上 下
31 / 78

方針

しおりを挟む
朝起きると、全員が俺の部屋に勢ぞろいしていた。
いつも俺が起きるの最後だな。

「やっと起きよったかこの寝坊助、お主待ちだったのだぞ!」

昨日無理やり解散させたのは俺だし、この状況は仕方ないか。

「どうせこれからどうするかだろ?とりあえず3人の冒険者登録と、ギルド加入の申請をするとして」

「大事なのはその後でしょ?」

そんなことは言われなくても分かっている。
考え中なのに急かすんじゃねぇよ。

「その後っても、例の攻略連絡待ちだしな。それまでは自由行動だし」

「だからって、この子達を放っておく訳にはいかないでしょ?」

「なら2チームに分けよう、風音は俺が時音ちゃんは桜田が面倒を見るってことで。2人もそれでいいだろ?」

「夜ト神先輩がそう決めたなら、それでいいです」

「私もお任せします」

物分りのいい後輩で助かったぜ。
今後の方針は、2人の能力を見極めてどう攻略に生かすかだな。

「遠面は、2人のスキルがどんな物かを探ってみよう。別れて簡単そうなダンジョンに潜るとしよう」

「それ一緒じゃダメです?」

サリーが珍しく反対意見を述べる。

「何か不安な点でもあるのか?」

「また周、無茶しないです?」

そんな心配か、心配してくれるのは非常に嬉しいしありがたいが、あのスキルは遠分使う予定がない。

「そんな心配しなくても、もうあのスキルは遠分使わないよ」

「妾も反対じゃ、今は別々でダンジョン
に潜るべきではないと思う」

今回は珍しい2人が反対意見を言うな。

「レーネが反対するとは意外だな、何か気にかかることがあるのか?」

「あぁ、少しばかりな。今回ばかりは曲げれん」

なにか言えない事情でもあるのか?
少し気がかりだが、そこまで心配なら無理に別れることはないか。

「分かった、今回はみんなでダンジョンに潜るとしよう、初めてだしな!」

そう言って俺はベッドから飛び起きる。

「この通り、みんなのおかげで体もピンピンしてるしな!」

サリーとレーネが少しほっとした顔をする。
まあ、そんなに急ぐことも無いか。
予定通り俺達は冒険者連盟にて、3人の冒険者登録とギルド加入の手続きを済ませ、Aランクダンジョンのクエストを受け、クエストの場所までと向かっていた。
ちなみに翠蓮姉妹はBランク、レラはEランクだった。

「初ダンジョンってワクワクするものですね夜ト神先輩!」

風音はすごいノリノリだが、時音ちゃんはそうでも無いらしい。

「時音ちゃんはあまり戦いたくないか?」

「あまり実感がわかないだけですので、お気になさらず」

姉は相変わらず素っ気ないな。もしかして、俺嫌われてるのか?
今後の信用問題に係わってくるから早めに解消しとかないとな。

「時音ちゃんのスキルってどんなんだろうな?検討もつかないな?」

「ゲーマーの夜ト神さんでも分からないんですね、私もいまいちピンときてないのですが」

「スキルの文的に、きっとタワーディフェンス的なことを言ってるんじゃないですか先輩?」

なるほど!それならわかりやすいが、多分俺とお前しか理解していないだろう風音。

「タワーディフェンスって言うのは、一定値のコストを使ってキャラを出して陣地を守るゲームのことなんだ」

「風音がしているのを何度か見た事があります、それが分かれば少しは簡単かも知れません。ありがとうございます」

よっしゃ!ちょっとは俺の好感度上がったんじゃないか?
淡い期待をする。

「何を戯れておるのじゃ?もう着いたぞ!」

こっちは好感度稼ぎで忙しいってのに、戯れとは失礼な!
まあ、着いたのなら仕方が無いか。

「入る前に確認だが、全員身の危険を感じたら逃げること!分かったな?」

「了解!!!」

全員いい返事だ!
俺は安心してダンジョンへと踏み込んだ。
この時俺達は、あんなことが起こるとは思ってもいなかったのだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

呪われ少年魔法師、呪いを解除して無双する〜パーティを追放されたら、貴族の令嬢や王女と仲良くなりました〜

桜 偉村
ファンタジー
 瀬川空也(せがわ くうや)は魔力量が極端に少ない魔法師だった。  それでも一級品である【索敵(さくてき)】スキルで敵の攻撃を予測したり、ルート決めや作戦立案をするなど、冒険者パーティ【流星(メテオロ)】の裏方を担っていたが、あるとき「雑用しかできない雑魚はいらない」と追放されてしまう、  これが、空也の人生の分岐点となった。  ソロ冒険者となった空也は魔物に襲われていた少女を助けるが、その少女は有数の名家である九条家(くじょうけ)の一人娘だった。  娘を助けた見返りとして九条家に保護された空也は、衝撃の事実を知る。空也は魔力量が少ないわけではなく、禁術とされていた呪いをかけられ、魔力を常に吸い取られていたのだ。  呪いを解除すると大量の魔力が戻ってきて、冒険者の頂点であるSランク冒険者も驚愕するほどの力を手に入れた空也は最強魔法師へと変貌を遂げるが、そんな彼の周囲では「禁術の横行」「元パーティメンバーの異変」「生態系の変化」「魔物の凶暴化」など、次々に不可解な現象が起きる。それらはやがて一つの波を作っていって——  これは、最強少年魔法師とその仲間が世界を巻き込む巨大な陰謀に立ち向かう話。

田舎の雑貨店~姪っ子とのスローライフ~

なつめ猫
ファンタジー
唯一の血縁者である姪っ子を引き取った月山(つきやま) 五郎(ごろう) 41歳は、住む場所を求めて空き家となっていた田舎の実家に引っ越すことになる。 そこで生活の糧を得るために父親が経営していた雑貨店を再開することになるが、その店はバックヤード側から店を開けると異世界に繋がるという謎多き店舗であった。 少ない資金で仕入れた日本製品を、異世界で販売して得た金貨・銀貨・銅貨を売り資金を増やして設備を購入し雑貨店を成長させていくために奮闘する。 この物語は、日本製品を異世界の冒険者に販売し、引き取った姪っ子と田舎で暮らすほのぼのスローライフである。 小説家になろう 日間ジャンル別   1位獲得! 小説家になろう 週間ジャンル別   1位獲得! 小説家になろう 月間ジャンル別   1位獲得! 小説家になろう 四半期ジャンル別  1位獲得! 小説家になろう 年間ジャンル別   1位獲得! 小説家になろう 総合日間 6位獲得! 小説家になろう 総合週間 7位獲得!

収容所生まれの転生幼女は、囚人達と楽しく暮らしたい

三園 七詩
ファンタジー
旧題:収容所生まれの転生幼女は囚人達に溺愛されてますので幸せです 無実の罪で幽閉されたメアリーから生まれた子供は不幸な生い立ちにも関わらず囚人達に溺愛されて幸せに過ごしていた…そんなある時ふとした拍子に前世の記憶を思い出す! 無実の罪で不幸な最後を迎えた母の為!優しくしてくれた囚人達の為に自分頑張ります!

結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください

シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。 国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。 溺愛する女性がいるとの噂も! それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。 それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから! そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー 最後まで書きあがっていますので、随時更新します。 表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。

人質から始まった凡庸で優しい王子の英雄譚

咲良喜玖
ファンタジー
アーリア戦記から抜粋。 帝国歴515年。サナリア歴3年。 新国家サナリア王国は、超大国ガルナズン帝国の使者からの宣告により、国家存亡の危機に陥る。 アーリア大陸を二分している超大国との戦いは、全滅覚悟の死の戦争である。 だからこそ、サナリア王アハトは、帝国に従属することを決めるのだが。 当然それだけで交渉が終わるわけがなく、従属した証を示せとの命令が下された。 命令の中身。 それは、二人の王子の内のどちらかを選べとの事だった。 出来たばかりの国を守るために、サナリア王が判断した人物。 それが第一王子である【フュン・メイダルフィア】だった。 フュンは弟に比べて能力が低く、武芸や勉学が出来ない。 彼の良さをあげるとしたら、ただ人に優しいだけ。 そんな人物では、国を背負うことが出来ないだろうと、彼は帝国の人質となってしまったのだ。 しかし、この人質がきっかけとなり、長らく続いているアーリア大陸の戦乱の歴史が変わっていく。 西のイーナミア王国。東のガルナズン帝国。 アーリア大陸の歴史を支える二つの巨大国家を揺るがす英雄が誕生することになるのだ。 偉大なる人質。フュンの物語が今始まる。 他サイトにも書いています。 こちらでは、出来るだけシンプルにしていますので、章分けも簡易にして、解説をしているあとがきもありません。 小説だけを読める形にしています。

青い鳥と 日記 〜コウタとディック 幸せを詰め込んで〜

Yokoちー
ファンタジー
もふもふと優しい大人達に温かく見守られて育つコウタの幸せ日記です。コウタの成長を一緒に楽しみませんか? (長編になります。閑話ですと登場人物が少なくて読みやすいかもしれません)  地球で生まれた小さな魂。あまりの輝きに見合った器(身体)が見つからない。そこで新米女神の星で生を受けることになる。  小さな身体に何でも吸収する大きな器。だが、運命の日を迎え、両親との幸せな日々はたった三年で終わりを告げる。  辺境伯に拾われたコウタ。神鳥ソラと温かな家族を巻き込んで今日もほのぼのマイペース。置かれた場所で精一杯に生きていく。  「小説家になろう」「カクヨム」でも投稿しています。  

Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷

くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。 怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。 最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。 その要因は手に持つ箱。 ゲーム、Anotherfantasia 体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。 「このゲームがなんぼのもんよ!!!」 怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。 「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」 ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。 それは、翠の想像を上回った。 「これが………ゲーム………?」 現実離れした世界観。 でも、確かに感じるのは現実だった。 初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。 楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。 【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】 翠は、柔らかく笑うのだった。

処理中です...