ちゃまが
答えてあげよう。オスカル、君は
仕事に戻っていいよ。」
グゥー~。
絶妙なタイミングで、俺のお腹がなった。
「お腹をすかせた、可愛いナオキに
オスカルお兄様が朝ご飯を一緒に
食べさせてあげるね。」
パチンと音がしそうなくらいの
きれいな人による、きれいなウインクは
バッチリ決まっていた。
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