そこそこの底

なおちか

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そこそこ

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なぜみんな高い所へ行くのだろう。高みを目指すのだろう。

登って、上って、昇って。疲れていく。

水が欲しいの?上から流れてくるから下にいればいいよ。

木の実も下に落ちるし、棚から餅だって落ちてくる。

苦しい、辛いって言うね。そりゃそうさ。そこは酸素が薄いんだから。

多くの人が死んでるね。落ちてさ。でも、下に来るのはいい事さ。辛くない。

ガミガミ、イライラ、グズグズ、クヨクヨ。

渦巻いてるそこの色は、汚い色のマーブリング。

そりゃ、ここまで色んな所を通った水は汚れてしまうさ。

でも、その水は僕らの物になるし、飲めるくらいにする事は出来る。

そこそこの底。

煙はあがっていく。それを見つめる。雲に重なり見えなくなる。

雨が降る。煙は消える。また、水が汚れる。さあ、おいでよ。
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