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ユキさん

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第8話 ~修行の日々

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ー由樹ー



今日の俺はリアルで早番の仕事だった。三時頃に帰宅し、リビングのソファーで寛いでいると、



「たっだいまぁ~♪…およ? あんちゃんじゃないか!」



元気のいい声と共に帰ってきた妹の芹菜、俺の存在に気付くとすり寄ってくる。微睡みかけていた俺の意識は一気に覚醒し、芹菜の存在を認める。俺の機嫌はちょい悪い、寛ぎから微睡み、そして居眠りという至高の連続行動が妨げられたのだから。



しかし機嫌がちょい悪でも、芹菜の相手はしてやる。一応は可愛い妹であるしな、…面倒くさい奴ではあるが。…で当然、話題はF.E.Oになるわけで、



「あんちゃんはさぁ、F.E.Oで何してんの?」



そう聞いてきた。…そういえば、F.E.Oを貰ってからまともに会話をしていないな。まぁとにかく…、



「F.E.Oにての活動か。俺の今までの活動は、初日は街の散策に草原での軽い戦闘。二日目から…。」



そう言って思い出すは、生産修行の日々だった…。



────────────────────



-ティル(回想)-



俺は一心不乱に木を削る、使う人のことを考え…即ち自分のことを考えて削る。俺に合う物を、俺の為だけの物をこの手で作っているのだ。



「使い手のことを考えて作るのだぁっ! 思い浮かべるといいさ、それを使う自分のことを! それを使って物を作る自分の姿を! そうすればきっと、良い仕事道具へと生まれ変わる筈さぁっ!!」



そんな俺の横で吠えているのは、木工師のエイガー師匠。彼の腕は、他の師匠達が口を揃えて『敵わない』と言う程の超一流。日用雑貨から家具全般、武器防具に馬車、そして家までも建てることが出来る人らしい。見た目俺と変わらない歳だと思うんだがなぁ~…、凄いとしか言いようがない。



俺が今…エイガー師匠に教わっているのは、生産で使う道具達を自分用に加工し直す作業だ。鍛冶とかで使う金槌とかの手で持つ部分、柄の部分を自分の手に合うようにしているというか、作り直して交換しているのだ。この修行の為に師匠達から無償で貰った道具、それら全部の加工と交換をな。集中力も必要だし繊細さも必要、…本当に色々と酷使する為にヘロヘロである。…この作業が終わってもまだ、…先があるんだよな。













気合バリバリ熱血エイガー師匠の指導により、各道具の専用化が済んだ。俺の手に馴染みすぎて恐い、専用化…恐るべし! …ってなわけで一日目が終わり二日目、名乗りを上げたのは、



「ドゥバババババッ! 次は俺達が教えてやるぜ! 命を守るのは防具の役目、いかに装備者の命を守るのか…? それは生産者の腕と装備者を思いやる心だ!」



「装備者のことを考えて作らねば良い物など作れない、そして…発想と工夫も大事だ。これは他のことにも繋がる大事なこと、それを君の身に縫い付けてやろう。さぁ…、準備はいいね?」



防具専門鍛冶師のアダン師匠と裁縫師のゲーツ師匠、朝一から気合十分…やる気に満ちている。俺も気合を入れないとヤバイ、…やるしかないな!



俺は熱して赤くなったインゴットを、手にした金槌で叩きまくる。ある程度叩いたら水の中に入れて冷やし、再び炉の中に入れて熱してから取り出し、再度叩きまくる…を繰り返している。



「これを繰り返すことにより、金属は柔軟性を増しつつも硬くなる! しかし見極めをしくじると、焼き割れが起きて使い物にならなくなる! だが今は勉強中、失敗を恐れずにやりまくれ!」



失敗してもいいから叩け、繰り返しやりまくれと檄を飛ばすアダン師匠。焼き入れと焼き戻し、焼き割れが今一よく分からんけども、とにかく繰り返さねばならない。途中失敗してもやり続けなければ、…身体に覚えさせないといけない。…しんどい、…マジでしんどい。













焼き入れと焼き戻しを繰り返し、焼き割れになる境目? みたいなものを感じるようになってやっと終了。続いて裁縫師のゲーツ師匠が、



「皮というのはね、鞣しの過程を挟んで革となるんだ。今回は鞣しについて教えてあげよう、それから革の加工といこうかい。鞣しは簡単だからね、君ならば直ぐに覚えるだろうさ。」



そう言って、俺の指導に入る。…ゲーツ師匠の目がキラリと光り、嬉々として材料と道具を準備する。…どうやら俺は、彼の何かしらの琴線に触れてしまったようだ。



…で、鞣しのやり方というのはなかなかに面倒だ。まずは何かしらの皮を用意する、今回使うのはホーンラビットの皮。このウサギ皮の処理から始まる、…最初は皮に付いている余分な皮下組織を取り除かなければならない。所謂、剥ぎ取り時に付いてくる肉片や脂肪等である。どんなに丁寧にやっても付くようで、これを取り除かなければ良い革を作れないとのこと。客人専用不思議道具〔剥ぎ取りナイフ〕という物がある、これを使用して入手した皮も例外なく同じらしい。確認してみると、…本当だ。じっくり見てみると、…確かに付いていますな。これを取り除くのは簡単、ある特殊な液体に数分間浸せば取り除ける。浸す時間が重要なんで、その見極めが大変だとは思うが。…何せ、皮の種類によって違うんだからな。



次に行うことは先程と同じで、また別の液体に浸すこと。これも浸す時間が重要なんで、同じく要研究となるだろう。今回はゲーツ師匠に教えて貰ったよ、ウサギ皮の浸す時間を。…だがしかし、その時間通りにやってもゲーツ師匠程の物は出来上がらない。微妙な誤差がそういう結果に繋がるんだろうな、…これもやはり身体で覚えるしかないのか。



革の加工までいきたかったが、出来る限り良い革を作りたかった為に見送り、ひたすら鞣し作業をした。この俺の考えに、ゲーツ師匠はめっちゃ褒めてくれた。そういうわけで、今日は焼き入れと焼き戻し、焼き割れ等の鍛冶技術について、皮の鞣し方についてを学んだ。余談ではあるが、今日学んだ鍛冶技術は武器作成時にも必要なものであると、バルト師匠に教えて貰った。そりゃそうだよな? 同じ鍛冶だし…。













三日目、教えてくれるのは…、



「今日は私が指導させて貰うよ? 装飾というのはなかなかに繊細でね、主に器用さとセンスが重要になってくる。それと装飾には色々あってね、その中でもティル君に教えるのはアクセサリーがいいかな?」



装飾師のワイズマン師匠みたいだ。俺に教えてくれるのは、数ある装飾の中でも一番人気と言ってもいいアクセサリーの作り方。さてさて…、どうなりますかね…っと。



教えられるのは指輪の作り方、一体どんな方法で作るのかと思ったら型で作るようだ。てっきり鍛冶で作るもんだと思っていたから、ちょいと拍子抜けだ。まぁ少しだけ、…金属を熔かすっていうのは鍛冶なんだけど。今までの修行と比べたら余裕だな! …って思っていたのが間違いだった。型に流した金属、鉄が固まり型から取り出した時点で余裕がなくなった。…ここからが本番だったのだ。



取り出した鉄の輪は、よく見たら俺の知る指輪よりも大きい。巨人用の指輪かと思ったら、



「エイガーと道具の専用化をしていただろう? その時に小さな金槌があった筈、それを使ってこの輪を叩いて指輪にするのさ。恐ろしく繊細な作業になるからね、最初は失敗の連続だろう。でも、失敗は成功の母と言うからね。私も付きっきりで見ているから、ティル君…頑張ろうね?」



ニコリと笑うワイズマン師匠の顔が、俺にはとても恐ろしいモノに見えた。そしてそれが、間違いではなかったと確信のは作業を始めてからだった。



思いもよらなかった、小さな金槌で叩くということがこんなにも難しいなんて。少しでも強く叩くと潰れてしまい、逆に弱いと意味がないものとなってしまう。それでいて細かく、均等の間隔で叩いていかなければならない。故に集中力がかなり必要で、器用さもなければ話にならない。ただ叩いて作るだけではなく、美しく仕上げなければならない。それに何といっても、一番厳しいのは…、



「そこはもっと細かく叩いた方がいいよ。…うん、そうだね。…角はきちんと丸みを持たせるように、…そうそう。それを素早く丁寧に出来れば、…そうだな。……一連の流れをとりあえず20分、それを目標にやっていこうか。」



ワイズマン師匠だったりする。笑顔で有無を言わさぬ雰囲気、…正直恐い。しかも一連の流れを20分とかって…、厳しくはないかい? 頑張っても40分は掛かっているんだぜ? 今の俺ってばよ。でも、やらないとダメなんですよねぇ~……。



一日中頑張ったお陰で、指輪を30分で作れるようになった。20分では作れなかったけど、10分の短縮で30分は大きい。クオリティーを下げずに30分だからな、俺自身を褒めてやりたいよ。



「…う~む、私が付きっきりとはいえこの出来で30分とはやりますね。初心者にあるまじき才能です、…素晴らしい。目標の20分は無理であろうと考えてはいましたけれど、…30分ですか。教えがいのある弟子とは良いものですね? ティル君、これから先も共に高みを目指しましょう。私、…張り切っちゃいますよ!」



俺の優秀さにワイズマン師匠がやや興奮気味、そのままこの部屋を飛び出していった。バルト師匠曰く、製作意欲に火が付いたとのこと。…今度ワイズマン師匠に教えられる時、凄いことをやってきそうで恐いと思うのは気のせいか?













四日目の今日、チビッ娘エルフのアイテム師ディーバ師匠。彼女からアイテム生産のイロハを学ぶ、小さな身体をこれでもかとふんぞり返しながら、



「このワシ…ディーバがお主に色々と教えてやるわぃ、他の者よりもワシは厳しいぞぃ! 覚悟するがいいわぃ、にょほほほほほ!」



教えは厳しくビシバシしてやるとか言っているが、どうにも和んでしまう。小さな身体を頑張って威厳のあるように見せようとしているのが、幼子の背伸びにしか見えない。俺はほっこりとしてしまい、彼女の頭を優しく撫でまくった。



「にょわぁ~……。……っ止めんかぃ! ワシは歳上でお師匠様じゃぞぃ、子供扱いは止めぃっ!!」



そう言って俺の手を払い除けてプリプリ怒り出す、…可愛いとか言ったら怒るんだろうなぁ。



…………ゴリゴリゴリゴリ。俺は無心で薬草をすり潰し、そこに水を入れて混ぜるようにすり潰しを再開させる。すり潰した薬草が水と混ざり合っているのを確認し、ビーカーに移して火にかける。沸騰する寸前に火から離してあら熱を取る、そして用意しておいた空き瓶に移してから鑑定をば…。



〔ポーション+2〕丁寧に作られた回復薬。HPが40回復する。【製作者:ティル】



何度か作った結果、+2が作れるようになった。まぁ20回ぐらい作り続けたからな、こんなものだろう。誰だってこれぐらいになるんじゃないか? 20回近く作り続けたらさ。



俺の作った〔ポーション+2〕をディーバ師匠が手に取り見詰める、そして…、



「たかが20回そこらで+2を作るとは、…お主は逸材じゃのぅ。ワシも教えがいがあるというもの、ドンドン薬の作り方を教えてやるぞぃ! にょほほほほほ! 客人の中に凄腕のワシの弟子、…ワシの名声が更に高まってしまうこと間違いなしじゃな! にょほほほほほ!」



俺の頭をペチペチと叩き、奇妙な高笑いでご機嫌な彼女。因みにディーバ師匠は俺の肩に跨がっている、所謂肩車状態である。俺がデカブツだから、チビッ娘ディーバ師匠は教えづらいとのこと。故に肩車、上から見下ろせてよく見えるらしいよ。



それから頭をペチペチと叩かれながら、薬作りに精を出す。ポーション、アンチポイズンポーション、アンチパラライズポーション等の回復薬を作りまくった。…時間的にもう終わりでいいだろう、ディーバ師匠も肩車状態のまま寝とるし。実に器用なものだと感心するが、この人をどうすればいいのか? …バルト師匠に聞いてみるか。













五、六、七…と修行の日々が続く。辛いのだが色々と学べて楽しい、楽しいのだがこのままでいいのだろうかとも考えてしまう。そもそもこんな日々、…いつまで続くのだろうか? そんなことを考えながらも作業は続ける。俺と同じPCの諸君は、イベントで盛り上がっているんだろうな。F.E.O開始記念のイベント、俺にもその通知は来たのだが不参加。…修行中だもんね、参加出来る筈もなし。………何だか泣けてきたぜ。



────────────────────



ー由樹ー



……芹菜に聞かれて思い出した修行の日々、…初心者にあるまじき技術を手に入れることが出来た。しかしながら灰色の日々、…芹菜のような冒険を俺はしていないのだと自覚した。



「…二日目から昨日までずっと生産してたよ、…ずっとな。…イベントにも不参加だ、…笑えるだろ?」



やや自嘲気味にそう言う俺、楽しんではいるけれど楽しんでない。俺の言葉に芹菜は、



「…二週間近くずっと工房に籠っていたの? …あんちゃん、…それって楽しいの?」



自分には出来ないし、理解も出来ませんと顔に書いてある。…………楽しかったよ? それなりに、……間違いない。



そんな感じで修行漬けだった俺とは違い、やはり芹菜の奴は…、



「私はね、βからの仲間達と一緒に山登りに情熱を燃やしているのだよ! βの時よりも敵が強くなっているし、フィールド難易度が高くなっているのだ! …でも、本当に楽しいよ!」



凄くいい笑顔で目がキラキラしとる、俺と違って充実しているみたいだ。…俺も内容的に充実してはいるのだが、生産だけだからな。冒険をしていない分、不完全燃焼気味であるのは間違いない。



「…で山の途中で発掘ポイントを見付けたから、今日は生産組を護衛しながらそこに行くのさ! どうにもβとは仕様が違うみたいでさぁ~…、生産組のことも考えないと先へは行けないみたいなんだよ。いい武器や防具がないと駄目みたいで、何とかみんなで突破しようものなら最終的にガス欠なんさ。言っちゃあアレなんだけど、生産組が足を引っ張っちゃっているみたいなんよ。」



ふむ…芹菜の話を聞く限り、前線組は無理をしながらも頑張るがそれほどの成果はなしと。俺が籠っている間、だいぶ先へ行ったんだろうなぁ~…と思っていたんだがな。前線組は頑張っているけど、生産組が足を引っ張るか…。俺はみっちり修行したから自信はあるが、他のPC生産者はどんなものだろう。前線組も生産組も知らんから、俺は何とも言えんけど。



久々にきちんと話した俺達、俺の知らない情報を得ることが出来た。その礼を含めて芹菜を愛でる、…ゴロゴロ鳴いとる。



「もっと構ってぇ~…、あんちゃん。…えへへ♪」



「ふ…、仕方のない奴だな。」



芹菜を愛でまくった後、早めに夕食を済ませまして…ログインだな。



────────────────────



ーティルー



ログインにてF.E.Oへ舞い降りた俺、そして今いるのは『くまさんの宿り木』である。俺はあの修行を終えて、この宿屋へと帰ってきたのだ。バルト師匠が話をつけていてくれたお陰で、スムーズにことが済んだ。しかもバルト師匠の計らいで、一ヶ月の宿代は無料。太っ腹過ぎるぜ、バルト師匠!



因みにだが修行クエストはクリアした、その証拠にクエスト終了の知らせを……、



【クエスト】鍛冶師に弟子入り

シアルの一流鍛冶師バルトの下で鍛冶技術を学ぼう!

【追加イベント発生】職人達のしごき巡り

一流職人達のしごきを乗りきり、その技術を身に付けろ! …退路はない、踏ん張れ!

クエストクリア!

【報酬】専用自作職人セット

【追加報酬】自作生産物の全て、〈集中〉〈木工〉〈皮革〉〈裁縫〉〈装飾〉〈細工〉〈職人の手先〉〈不屈〉

【称号】職人達の弟子



…とまぁ、こんな感じさ。一気にスキルが増えまして、…あれだけ長期間の生産に従事すれば手に入るわな。



生産地獄から解き放たれた俺、今日やることはただ一つ! 久々に外で戦うとしよう! …がその前に、まずは自身の装備をチェックしよう。…え~と、



〔鉄の投げナイフ+3〕かなり丁寧に作られた鉄製の投げナイフ。 STR+6【製作者:ティル】



〔ラビットレザーセット+2(特殊)〕丁寧に作られた特殊な革鎧一式。ホーンラビットの素材を中心に、鉄も使用されている。 ヘッド DEF+3/ボディ DEF+10/ズボン DEF+7/アーム STR+7・DEF+4/ブーツ STR+6・DEF+4(フルセット装備ボーナス:AGL+10)【製作者:ティル】



ウサギ素材は俺が手に入れた物、鉄は師匠達が用意してくれた。師匠達から教わった全てを込めた装備であり、修行の総決算である。これを作り師匠達に認められ、…俺はあの修行の日々から抜け出すことが出来たのだ。



俺の作ったウサギセットは変わり種のようで、攻撃手段が組み込まれているのは稀のようだ。…稀というかなかなかに難しいことであり、初心者に作れるようなモノではないらしい。故に認められたのかね? そう考えると、自分の発想力を褒めてやりたいと思う。これを作らなかったら最悪…、修行の日々が継続されていたかもしれん。



俺の作ったウサギセットのアームには、メリケンサック状の鉄板を。ブーツには、特殊な使い方を想定した鉄板を。特にブーツは拘っているぜ? いずれ見せる時が来るだろうさ。今言えることは、どちらも〈喧嘩殺法〉を意識して作られている。俺…、頑張った!



投げナイフは俺の初期装備だからな、鍛冶の練習も含めて大量に作った。二週間で約900本、この数字を見ればバルト師匠の鬼畜っぷりが分かるだろう。まぁ素材が無料っていうのが救いか、この数があれば当分はもつだろう。後は投げナイフに似たとっておきの武器がある、それはまだ秘密にしておこう。投げナイフよりもかなり強力である、…それだけは言っておく。



後はアクセサリーとアイテムだな、…まずはアクセサリーをチェックしておく。



〔アイアンカフス+2〕丁寧に作られた鉄製のイヤリング。 DEX+5【製作者:ティル】



ワイズマン師匠の妥協しないしごきに堪え、苦労して作ったこのカフス。簡単な幾何学模様が彫られ、鈍く光るコイツは俺的になかなかカッコいい物だと自賛出来る。彫った幾何学模様に意味はないがワイズマン師匠が言うには、ある貴重なスキルがあれば意味のあるモノになるらしい。一流のワイズマン師匠でもまだ手に入れていないらしく、このシアルの街に限っては所持者が一人だけ。どんなモノかは教えてくれなかったけど、生産をする身としては是非とも手に入れてみたいものである。



アイテムは、冒険というか戦いに行く予定だから、



〔ポーション+4〕かなり丁寧に作られた回復薬。HPが50回復する。【製作者:ティル】



〔ミドルポーション-2〕未熟な者が作った効果の高い回復薬。HPが90回復する。【製作者:ティル】



回復薬をチェックするのが吉だな。ポーションは+4の物が10本も作れた、チビッ娘ではあるけれど流石はディーバ師匠である。小さいけれど教え方が上手い、伊達に歳は取ってないな! そしてミドルポーション、コイツが作れるとは思わんかった。ポーションレシピに色々とプラスしていたら出来た、薬草の他にアレを入れると出来るってのは一応予想通りか? まぁ似たような草だし、当たり前って感じがするけど。



他にも修行中に色々と作ったんだが、…正直邪魔で仕方がない。後で在庫一斉処分だな、売っ払って金にしよう。…そんなわけで当初の目的通り、冒険だ! 俺は戦いを求めている、籠っていた鬱憤を晴らすのだ! くははははは!
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