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1章
急展開
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家に帰った俺は、とりあえず風呂に入ることにした。
「まだ、こんな時間か」
時計を見ると、時計の針はまだ17時を回った頃だった。18時になると部活が終わった凛音が、飯を作りに家に毎日来る。俺はいつもいらないと言うが、世話焼きなのか物好きなのか、毎日欠かさず来る。
「あいつらどこで情報を得たんだ?」
今日の襲撃を思い出し、ふと考えた。付けられていたのは、アジトを出てすぐのことだった。アジトの場所を知っている?もしくは、俺がいつもあそこに行くことを知っていた?
考えても答えが出ることはない。
「それだけでも聞いときゃよかった?」
後悔してもただの結果論になるだけだ。そう思い考えるのをやめ、俺は風呂から上がった。
そして体を拭き、服を着たあと首にタオルをかけ浴室を出ると、そこには凛音がいた。
俺は、驚きを隠せずつい癖で戦闘態勢に入りかけた。
「白夜お風呂はいってたんだ、ごめんね驚かせて」
少し照れつつ、頬を赤らめ凛音は、そう言った。
それを見て正気を取り戻した俺も、戦闘態勢を解き話を聞く。
「今日早くないか?いつもなら18時頃に来るだろ?」
「それがねー...」
応えようとした凜音の口が止まった。何か言いずらい理由があるようだ。
それを察した俺は、冷静に返した。
「まあ言いたくないなら、無理には聞かない」
俺は完全にデキル男だった。自分でもそう思う。だがそう思ったのもつかの間、俺の優しさを、凛音は無下にした。
「いや、理由は言わないとダメなの」
一瞬こいつは何を言っているんだ?と思うも何かあることだけは察した。
「なんだよ、勿体ぶらずに言えよ」
俺が急かすと、凛音は重い口を開いた。
「親が海外出張になって、お父さんとお母さん海外に行くの」
「それで?」
その理由でなんで凛音が早く来るんだ?
そう言おうとしたが、凜音の話は続いていた。
「二人ともイタリアに行っちゃうんだけどね、私学校に行かなきゃだから一人で日本に残るの...」
「結局どーゆことだ?」
俺に察してほしいのか、随分と回りくどい言い方をする。そして少し間が空いて痺れを切らしたように自分から口を開いた。
「二人とも明日飛行機だから、もう家解約しちゃたらしいの」
ここでやっと俺は、凛音が言いたいことを理解した。がすぐには、脳が追いつかなかった。
「だからね、白夜の家に居候してもいい?」
分かってはいたが、実際に凛音の口から言われると、現実味が出て一瞬混乱に陥る。だがおそらく俺に拒否権はないのだろう。ここで俺が断れば、凛音は住むところがなくなってしまう。それは、幼なじみとして凛音を1人の女子としていけないと俺は思った。
「いいよ、いつも飯も作ってもらってるからな 昔からの付き合いだしな」
「ほんとに!?」
そんなに喜ぶことか?と言いたくなるような満面の笑みだった。まあ、俺はほとんど家にいないしな。
「ありがとね 家賃とかは、完全に任せちゃうかもだけど、家事は全部私に任せてくれていいからね!」
まあ、その点に関しては願ったり叶ったりだ。別に断ることもないだろう。
そう思ったが俺の頭には、今日の出来事がよぎった。洗濯機の中には、返り血で染った服が入っている。これからの仕事上こんなことは、日常茶飯事だろう。暗殺のことを話すか?いや、こんなことを話して、凛音が受け入れられるか?否、答えは火を見るより明らかだ。こんなことを考え俺が言葉に詰まっていると、凛音が心配そうに話しかけてきた。
「大丈夫?すごい顔してたよ?」
考えに頭が行過ぎて、珍しく冷静さをかいてしまっていた。だが実際どうする?洗濯だけ分けるか?逆に怪しまれるか?全く解決策が思いつかない。打ち明けるしかないか?凛音を巻き込むのは良くない、それだけは言える。そんな中一つだけ苦肉の策が思いついた。
「言い難いんだけどさ、俺精肉店で働いてるから洗濯物とか血まみれだぜ?」
我ながらなんてひどい嘘だ。流石の凜音でも気づくか、そんな心配は、無駄だった。
「それぐらい大丈夫だよ!料理もするし!」
なんて能天気なやつだ。心配してそんしたぜ。ただ、今はこいつの能天気に救われたな。ほっと息をついた。
「部屋は適当に空いてるとこ使ってくれ」
俺は一人暮らしながら、一軒家の5LDKに住んでいる。部屋に困ることは無いだろう。職業柄お金にも困っていないので凛音1人養うくらいには余裕だ。
「でも、白夜の仕事の話初めて聞いたけど精肉店で働いてて、こんなとこに1人で暮らせるの?」
嫌なとこに気づきやがる。なんで、そこに突っ込むんだ、と突っ込みたくなった。
「しかも白夜っていつもいい服きてるよね」
しかも掘り下げてきやがったこいつ。俺は、普段から割とブランドものを身につけているし、車も持っている。確かに精肉店で稼げる額ではないことは確かだ。ちなみに俺の暗殺業での給与は、1ヶ月でだいたい1000~2500万くらいは貰っているわけで、貯金残高を見られると一瞬でバレてしまう。その時はその時か。
「あんまり深く考えるな」
困ったので話を濁しやり過ごす。あまり聞かない方がいいと察した凛音は、引越しの作業があるといい元の家に戻っていった。
これからの生活が思いやられるぜ
俺はそう思いながらも
考えてもどうにもならないと
ベットに向かった……
「まだ、こんな時間か」
時計を見ると、時計の針はまだ17時を回った頃だった。18時になると部活が終わった凛音が、飯を作りに家に毎日来る。俺はいつもいらないと言うが、世話焼きなのか物好きなのか、毎日欠かさず来る。
「あいつらどこで情報を得たんだ?」
今日の襲撃を思い出し、ふと考えた。付けられていたのは、アジトを出てすぐのことだった。アジトの場所を知っている?もしくは、俺がいつもあそこに行くことを知っていた?
考えても答えが出ることはない。
「それだけでも聞いときゃよかった?」
後悔してもただの結果論になるだけだ。そう思い考えるのをやめ、俺は風呂から上がった。
そして体を拭き、服を着たあと首にタオルをかけ浴室を出ると、そこには凛音がいた。
俺は、驚きを隠せずつい癖で戦闘態勢に入りかけた。
「白夜お風呂はいってたんだ、ごめんね驚かせて」
少し照れつつ、頬を赤らめ凛音は、そう言った。
それを見て正気を取り戻した俺も、戦闘態勢を解き話を聞く。
「今日早くないか?いつもなら18時頃に来るだろ?」
「それがねー...」
応えようとした凜音の口が止まった。何か言いずらい理由があるようだ。
それを察した俺は、冷静に返した。
「まあ言いたくないなら、無理には聞かない」
俺は完全にデキル男だった。自分でもそう思う。だがそう思ったのもつかの間、俺の優しさを、凛音は無下にした。
「いや、理由は言わないとダメなの」
一瞬こいつは何を言っているんだ?と思うも何かあることだけは察した。
「なんだよ、勿体ぶらずに言えよ」
俺が急かすと、凛音は重い口を開いた。
「親が海外出張になって、お父さんとお母さん海外に行くの」
「それで?」
その理由でなんで凛音が早く来るんだ?
そう言おうとしたが、凜音の話は続いていた。
「二人ともイタリアに行っちゃうんだけどね、私学校に行かなきゃだから一人で日本に残るの...」
「結局どーゆことだ?」
俺に察してほしいのか、随分と回りくどい言い方をする。そして少し間が空いて痺れを切らしたように自分から口を開いた。
「二人とも明日飛行機だから、もう家解約しちゃたらしいの」
ここでやっと俺は、凛音が言いたいことを理解した。がすぐには、脳が追いつかなかった。
「だからね、白夜の家に居候してもいい?」
分かってはいたが、実際に凛音の口から言われると、現実味が出て一瞬混乱に陥る。だがおそらく俺に拒否権はないのだろう。ここで俺が断れば、凛音は住むところがなくなってしまう。それは、幼なじみとして凛音を1人の女子としていけないと俺は思った。
「いいよ、いつも飯も作ってもらってるからな 昔からの付き合いだしな」
「ほんとに!?」
そんなに喜ぶことか?と言いたくなるような満面の笑みだった。まあ、俺はほとんど家にいないしな。
「ありがとね 家賃とかは、完全に任せちゃうかもだけど、家事は全部私に任せてくれていいからね!」
まあ、その点に関しては願ったり叶ったりだ。別に断ることもないだろう。
そう思ったが俺の頭には、今日の出来事がよぎった。洗濯機の中には、返り血で染った服が入っている。これからの仕事上こんなことは、日常茶飯事だろう。暗殺のことを話すか?いや、こんなことを話して、凛音が受け入れられるか?否、答えは火を見るより明らかだ。こんなことを考え俺が言葉に詰まっていると、凛音が心配そうに話しかけてきた。
「大丈夫?すごい顔してたよ?」
考えに頭が行過ぎて、珍しく冷静さをかいてしまっていた。だが実際どうする?洗濯だけ分けるか?逆に怪しまれるか?全く解決策が思いつかない。打ち明けるしかないか?凛音を巻き込むのは良くない、それだけは言える。そんな中一つだけ苦肉の策が思いついた。
「言い難いんだけどさ、俺精肉店で働いてるから洗濯物とか血まみれだぜ?」
我ながらなんてひどい嘘だ。流石の凜音でも気づくか、そんな心配は、無駄だった。
「それぐらい大丈夫だよ!料理もするし!」
なんて能天気なやつだ。心配してそんしたぜ。ただ、今はこいつの能天気に救われたな。ほっと息をついた。
「部屋は適当に空いてるとこ使ってくれ」
俺は一人暮らしながら、一軒家の5LDKに住んでいる。部屋に困ることは無いだろう。職業柄お金にも困っていないので凛音1人養うくらいには余裕だ。
「でも、白夜の仕事の話初めて聞いたけど精肉店で働いてて、こんなとこに1人で暮らせるの?」
嫌なとこに気づきやがる。なんで、そこに突っ込むんだ、と突っ込みたくなった。
「しかも白夜っていつもいい服きてるよね」
しかも掘り下げてきやがったこいつ。俺は、普段から割とブランドものを身につけているし、車も持っている。確かに精肉店で稼げる額ではないことは確かだ。ちなみに俺の暗殺業での給与は、1ヶ月でだいたい1000~2500万くらいは貰っているわけで、貯金残高を見られると一瞬でバレてしまう。その時はその時か。
「あんまり深く考えるな」
困ったので話を濁しやり過ごす。あまり聞かない方がいいと察した凛音は、引越しの作業があるといい元の家に戻っていった。
これからの生活が思いやられるぜ
俺はそう思いながらも
考えてもどうにもならないと
ベットに向かった……
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