アフロ神の休日

なおちか

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願いが叶う滝と記念撮影

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神様が宮殿を出発した頃、茜たち4人は「願いが叶う滝」に到着していた。
雨が降った後であったが水は濁っていなくて、10m程の高さから落ちる水は、白いしぶきを上げながら次々と滝つぼに落ちていく。

この滝は幅が6m程で、ドーッという音と共にどんどん水が落ちていく。
滝つぼの手前には柵があり、滝には近付けないようになっている。

観光客は他にはいなくて、茜たち4人の貸し切り状態だった。

「おお。なかなか迫力あるなー」石田は滝を見上げながら言った。

「イオン・・・イオンを感じるー」真由美は目を閉じ両手を横に広げながら全身でマイナスイオンを浴びている。

「気持ちいいね」茜はそう言いながら滝に近付いて行き、柵に手をかけた。
真由美も茜の横に行き2人は並んで滝を眺める。

茜と真由美を後ろから眺めていた石田がふと横を見ると竹下がぼんやりと滝を眺めていた。

「どうした?」石田が聞く。

「え、あ・・・」竹下が石田を一瞬見て、また視線を滝に戻し話を始めた。「俺、思うんだけどさ、今ここにある水は川を流れて海に行って、世界中を旅して、雨になったり雪になったりして、またここへ戻ってくるんだよな」

「どうした?いきなり」石田は少し戸惑った笑顔を見せる。

「いや。俺達もさ、これからもっと一緒にいられる時間は減っていくじゃん。それぞれが、それぞれの道を行く。その先の道が全く交わって無かったら、もう連絡を取り合う事も無くなっちゃうのかなとか考えちゃってさ」

「確かに、会う頻度は減るだろうけどさ、俺は、何年経っても仲が良いままでいると思うけどな」

「だといいんだけどな。なんか大事なものほど失う事を考えたら怖くなるんだよ」

「何、その恥ずかしいセリフ」そう笑って、石田は竹下の背中をバンと叩いた。

「いって」

「おーい!何してるのー?そんな所からじゃ願いは届かないよ!」滝の音に負けない声で真由美は2人を呼んだ。

「あ、そうだ!髪型戻してもらわないと!」竹下はそう言って小走りに滝へ近付いていき、石田も歩いて後ろをついて行った。

竹下と石田が滝の前の柵まで来て4人が横並びで揃った。

「ねぇ、記念写真撮らない?みんなで」真由美が言った。

「いいけど、まずこのアフロを・・・」と竹下が言いかけた。その時に茜たちが来た道とはまた違う道から人が歩いてきた。

「あ、人が来たからあの人に頼んでみよ!」茜がそう言って小走りで声をかけに行った。「あの、すみません。写真、お願いしてもいいですか?」

「いいですよー。吉田ですけどー」

「え。あ、吉田・・・さん。じゃあ、すみません」茜はスマホを渡した。

茜は3人の元へ戻って4人は滝を背にして並んだ。真由美は竹下と肩を組んだ。
吉田はスマホを横向きにかまえた。

「ハイ、チーズ。もう1枚撮りますよー。ハイ、チーズ。オッケーですー」

「ありがとうございます」4人はお礼を言って、茜はスマホを受け取った。


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