アフロ神の休日

なおちか

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3人のアフロ達

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「それにしても、お前、速いな」神様は隣の宇宙人を見た。

「はい。基本的にメーバム星人は速いんですが、中でも俺が1番速いんですよ!」自信満々に宇宙人は答えた。

「んー。なんか、お前危ないな。えい」神様は宇宙人に向けて指をパチンと鳴らした。

何かしたように見えたが、宇宙人は何の変化も感じない。「え、何かしたんですか?」彼は自分の頭を触りながら聞いた。

「遅くした」

「え」

「どれだけ速く動こうとしても、地球人と同じくらいにした」

「いやいやいや」宇宙人は苦笑いしながら、腕を組み神様を見た。しかし、神様は真顔のままで何も言わない。

「マジで!?」そう言うと宇宙人はカッパのこぶしを開きに行った。「ふはは!遅い!遅すぎるわ!」カッパの手をまた寿司職人の形にしようとするが、宇宙人はカッパに腕を捕まれた。そしてカッパは静かに首を横に振った。

「うわああああ!これじゃあただの耳の大きい人だー!」宇宙人は叫んだ。

「まぁ、危険だから。この星であのスピードは危険だから。で、お前達、あの子の事を好きだとか言っていたが、2人ともあの子の事何も知らないんじゃないのか?」

「そういえば、名前も知らないなぁ」宇宙人はスンとした。

「立ち直りはや」カッパはツッコむ。

「今はあの子の事で胸がいっぱいだからね」親指で茜を指さしながら宇宙人は言った。

「胸がいっぱいになるのは、もっとあの子の事を知ってからでもいいんじゃないのか?」神様は宇宙人にそう言うと、カッパにも向けて続けた。「それに、愛はお互いが気持ちを通じ合わせないと芽生えないんだぞ」

「そうですよね・・・」カッパはそう呟くと茜の元へ歩いて行った。「僕、カッパって言います。君、名前は何ていうの?」

「茜です」

「好きです」

「集合」神様はカッパを手招きして呼んだ。「お前バカか?名前だけ聞いて好きとかおかしいだろ!何やってんだよ!」

「俺が行きますよ」そう言って宇宙人は茜に向かって歩いた。「茜ちゃん。俺、アレムっていいます。この髪型とアフロどっちが好き?」

「え、まぁ、こっちかな」

「だよね。好きです」

「んえい!」神様は宇宙人の頭に向けて杖を振った。宇宙人の頭は光り、髪型がアフロになった。宇宙人はしょんぼりし、カッパは宇宙人の背中をポンポンと叩いた。
その隙に神様は茜に少し近付き声をかけた。

「茜ちゃん。何か願い事ない?神様に出来る事なら1つ叶えてあげるよ」

「ちょっと!」宇宙人とカッパは驚き声をあげる。「なんで俺達の願いには頭が痛くなるからやめてとか言っといて、茜ちゃんの願いは叶えようとしてるんですか!」宇宙人は続けた。

「いや・・・あの・・・好きだわ」神様はボソッと言った。「ワシも茜ちゃん好き・・・うん。好きだな。やっぱ好きだわ」

「えー!」宇宙人とカッパは叫ぶ。「神様がそんな事言い出したら僕達に勝ち目無いじゃないですか!」

カッパは神様に詰め寄っていく。宇宙人も少し遅れてカッパの後ろから抗議に行った。

「まぁ、そうなるけども。そしたら争いも無くなるしいいじゃないか」神様は両手を軽く前に出して2人をなだめようとした。

「いいわけあるか!後から出てきて、俺達をアフロに変えて、挙句に茜ちゃんまで奪おうってか!?バカ!バ神様だよ!」宇宙人は言う。

「ほっほっ!なんとでも言うがいい!ワシはなんてったって神さ・・・」ここまで喋った時にパンッ!と軽い音が鳴った。カッパが軽く神様をビンタしたのだ。

宇宙人も無言で神様の横に立ち、神様の太ももに膝を入れる。それを無表情で何度も繰り返した。

「え、痛。ちょっ・・・え。痛いから。そこは痛い所だから。え、落ち着いて?な?ごめん。すみません」神様が謝ると、宇宙人はスッと膝を止めた。

「よし、もう好きとか言うのなしですよ」宇宙人はそう神様に言って茜の元へ向かった。カッパもついて行く。「あの・・・彼氏さんとかいるの?」宇宙人は茜に聞く。

「・・・いません」

それを聞いた2人は小さくガッツポーズをした。

「でも、好きな人はいます」

それを聞いた2人はしょんぼりした。

「告白はしないのか?」神様は太ももをさすりながら茜に聞いた。

「・・・はい」

「どうして?君みたいに可愛い子なら告白は成功するだろう」茜たちの方へ歩きながら神様は言った。
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