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虹と鳥
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1羽の小鳥が柵の上をチョンチョンと移動している。辺りに他の鳥は見当たらない。神様は、石田を見た後真由美と竹下も見た。
「すまないが、茜ちゃん以外の地球人3人は少し向こうの小屋で休んでてくれないか。ボロ小屋だが、内装は綺麗にしておいた」神様は石田たち3人の顔を順番に見ながら静かに言った。
「どういう事ですか?」石田が聞く。
「ワシは茜ちゃんと話す事がある。この話は君達に聞いて欲しくない」
「それで、はいそうですかって茜を置いて行く訳ないでしょ」真由美が神様をにらみつける。
「これは、茜ちゃんの意志なんだよ」神様はトーンを変えずに言う。
「なんで、茜の意志をあんたが決めるんだよ」竹下は1歩神様に近付く。
「決めたんじゃない。知ってるんだ」神様は竹下の目をじっと見た。
「神様だからってか」石田も神様をじっと見る。
「そうだ」
「俺達は、あんたが神様だって信じちゃいないし、信用もしてない」竹下は目をそらさずに言った。
「・・・わかった」少し神様は考えたあと、パチンと指を鳴らした。「君、そのアフロを引っ張ってみなさい」
竹下は右手でアフロを掴むとスッとアフロが取れて元の髪形に戻った。「あ、取れた!」
宇宙人とカッパもアフロを引っ張ってみるが、この2人のアフロは取れない。
「これで、ワシが神様だと信じてもらえたかな」
「でも、これだけじゃ・・・」真由美が言いかける。
「ごめんみんな!」茜が声を発する。みんなが茜を見た。「私、神様とお話がしたい」
「茜?」真由美が心配そうに茜の顔を覗き込む。
「神様の言う通り。私の意志・・・。だから、ごめん」
「大切だからだ。君達が茜ちゃんにとって、とても大切だからこそ言いにくい事がある」神様が言う。
「・・・わかった」石田は少し俯き加減で言った。
「石田・・・」真由美は心配そうに呟いた。
「茜の意志だ。俺達は茜が言いたくなった時に聞いてやればいい」石田は目だけ真由美に向けて言った。
「・・・ありがとう」茜は少しだけ笑った。
その時、いなくなっていた吉田がみんなの元へ歩いてきた。
「あ、吉田!」カッパが気付いた。
「小屋はこちらなので、吉田が案内しますよー」吉田が手で方向を示す。
「でも、茜に何かしたら絶対に許さないからな」石田は神様の真横で真っ直ぐ前を見ながら言った。
「わかっている。お前の願いも知ってる。心配するな」
その言葉を聞くと、石田を先頭に、真由美と竹下も吉田の後ろをついて歩いて行った。
「普通に道案内してたけど、吉田は案内なんて出来るの?」カッパは宇宙人に聞いた。
「3人はもう小屋に着いている。心配はいらない」神様は目線だけをカッパ達に向けながら言った。
「おお。さすが」と宇宙人。
茜は神様に頭を下げた。カッパと宇宙人は神様の横に移動してきた。
柵の上に止まっていた小鳥が滝の前に出来ていた虹に向かって飛んでいき、そのまま滝の上に消えていった。
「すまないが、茜ちゃん以外の地球人3人は少し向こうの小屋で休んでてくれないか。ボロ小屋だが、内装は綺麗にしておいた」神様は石田たち3人の顔を順番に見ながら静かに言った。
「どういう事ですか?」石田が聞く。
「ワシは茜ちゃんと話す事がある。この話は君達に聞いて欲しくない」
「それで、はいそうですかって茜を置いて行く訳ないでしょ」真由美が神様をにらみつける。
「これは、茜ちゃんの意志なんだよ」神様はトーンを変えずに言う。
「なんで、茜の意志をあんたが決めるんだよ」竹下は1歩神様に近付く。
「決めたんじゃない。知ってるんだ」神様は竹下の目をじっと見た。
「神様だからってか」石田も神様をじっと見る。
「そうだ」
「俺達は、あんたが神様だって信じちゃいないし、信用もしてない」竹下は目をそらさずに言った。
「・・・わかった」少し神様は考えたあと、パチンと指を鳴らした。「君、そのアフロを引っ張ってみなさい」
竹下は右手でアフロを掴むとスッとアフロが取れて元の髪形に戻った。「あ、取れた!」
宇宙人とカッパもアフロを引っ張ってみるが、この2人のアフロは取れない。
「これで、ワシが神様だと信じてもらえたかな」
「でも、これだけじゃ・・・」真由美が言いかける。
「ごめんみんな!」茜が声を発する。みんなが茜を見た。「私、神様とお話がしたい」
「茜?」真由美が心配そうに茜の顔を覗き込む。
「神様の言う通り。私の意志・・・。だから、ごめん」
「大切だからだ。君達が茜ちゃんにとって、とても大切だからこそ言いにくい事がある」神様が言う。
「・・・わかった」石田は少し俯き加減で言った。
「石田・・・」真由美は心配そうに呟いた。
「茜の意志だ。俺達は茜が言いたくなった時に聞いてやればいい」石田は目だけ真由美に向けて言った。
「・・・ありがとう」茜は少しだけ笑った。
その時、いなくなっていた吉田がみんなの元へ歩いてきた。
「あ、吉田!」カッパが気付いた。
「小屋はこちらなので、吉田が案内しますよー」吉田が手で方向を示す。
「でも、茜に何かしたら絶対に許さないからな」石田は神様の真横で真っ直ぐ前を見ながら言った。
「わかっている。お前の願いも知ってる。心配するな」
その言葉を聞くと、石田を先頭に、真由美と竹下も吉田の後ろをついて歩いて行った。
「普通に道案内してたけど、吉田は案内なんて出来るの?」カッパは宇宙人に聞いた。
「3人はもう小屋に着いている。心配はいらない」神様は目線だけをカッパ達に向けながら言った。
「おお。さすが」と宇宙人。
茜は神様に頭を下げた。カッパと宇宙人は神様の横に移動してきた。
柵の上に止まっていた小鳥が滝の前に出来ていた虹に向かって飛んでいき、そのまま滝の上に消えていった。
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