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第1話 ~キャラメイク
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ー???ー
俺は自宅の居間で寛いでいた。今日の仕事も疲れたなぁ~…とか思っていたら、ニヤついた妹が入ってきた。…また何か良からぬことでも企んでいるのか? そう思い、怪訝な顔で妹を見る。そんな俺を見て、妹は慌てた。
「ち、違うよあんちゃん! 今日は違うんだよあんちゃん!」
手と首を横にブンブンと振り否定する、……今日は違う…ねぇ。
「普段の行動を見る限り、信用は出来んが…。何の用だ? …芹菜。」
問題行動ばかり起こす妹の芹菜を半眼で見る俺、…そんな俺を見て芹菜は怯むもいつもの調子で、
「今日は本当にまともなことだからね? そんな恐い顔をしないでおくれよ。…で、はい。これをあんちゃんにあげようかと思って…、別に対価を求めようなんて思ってないよ? 本当だよ?」
何だか胡散臭いが、その言葉と共に渡された物を見る。これは…、
「これはあれか? お前が命を懸けていたあれの…、βテスターになったVRのなんちゃらってゲームだろ?」
「なんちゃらって…、名前覚えようよ。私いつも話してんじゃん!
『Free Emblem Online』だよ、略して『F.E.O』ね
『F.E.O』!」
何だか妹が興奮し出した。
とりあえず宥めて、話を聞く俺。
『Free Emblem Online』 通称『F.E.O』
全国のゲーマーが待ち望んでいたVR初のMMORPGのゲームタイトルだ。プレイヤーは冒険者、または生産者と呼ばれ、『F.E.O』の世界で自由に過ごすことが出来るらしい。戦うも良し、生産に励むも良し、趣味に走るも良し。本当に自由らしい、因みに妹は戦闘バカでトップランカーの一人なのだと自慢してくる。…まぁそうだろうな、芹菜は行動力だけが取り柄のバカだもんな。
「そんなわけで、とりあえずやってみてよ。凝り性のあんちゃんも、きっと気に入ると思うよ!」
良い笑顔で言いやがる、俺もゲームが好きな人種だ。常々、テンション高めに楽しそうに話してくる妹を羨ましく思っていた。
「ふーん、そうか。そう言うなら、やってみようかね。」
俺はそう答えて、芹菜から『F.E.O』とVR機一式を受け取った。渡されたVR機一式をまじまじと見ていると、芹菜が鼻息荒く…、
「明日から始まるからね? 開始時間と同時にやるんだよ?」
そう言って俺に頭を擦り付けてから、芹菜は二階にある自室へと戻っていった。いつものことながら、アイツは猫か何かか?
「仕事以外の時間は暇を持て余していたからな、…ふむ。良い暇潰しが手に入ったぜ。」
…次の日、何だかんだで楽しみにしていた俺は、芹菜から渡された『F.E.O』のパッケージを開け、ソフトをVR機にセットした。
「えーと何々…、最初にVR機に付随しているカメラで全身を撮れだって? 服のままでも良いが下着姿、または全裸で全身を撮ればより正確な自身のアバターを作ることが出来る…か。………ならば、脱ごうじゃないか!」
その説明を読んだ俺は、少し考えてから全裸になりカメラの前に立つ。そして出来るだけゆっくりと、グルグル回って三分ぐらいか?
ピコーンッ!
と音が鳴ったので、いそいそと服を着た。…冷静になって考えてみると、全裸でグルグル回るとかってヤバイ奴だよな? と、ちょっとブルーになってみたり。
自身の全てを完璧に撮った俺は、
「…後は読まなくても良いや。」
後はゲームの中で学べば良いだろう。そう思いながらベッドへ横になり、VR機を起動させ意識をゲームの中へと飛ばした。
飛ばした直後、お役所的な手続きが始まった。名前か…えーと、佐藤由樹…と。……成人指定をしますか? …成人指定をした場合、ダメージを受けた際の衝撃と痛みが………。色々あるみたいだが、リアリティーを出す為にYESを選ぶしかないだろう。成人しているわけだしな! …因みに芹菜の奴は出来んな、アイツは高校生だし。…後で違いを聞いてみよう。
無駄に長くて疲れてしまった。まぁ意識を飛ばすわけだから、色々と安全面やら法律的にやらなくてはいけないってのは理解出来るけど。…愚痴はいいか、終わったことだし。…お? 今度こそゲーム的なことに移るのか?
目に映る光景が、役所的なモノから暗闇へと移った。そして、
『Free Emblem Onlineへようこそ。』
暗闇の中に光の玉? が現れ、そう話し掛けてきた。無機質な声で、
『最初に、貴方の分身であるキャラクターを作成していただきます。アバターに関しては先程の撮影にて、貴方の詳細なデータを得ることが出来ました。そのデータを使用し、キャラクターを作成させていただきます。キャラクターに関しましては、大幅な変更は出来ませんのでご了承ください。』
ふむ、それはありがたい。色々とパーツを選んでのキャラ作成は面倒だからな、でもそのまんまはつまらん。目と髪の色だけは変えたい、ゲームなんだしリアルでは出来ない色にな。そんなことを考えていると、小さな光が頭の中に入ってきて…、
『順番に項目を埋めてください。』
最初は名前か、…名前は『ティル』にしよう。俺の好きなゲームキャラの名前の一部を使う。
次に容姿だが…、完全に俺だな。マジで凄いな、最先端技術…。風呂場でよく見る俺だわ、…ナニも寸分の違いがない。身体に変える場所がない、…だって俺自身に不満がないからな。まぁ予定通り、髪は長い部分だけ色を変えて、目の色は赤にして…と。
次はステータスね、種族に基礎ステータス、それにスキルか。まぁ深く考えないで決めるとしますか、要は楽しめればいいわけだし。
種族は…、色々あるみたいだ。人間、エルフ、獣人、竜人、魔人。他にもあるしランダムもある、ランダムは選ぶとレア種族が出るんだろうね。まぁ色々あるけど、俺は悩むことなく人間を選ぶ。他の種族にしたら、多少というか色々と容姿が変わったりするんだろうが、やっぱり無難なのがいい。ぶっちゃけ俺ってば悪党顔だからさ、人間以外を選んだら更に俺の悪党顔がヤバくなりそう。故に俺は人間を選ぶのだ、…と次は何だ?
お次は基礎ステータスか、…うーむ。ステータスは、器用さと運にポイントを振ろう。俺の目指す戦闘スタイルは、器用さがないと駄目な気がするし、生産活動もしたいしな。運はあれだ、良いことがありますようにと願掛けの意味合いを込めて振る。
んで、スキルか。最初から取得出来るのは五つまで。ざっと目を通し…って、数が多いな。流石は自由度を売りにする『F.E.O』ってところか? …むぅ、…これでいいか。生産は絶対に外せないし、投げるのにも興味があるし。まぁダメでも、後でスキルの取得ぐらいは出来るだろう。
というわけで、俺のステータスはこうなった。
【ステータス】
名前:ティル
種族:人間
性別:男
LV:1
HP:80
MP:40
STR:8
DEF:8
INT:8
AGL:8
DEX:15
MED:8
LUK:11
【SP】:0
【スキル】
〈投擲〉〈鍛冶〉〈調合〉〈鑑定〉〈採取〉
【固有スキル】
【称号】
俺はステータスを見て首を傾げた、固有スキルとは何ぞや? まぁ…いずれ分かると思うし、これで決定としますかね。
『キャラクター情報を確認しました。』
『最後にいくつかの問い掛けをします、それに答えてください。全ての問いの答えによって、固有スキルが決定します。決定された固有スキルは変更出来ません。万が一、選んだスキルが重なってしまった場合、固有スキルが優先されてスキル欄に空きが出来ます。スキル欄の空きは、キャラクター作成後に取得が出来ます。なお、固有スキルは稀少なモノになりやすいです。』
答えによってスキルが手に入るのか、しかもレアになりやすいってことは…。固有スキルがレアになれば嬉しい限りだが、さて…どんな質問がされるのかね?
『簡単な問い掛けですので、あまり身構えずに答えてください。』
そうは言われても、身構えるのが人というものだよ。
『貴方の前に魔物が現れました。どうしますか?』
本当に簡単だなぁ~オイ。選択肢ではなく、自分の言葉で答えろってヤツか。
「その場の状況によるな、うん。」
そりゃあそうだろう。弱い相手なら戦うが、格上なら極力逃げる…といっても戦うんだろうなぁ…俺。他に考えるとするなら数が多くても厳しいし、場所によっても変わる。それに…、
『次の問いです。お金が貯まった貴方は街で買い物をしようと思いました。何を買いますか?』
…っと、次の問い掛けか。
「まぁ、その時の状況によるな。」
武器が弱ければ買いたいし、防具だってそうだ。道具も無ければ買いたいし、それに俺は生産に手を出す。自分で出来ることは自分で…、
『次の問いです。街の広場で同じ冒険者がPTの呼び掛けをしています。貴方はどうしますか?』
…あ、次?
「…その時の状況によるな。」
基本はソロでいきたいが、PTを組まなければならない状況があるかもしれない。そもそも…、
『次の問いです。目の前に傷付き倒れている人がいます。どうしますか?』
……問い掛け早くないか?
「やっぱり状況によると思うんだよなぁ。」
だってそうだろ? その人が善人とは限らないじゃないか。フリをした悪人、もしくは化けた魔物かもしれない。俺だって…、
『最後の問いです。貴方はFree Emblem Onlineの世界で何を成したいですか?』
……あれ? 最後?
「分からないな、やってみないことにはさ。とりあえず言えることは、俺なりに楽しむってことだけ。自由気ままに風吹くままに…ってね。」
『…以上で終了となります。』
今思えば…、同じことしか言っていない。…嫌だな、〈優柔不断〉ってスキルだったら。あるかどうかは知らんけど。
『お疲れ様でした。それでは、Free Emblem Onlineの世界へと転送します。』
その言葉と共に、白い光が一面を染める。
『では、新しい世界にて悔いのない日々を…。』
────────────────────
「…………。」
気が付くと俺は、街の中に立っていた。様々な種族が行き交う辺りの喧騒に耳を傾け…、
「…これがF.E.Oの世界、…これがVR技術。…凄いとしか言えん。」
俺は自身の目に映る光景に圧倒され、暫くの間…呆然と立ったままだった。
俺は自宅の居間で寛いでいた。今日の仕事も疲れたなぁ~…とか思っていたら、ニヤついた妹が入ってきた。…また何か良からぬことでも企んでいるのか? そう思い、怪訝な顔で妹を見る。そんな俺を見て、妹は慌てた。
「ち、違うよあんちゃん! 今日は違うんだよあんちゃん!」
手と首を横にブンブンと振り否定する、……今日は違う…ねぇ。
「普段の行動を見る限り、信用は出来んが…。何の用だ? …芹菜。」
問題行動ばかり起こす妹の芹菜を半眼で見る俺、…そんな俺を見て芹菜は怯むもいつもの調子で、
「今日は本当にまともなことだからね? そんな恐い顔をしないでおくれよ。…で、はい。これをあんちゃんにあげようかと思って…、別に対価を求めようなんて思ってないよ? 本当だよ?」
何だか胡散臭いが、その言葉と共に渡された物を見る。これは…、
「これはあれか? お前が命を懸けていたあれの…、βテスターになったVRのなんちゃらってゲームだろ?」
「なんちゃらって…、名前覚えようよ。私いつも話してんじゃん!
『Free Emblem Online』だよ、略して『F.E.O』ね
『F.E.O』!」
何だか妹が興奮し出した。
とりあえず宥めて、話を聞く俺。
『Free Emblem Online』 通称『F.E.O』
全国のゲーマーが待ち望んでいたVR初のMMORPGのゲームタイトルだ。プレイヤーは冒険者、または生産者と呼ばれ、『F.E.O』の世界で自由に過ごすことが出来るらしい。戦うも良し、生産に励むも良し、趣味に走るも良し。本当に自由らしい、因みに妹は戦闘バカでトップランカーの一人なのだと自慢してくる。…まぁそうだろうな、芹菜は行動力だけが取り柄のバカだもんな。
「そんなわけで、とりあえずやってみてよ。凝り性のあんちゃんも、きっと気に入ると思うよ!」
良い笑顔で言いやがる、俺もゲームが好きな人種だ。常々、テンション高めに楽しそうに話してくる妹を羨ましく思っていた。
「ふーん、そうか。そう言うなら、やってみようかね。」
俺はそう答えて、芹菜から『F.E.O』とVR機一式を受け取った。渡されたVR機一式をまじまじと見ていると、芹菜が鼻息荒く…、
「明日から始まるからね? 開始時間と同時にやるんだよ?」
そう言って俺に頭を擦り付けてから、芹菜は二階にある自室へと戻っていった。いつものことながら、アイツは猫か何かか?
「仕事以外の時間は暇を持て余していたからな、…ふむ。良い暇潰しが手に入ったぜ。」
…次の日、何だかんだで楽しみにしていた俺は、芹菜から渡された『F.E.O』のパッケージを開け、ソフトをVR機にセットした。
「えーと何々…、最初にVR機に付随しているカメラで全身を撮れだって? 服のままでも良いが下着姿、または全裸で全身を撮ればより正確な自身のアバターを作ることが出来る…か。………ならば、脱ごうじゃないか!」
その説明を読んだ俺は、少し考えてから全裸になりカメラの前に立つ。そして出来るだけゆっくりと、グルグル回って三分ぐらいか?
ピコーンッ!
と音が鳴ったので、いそいそと服を着た。…冷静になって考えてみると、全裸でグルグル回るとかってヤバイ奴だよな? と、ちょっとブルーになってみたり。
自身の全てを完璧に撮った俺は、
「…後は読まなくても良いや。」
後はゲームの中で学べば良いだろう。そう思いながらベッドへ横になり、VR機を起動させ意識をゲームの中へと飛ばした。
飛ばした直後、お役所的な手続きが始まった。名前か…えーと、佐藤由樹…と。……成人指定をしますか? …成人指定をした場合、ダメージを受けた際の衝撃と痛みが………。色々あるみたいだが、リアリティーを出す為にYESを選ぶしかないだろう。成人しているわけだしな! …因みに芹菜の奴は出来んな、アイツは高校生だし。…後で違いを聞いてみよう。
無駄に長くて疲れてしまった。まぁ意識を飛ばすわけだから、色々と安全面やら法律的にやらなくてはいけないってのは理解出来るけど。…愚痴はいいか、終わったことだし。…お? 今度こそゲーム的なことに移るのか?
目に映る光景が、役所的なモノから暗闇へと移った。そして、
『Free Emblem Onlineへようこそ。』
暗闇の中に光の玉? が現れ、そう話し掛けてきた。無機質な声で、
『最初に、貴方の分身であるキャラクターを作成していただきます。アバターに関しては先程の撮影にて、貴方の詳細なデータを得ることが出来ました。そのデータを使用し、キャラクターを作成させていただきます。キャラクターに関しましては、大幅な変更は出来ませんのでご了承ください。』
ふむ、それはありがたい。色々とパーツを選んでのキャラ作成は面倒だからな、でもそのまんまはつまらん。目と髪の色だけは変えたい、ゲームなんだしリアルでは出来ない色にな。そんなことを考えていると、小さな光が頭の中に入ってきて…、
『順番に項目を埋めてください。』
最初は名前か、…名前は『ティル』にしよう。俺の好きなゲームキャラの名前の一部を使う。
次に容姿だが…、完全に俺だな。マジで凄いな、最先端技術…。風呂場でよく見る俺だわ、…ナニも寸分の違いがない。身体に変える場所がない、…だって俺自身に不満がないからな。まぁ予定通り、髪は長い部分だけ色を変えて、目の色は赤にして…と。
次はステータスね、種族に基礎ステータス、それにスキルか。まぁ深く考えないで決めるとしますか、要は楽しめればいいわけだし。
種族は…、色々あるみたいだ。人間、エルフ、獣人、竜人、魔人。他にもあるしランダムもある、ランダムは選ぶとレア種族が出るんだろうね。まぁ色々あるけど、俺は悩むことなく人間を選ぶ。他の種族にしたら、多少というか色々と容姿が変わったりするんだろうが、やっぱり無難なのがいい。ぶっちゃけ俺ってば悪党顔だからさ、人間以外を選んだら更に俺の悪党顔がヤバくなりそう。故に俺は人間を選ぶのだ、…と次は何だ?
お次は基礎ステータスか、…うーむ。ステータスは、器用さと運にポイントを振ろう。俺の目指す戦闘スタイルは、器用さがないと駄目な気がするし、生産活動もしたいしな。運はあれだ、良いことがありますようにと願掛けの意味合いを込めて振る。
んで、スキルか。最初から取得出来るのは五つまで。ざっと目を通し…って、数が多いな。流石は自由度を売りにする『F.E.O』ってところか? …むぅ、…これでいいか。生産は絶対に外せないし、投げるのにも興味があるし。まぁダメでも、後でスキルの取得ぐらいは出来るだろう。
というわけで、俺のステータスはこうなった。
【ステータス】
名前:ティル
種族:人間
性別:男
LV:1
HP:80
MP:40
STR:8
DEF:8
INT:8
AGL:8
DEX:15
MED:8
LUK:11
【SP】:0
【スキル】
〈投擲〉〈鍛冶〉〈調合〉〈鑑定〉〈採取〉
【固有スキル】
【称号】
俺はステータスを見て首を傾げた、固有スキルとは何ぞや? まぁ…いずれ分かると思うし、これで決定としますかね。
『キャラクター情報を確認しました。』
『最後にいくつかの問い掛けをします、それに答えてください。全ての問いの答えによって、固有スキルが決定します。決定された固有スキルは変更出来ません。万が一、選んだスキルが重なってしまった場合、固有スキルが優先されてスキル欄に空きが出来ます。スキル欄の空きは、キャラクター作成後に取得が出来ます。なお、固有スキルは稀少なモノになりやすいです。』
答えによってスキルが手に入るのか、しかもレアになりやすいってことは…。固有スキルがレアになれば嬉しい限りだが、さて…どんな質問がされるのかね?
『簡単な問い掛けですので、あまり身構えずに答えてください。』
そうは言われても、身構えるのが人というものだよ。
『貴方の前に魔物が現れました。どうしますか?』
本当に簡単だなぁ~オイ。選択肢ではなく、自分の言葉で答えろってヤツか。
「その場の状況によるな、うん。」
そりゃあそうだろう。弱い相手なら戦うが、格上なら極力逃げる…といっても戦うんだろうなぁ…俺。他に考えるとするなら数が多くても厳しいし、場所によっても変わる。それに…、
『次の問いです。お金が貯まった貴方は街で買い物をしようと思いました。何を買いますか?』
…っと、次の問い掛けか。
「まぁ、その時の状況によるな。」
武器が弱ければ買いたいし、防具だってそうだ。道具も無ければ買いたいし、それに俺は生産に手を出す。自分で出来ることは自分で…、
『次の問いです。街の広場で同じ冒険者がPTの呼び掛けをしています。貴方はどうしますか?』
…あ、次?
「…その時の状況によるな。」
基本はソロでいきたいが、PTを組まなければならない状況があるかもしれない。そもそも…、
『次の問いです。目の前に傷付き倒れている人がいます。どうしますか?』
……問い掛け早くないか?
「やっぱり状況によると思うんだよなぁ。」
だってそうだろ? その人が善人とは限らないじゃないか。フリをした悪人、もしくは化けた魔物かもしれない。俺だって…、
『最後の問いです。貴方はFree Emblem Onlineの世界で何を成したいですか?』
……あれ? 最後?
「分からないな、やってみないことにはさ。とりあえず言えることは、俺なりに楽しむってことだけ。自由気ままに風吹くままに…ってね。」
『…以上で終了となります。』
今思えば…、同じことしか言っていない。…嫌だな、〈優柔不断〉ってスキルだったら。あるかどうかは知らんけど。
『お疲れ様でした。それでは、Free Emblem Onlineの世界へと転送します。』
その言葉と共に、白い光が一面を染める。
『では、新しい世界にて悔いのない日々を…。』
────────────────────
「…………。」
気が付くと俺は、街の中に立っていた。様々な種族が行き交う辺りの喧騒に耳を傾け…、
「…これがF.E.Oの世界、…これがVR技術。…凄いとしか言えん。」
俺は自身の目に映る光景に圧倒され、暫くの間…呆然と立ったままだった。
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