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アフロの神様、地球行きを決意する
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ゴッドは引き出しの中をゴソゴソと探し出した。「あった!」そう言いながら紙を引っ張り出し書かれている文章に目を通した。
「なんですかそれは?」少し遅れて近寄ってきた天使が聞く。
「・・・やっぱりこれだ!じゃーん!」ゴッドは天使の目の前に紙を出し、
受け取った天使は書かれた文章を読み始めた。
「えっと・・・、100億年勤務された貴殿に有給休暇を給付いたします。有給日数・・・1日。少なっ!完全にブラックじゃないですか!」
「そう!私には有給があるのだよ!出られるのだよ!この宮殿から!」そう言うと、ゴッドは部屋の中を軽やかに踊った。
「ダメだ完全に浮かれてる。てか、有給とかどこから支給されるんだ」呆れた目でゴッドを見つめながら天使はボソッとつぶやいた。
「総務だよ」
「総務?そんなのあるんですか」
「まぁそんな事はどうでもいいじゃろ。とにかく、ワシはここから出られるんじゃよ!」踊るのをやめたゴッドは天使の方に近づいていく。
「はあ。でも、どこへ行かれるんですか?」
「そこなんだよなー。何かいい事ないかなー」そう言いながらもゴッドの口調は明るく、明らかにテンションが上がっている。
「では、普段私達が遊んでいる所へご案内しましょうか?」
「嫌じゃ!何でお前達と同じレベルで遊ばなくちゃいけないんだよ!ワシは神様だぞ!バーカ!」
「あ、そうですか」
「大人か!もっと、こう、感情出して来いよ!ハイテンションでいきたいんだよワシは!」
「はぁ。すみません。ではどうされますか?地球でも行かれますか?」窓のそばまで歩き、地球の方角を見ながら天使は言った。
「地球?」神様も同じ方角を見る。
「はい。あまり大きくない星ですが文明は栄えておりますし、ゴッド様が最後に見られてから40億年ほど経っていますので新鮮に楽しめるかと」ゴッドの方に振り返り手を前に組んだ。
「なるほどな。地球か。様々な願いが飛んできておるわ。確か派遣している天使の報告によると、人間という生物がいるな」ゴッドも窓際まで移動して言った。
「ええ。彼らはなかなか知能も発達しています。ここ数百年での成長は凄まじいですね。この機会に地球人と少し会話されてはどうでしょう」
2人は窓際に並び外を眺めている。
「会話?ワシが地球人と?」天使の方を向きゴッドは聞く。
「普段は我々と会話する事しかありませんし、たまには違う者と話をされるのも面白いのではないかと」天使は真っ直ぐ前を向いたまま言った。
「うーん・・・なるほど。そうじゃな。悪くないかもしれん」ゴッドはまた視線を窓の外に移す。
「では地球に行かれますか?」
「うむ。地球に行く。久々に楽しい思い出が作れるかもしれんからな!」
「わかりました。ではこれを」天使は有給の通知書をゴッドに手渡した。
「よし、さっそく準備をするか!留守を頼むぞ!」
「はい」
ゴッドが扉に近付くとゆっくりと扉は開き、彼は部屋を出ていった。ゴッドが部屋を出たのを確認すると、天使は神の椅子に座ってみた。硬くもなく柔らかくもなく、絶妙な座り心地である。しばらくの間天使はその感触を楽しんでいたが、すぐに慣れ、飽きてしまい彼も部屋を出た。
有給休暇の申請が受理されたゴッドは、お気に入りのオイルを髭になじませ、部屋着から神御衣に着替えた。前に着たのがいつか思い出せないくらいであったが、そんな事はどうでもよく、ゴッドは期待に胸をふくらませ神の宮殿を飛び出していった。
「なんですかそれは?」少し遅れて近寄ってきた天使が聞く。
「・・・やっぱりこれだ!じゃーん!」ゴッドは天使の目の前に紙を出し、
受け取った天使は書かれた文章を読み始めた。
「えっと・・・、100億年勤務された貴殿に有給休暇を給付いたします。有給日数・・・1日。少なっ!完全にブラックじゃないですか!」
「そう!私には有給があるのだよ!出られるのだよ!この宮殿から!」そう言うと、ゴッドは部屋の中を軽やかに踊った。
「ダメだ完全に浮かれてる。てか、有給とかどこから支給されるんだ」呆れた目でゴッドを見つめながら天使はボソッとつぶやいた。
「総務だよ」
「総務?そんなのあるんですか」
「まぁそんな事はどうでもいいじゃろ。とにかく、ワシはここから出られるんじゃよ!」踊るのをやめたゴッドは天使の方に近づいていく。
「はあ。でも、どこへ行かれるんですか?」
「そこなんだよなー。何かいい事ないかなー」そう言いながらもゴッドの口調は明るく、明らかにテンションが上がっている。
「では、普段私達が遊んでいる所へご案内しましょうか?」
「嫌じゃ!何でお前達と同じレベルで遊ばなくちゃいけないんだよ!ワシは神様だぞ!バーカ!」
「あ、そうですか」
「大人か!もっと、こう、感情出して来いよ!ハイテンションでいきたいんだよワシは!」
「はぁ。すみません。ではどうされますか?地球でも行かれますか?」窓のそばまで歩き、地球の方角を見ながら天使は言った。
「地球?」神様も同じ方角を見る。
「はい。あまり大きくない星ですが文明は栄えておりますし、ゴッド様が最後に見られてから40億年ほど経っていますので新鮮に楽しめるかと」ゴッドの方に振り返り手を前に組んだ。
「なるほどな。地球か。様々な願いが飛んできておるわ。確か派遣している天使の報告によると、人間という生物がいるな」ゴッドも窓際まで移動して言った。
「ええ。彼らはなかなか知能も発達しています。ここ数百年での成長は凄まじいですね。この機会に地球人と少し会話されてはどうでしょう」
2人は窓際に並び外を眺めている。
「会話?ワシが地球人と?」天使の方を向きゴッドは聞く。
「普段は我々と会話する事しかありませんし、たまには違う者と話をされるのも面白いのではないかと」天使は真っ直ぐ前を向いたまま言った。
「うーん・・・なるほど。そうじゃな。悪くないかもしれん」ゴッドはまた視線を窓の外に移す。
「では地球に行かれますか?」
「うむ。地球に行く。久々に楽しい思い出が作れるかもしれんからな!」
「わかりました。ではこれを」天使は有給の通知書をゴッドに手渡した。
「よし、さっそく準備をするか!留守を頼むぞ!」
「はい」
ゴッドが扉に近付くとゆっくりと扉は開き、彼は部屋を出ていった。ゴッドが部屋を出たのを確認すると、天使は神の椅子に座ってみた。硬くもなく柔らかくもなく、絶妙な座り心地である。しばらくの間天使はその感触を楽しんでいたが、すぐに慣れ、飽きてしまい彼も部屋を出た。
有給休暇の申請が受理されたゴッドは、お気に入りのオイルを髭になじませ、部屋着から神御衣に着替えた。前に着たのがいつか思い出せないくらいであったが、そんな事はどうでもよく、ゴッドは期待に胸をふくらませ神の宮殿を飛び出していった。
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