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長かった戦い

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ヴェルグェスの前に並び立つ、夜明けの転生者達アルバ・リンカーネーションのメンバー。
ヴェルグェスは、何か言いたげな顔をしているが、今のヴェルグェスには、言葉を発することは不可能だ。
そのまま、周とヴェルグェスの睨み合いが続き、どちらが先に動くかの、読み合いをしていると、それを邪魔する者がいた。

「おい、貴様は誰だ!?」

「面倒な、奴が起きよったか」

レーネは、周に起こすように頼まれた時、自分のギルドメンバーしか起こしていなかった。
そのせいで、カルナが面倒なタイミングで、目覚めてしまった。

「レーネ、こいつ誰だ?」

「気にするな周、通りすがりの通行人だ」

「通行人とはなんだ!先程まで、一緒に戦っていただろ!!!」

カルナが、どこに怒っているのかよく分からないが、とにかく怒っていることは分かる。

「こちらの方は、今回の作戦での指揮を任された、ギルドマスターのカルナさんです!」

レーネが一向に説明しないので、サリーが周に説明をする。

「そうだったのか、俺のメンバーが世話になったな。ありがとう!」

「その言い回しからするに、病欠のはずのギルドマスターか?」

「そう言う事になってたのか。まぁ、治ったから、助けに来たって訳だ!」

周も話を合わせ、事情を説明する。
だが、そんな話し合いを、みすみす傍観しているヴェルグェスでは無い。
俺を無視するなと言わんばかりに、ヴェルグェスは、尻尾で、全員をまとめて凪払おうとする。

「おい、不味いぞ!?」

カルナは、それを見て焦るが、他の者は一切微動だにしない。

「今、取り込み中なんだけど?!」

向かってくる尻尾を、周は蹴り返す。
意図も簡単に、蹴り返す周を見て、カルナは驚愕する。

「おい!お前、Sランクだと聞いているが?」

「それで、間違いないけど?」

「Sランクが、こんなに強いわけないだろ?!」

自分よりランクが下なのにも関わらず、自分よりも強いのが気に食わないらしい。

「そんな事言われても、困るんだけど.......」

周の、これまでの知り合いにいないタイプの人間なので、反応に困り苦笑いをしている。
と言うか、元々知り合いが、0と言っていいほどいない。

「小娘!あまり周を、困らせるでないぞ!」

「黙れ、お前らもお前らだ!聞いていたランクよりも、強すぎるだろ!」

カルナの、これまでずっとどこかに引っかかっていた疑問が、一気に吐き出される。

「まぁ、俺達はまだ冒険者になって1ヶ月ちょっとなんで.......」

「なっ?!」

その事実に、さらに驚くカルナ。
カルナは、幼少期から鍛錬を積み、年齢が2桁になる頃には、既に冒険者になり、今のランクまで上り詰めたのだ。
それを、1ヶ月ちょっとでSランクまで登り詰めたという事に、驚愕していた。

「何故、そんな実力を持っていながら、今まで冒険者にならなかったんだ?!」

すごく、答えずらい質問をしてくるカルナ。
周は、返答に詰まってしまう。
因みに、ヴェルグェスは不意打ちをするのをやめ、律儀に待っている。
理由は、周に対して不意打ちが効かないと判断したからだろう。

「周達にも、色々と事情があるのだ。あまり詮索してやるな」

返答に困っている周を見かねて、レーネが助け舟を出してくれる。
カルナも、それを理解したのか、それ以上のことは聞かなかった。

「待たせちまって、悪かったな!」

周は、ヴェルグェスに話し終わったことを伝える。
ヴェルグェスからの返答は無いが、恐らく伝わっているだろう。

「そろそろ、決着にするか!」

返答の無いヴェルグェスに向けて、周は語りかける。
2人はお互いに、次の攻撃で決着が着くことを、心のどこかで察していた。
そして、周は皆と目を合わせ、深呼吸をする。

「行くぞ!」

皆一斉に、ヴェルグェスへと駆け出す。
ヴェルグェスも、それに合わせて、身構える。

「もう終わりだ.......」

ヴェルグェスが身構えている時、耳元で周が囁く。
瞬間、ヴェルグェスは脳が揺れたのを感じる。
立ち上がろうとするが、上手く体に力が入らない。
そのまま、ヴェルグェスは倒れ込む。
すかさず、周がヴェルグェスの心臓部へとパンチを入れる。
すると、心臓を守っているヴェルグェスの、鎧のような鱗が砕け散る。

「皆、打ち込め!」

周の掛け声で、皆一斉に必殺技を放つ。

「奥義 乱れ桜!!!」

疾風乱撃ヴラスカ・ディストルド!!!」

「モード 全てを破壊する戦鎚ポルヴェリー・ザチオーネ! 大地を更地へとプライマル・ランド!!!」

「ヴァルキリー、皆を助けて.......」

「天を統べる雷帝よ 我の元に集いて敵をなぎ払い給へ 光速をも超える 神速の槍 神を殺す神槍ディオゥチーデ!!!」

容赦なく、ヴェルグェスの心臓部へと必殺技を放つ。
最後に放った、レーネの必殺技が、ヴェルグェスの心臓を貫く。
やっと、戦いに終止符を打ったと思われたが、ヴェルグェスの息の根は、まだ止まってはいなかった。
必殺技を、放った後の、油断し切った所を狙い、ヴェルグェスが最後の土産と言わんばかりに、みなを踏みつけようとする。

「終わりだって、言ってるだろ?」

周は、それを見逃さずに、ヴェルグェスの頭を蹴りあげる。
蹴られた頭は、吹き飛び、完全にヴェルグェスの生命活動が停止する。
それに伴い、ヴェルグェスの攻撃も止まる。
一瞬、場が沈黙に包まれる。
だが、初めに口を開いたのは、周だった。

「やっと終わったな!さっさと帰ろうぜ!」

意外と、あっさりしている周。
そう言って、街の方へと歩いて行く。

「貴方は、待つということを、知らないの?」

「待って下さいです~~」

「夜ト神先輩らしいですね!」

「一件落着.......」

「やれやれじゃな」

皆も、置いていかれないように、慌ててあとを追いかける。
カルナやライオットは、周が来てからと言うもの、完全に置物と化していた。
だが、街に帰らないといけないのは、カルナ達も同じなので、周の後を追う桜田達の後に続き、街へと帰るのだった。

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