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12、おっチャン、夢を見る

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白いぼやけた視界。
俺は夢を見ているのか?
ナオキは、しばらく居心地のよい
ぼや~っとした空間にいた。
急に空気が変りはじめ、浮遊感に
包まれた後、視界がひらけてきた。

大きなスポーツバックをたすきがけにした
そこそこ大きな男性が見えてきた。
上から見下ろしているからか、目線が
頭にいき、その頭には白いものが
混じりはじめていた。
少し寂しくなったとある物……ごほっ。
男性は大きなあくびをしながら、車や人が
まばらな薄暗い朝の中、足早に歩いていた。

目の前には、どこかで見た…景色…?
あれ?見たことが……。

そこで、ナオキ気がついた。
あの女性がこけてまうんや、ほんで(それで)
たしかティーバッグちゅう、
ピンク色のヒモパンが見えるんや。
素晴らしい景色、さえぎる物がない
形の良いお尻と、パンツ。
至近距離で、パンツをみたおっチャン。
丸見えになったお尻にガン見してしまい、
迫りくる、これまたピンクの車に
気づかなかったおっチャン。

改めて見ると俺の目、血走ってるなあ。
頭部は努力したおかげか、毛根が
頑張ってくれたのか、髪が少し増えてるわぁ。
この調子なら、ふさふさでロン毛
間違いなしやったのになあ……。
パンツかあ。いいお尻やった。
再びその男性、前世のナオキを見ていた。

寝不足のわりには、俺の下は…
朝から元気にテントはってるなあ。
女性は、俺の顔と迫ってくる車に
驚いて、悲鳴を上げて逃げてる……。
まあ、目血走って、テント張った
オッサンにガン見されたら、逃げるわな…。
その後や、あっ、やっぱり……無理や。
「あかん……来るな。」
ドォン。
ぶつかる音、クラクション、悲鳴。
複数のサイレンの音、ざわめき。
自分自身に起きた事が展開されてるんやけど
俺は、見つづける勇気はなかった。
手足は、へんな方向に曲がっていた気はする。
「……痛い……やめて。」

すぅーと、目の前が明るくなった気がした。
恐る恐る目を開けると、あの助けた
女性がふわふわ浮いていた。
あれ?結局ねーちゃんも、あの時
助からんかったのか?
なぜか、自分の頬が濡れていた。
静かに流れていた涙。

「泣かないで。ごめんなさい。そして
助けていただきありがとう。
と言いたいけど……私のお尻をあんなに
見るなんて、恥ずかしいわ。」
「そ、それは、申し訳ない。」
ナオキは素直に謝りそして、思わず
目をそらしてしまった。

「まあ、私に見惚れてしまったのは
しょうがないわ。私の魅力が効きすぎた
ばかりに、車にひかれてしまったナオキさん。
私にも責任あるし、今なら、少しだけ
追加でオマケつけてあげるわ。」
「おまけ?」
「そっ、実は私、この国では女神様してるの。
あの国には、ちょっと知り合いに会いに
行ってたのよ。」
「……知り合いですか。」
相槌をうつかんじで、何気なく繰り返しただけの
ナオキの言葉に、目の前の女神は
顔を赤くしながら、オロオロし始めた。

「そっ、そうよ、知り合い、知り合いなのよ。
けっしてあやしい本やDVD、
あとなんだたかなぁ?ブルーなんとかで、
人間の生態系の仕組みを見ようとか、
試しに生で見たいとかじゃなかったのよ。
たまたま、ケータイとかいう魔道具に、
たまたま、"きれいなおねえさんとしたい"
とか、"早くあってしたい"って文字に
誘われたの。試しにちょうどいいかなぁって
思って、2回目の文字にお返事したら、
時間とか場所とか指定されたの。
私をすっごく褒めてくれるし、何度も
お誘いきたから、その人の熱意に負けて
見ず知らずの人族だけど、今回だけよって
会う約束しちゃった…今回だけなのよ。
こんなのは、はじめてなんだからね。
普段はピュアで、か弱くて、おしとやかな
私は品行方正で、この国では約7割に
私は女神として信仰されてるのよ。」
「あっ、そうですか。←棒読み。」
それ、めちゃくちゃあやしいヤツや。

「な、何よ~。嘘じゃないわ。その人、
私の事、"俺の女神様だあ"とか言うし、
すごい鑑定眼の持ち主だったのよ。
私、まだ、その人に女神って言って
なかったのに、見てるかのように、
私に、"きれいだ。"とか"美しい、俺の女神。"
とか、"可愛い、俺の女神。"って毎回
文面に書いてきてくれるの。
すごくなぁい?きっと、透視眼まで
持っていて、私を見染めたのよ。」
あかん、それめっちゃ騙されるパターンや。
女神の話は、しばらく続いた。

「…まあ、いいわ…。気を取り直して、
何か望みや欲しい物はある?」
「今は、特に思いつかないけど……。」
「けど、何なにナニ?早く言って。
お姉さんは忙しいし、あなたの意識が
戻りそうなのよ。」
「俺は、何ですか?人間じゃないの?」
「あっ、それなら……。魔王に……
逢いなさい……。」
「……。」

最後の方は、聞き取れず消えていった。
同時に……すごい圧迫感が……。
グェェェー。
「ナオキ…俺がいる…俺がそばにいてやるから。」
締め付けるハロルドさんの抱擁に
目覚めたばかりの俺は気絶した。
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