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桃石と神
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喜んではしゃいでいるハナとサスケを太郎が落ち着かせると、マルが女に対して口を開きました。
「あんたは鬼と戦わなかったのか?」
「本来であれば鬼を滅するのは我の役目でした。しかし、いくつかの村に散らばった鬼を狭い範囲に集めてから滅する必要があり、住処であるこの島に全ての鬼が戻ってくるのを待つ必要がありました。思惑通りに鬼は集結したのですが誤算がありました。それは、鬼が我を盗み、帰る途中に落とした為、石が欠けてしまった事です。この事により、力の一部を失ってしまい鬼を封印する事までが限界となってしまったのです。さらに、万全ではない我の力では封じられる時に限界がありました。力を使い果たしかけていた我では落雷の力を抑えられず、本来よりも早く鬼が解放されてしまいました。鬼を殲滅させることなど不可能。そこで、太郎。あなたに全てを託すことにしました」
「オレが産まれたのは鬼を倒す為。そういう事ですか?」
「ええ。1番の方法は我が力を取り戻し鬼を滅する事でしたが、何も出来なくなった以上、あなたを頼りにするしかありませんでした。全てを背負わせてしまい申し訳ないと思っています」
「いえ、産まれた意味を知れて良かったです。それに全てを背負ってはおりません。コイツらや、松川殿やたくさんの人たちにも背負ってもらいました。だからここまで来れたんです」
「ええこと言うやん太郎はん!」ハナが言いました。
太郎はハナを見てニコッと笑うと頭を撫で、再び女を見ました。「鬼は全ていなくなったと言いましたが、もう2度と鬼は現れないんでしょうか?」
「現状では鬼がまた出る可能性はあります。それは、この島には特別な成分があり、満月の光と合わさる事で鬼の素を活性化させ鬼に成ることが可能だからです。鬼の素は海にまだ漂っていて、嵐や地震の影響などでこの島に打ち上ればまた鬼が出る事はありえます」と女は答えました。
「では、また鬼が出現した時にはどうするんですか?次も勝てる保証はないですよ」
「我がこの島を沈めます。海水に触れていると鬼の素は活性できません」
「どうやって」
「簡単です。我が元に戻ればいいだけです。あなたの持つ刀は我の腕が芯になっていますから、刀を我に刺し元通りになれば力は使えるようになります。全ての力が使えるならば、この島を沈める事は難しいことではありません」
「刺す?すごい怖いことをサラッと言うたな」サスケが言いました。
「石の形のままなら切断したところに当てればいいだけなのですが、刀になりましたからね。痛みは感じませんから大丈夫ですよ」女はにこやかに笑いました。
「桃石はあなたの身体だったという事なんですね。もうオレたちにやれる事はないやろうし、コレはあなたにお返しします」太郎はそう言うと刀を抜き女の前まで歩いていくと刀を手渡しました。
「感謝いたします」女はそう言った後すぐに、自分の右腕の切断された部分に刀を刺しました。血などは出ず、肩の方からゆっくりと右腕が再生されていきます。全てが元に戻った時、指先からポタポタと皮鉄の鋼が落ちていき地面に広がりました。女の左手には刀の柄だけが残っており、柄を太郎に手渡しました。
「そちらはお返しいたします」女は右手を少し動かし、「あなた方が島を離れ岸に着く頃には力は全て戻っていそうです。もう鬼が現れる事はありません」と言いました。
「この島に残るん?」ハナが女に聞きました。
「ええ。この先、何百年、何千年と見守っていかねばなりません。何かが起こったとしても、島にいれば全ての力を使い対処が出来ます」
女の話を聞き終えた太郎たちはまた舟に乗り込み島を出ました。太郎もサスケも怪我をしている為上手く漕げませんでしたが、何かの力なのか舟は波に乗り真っ直ぐ進み、あっという間に岸に到着しました。
舟を降りた太郎たちが視線を上げると、数人の男が立っていました。
「あんたは鬼と戦わなかったのか?」
「本来であれば鬼を滅するのは我の役目でした。しかし、いくつかの村に散らばった鬼を狭い範囲に集めてから滅する必要があり、住処であるこの島に全ての鬼が戻ってくるのを待つ必要がありました。思惑通りに鬼は集結したのですが誤算がありました。それは、鬼が我を盗み、帰る途中に落とした為、石が欠けてしまった事です。この事により、力の一部を失ってしまい鬼を封印する事までが限界となってしまったのです。さらに、万全ではない我の力では封じられる時に限界がありました。力を使い果たしかけていた我では落雷の力を抑えられず、本来よりも早く鬼が解放されてしまいました。鬼を殲滅させることなど不可能。そこで、太郎。あなたに全てを託すことにしました」
「オレが産まれたのは鬼を倒す為。そういう事ですか?」
「ええ。1番の方法は我が力を取り戻し鬼を滅する事でしたが、何も出来なくなった以上、あなたを頼りにするしかありませんでした。全てを背負わせてしまい申し訳ないと思っています」
「いえ、産まれた意味を知れて良かったです。それに全てを背負ってはおりません。コイツらや、松川殿やたくさんの人たちにも背負ってもらいました。だからここまで来れたんです」
「ええこと言うやん太郎はん!」ハナが言いました。
太郎はハナを見てニコッと笑うと頭を撫で、再び女を見ました。「鬼は全ていなくなったと言いましたが、もう2度と鬼は現れないんでしょうか?」
「現状では鬼がまた出る可能性はあります。それは、この島には特別な成分があり、満月の光と合わさる事で鬼の素を活性化させ鬼に成ることが可能だからです。鬼の素は海にまだ漂っていて、嵐や地震の影響などでこの島に打ち上ればまた鬼が出る事はありえます」と女は答えました。
「では、また鬼が出現した時にはどうするんですか?次も勝てる保証はないですよ」
「我がこの島を沈めます。海水に触れていると鬼の素は活性できません」
「どうやって」
「簡単です。我が元に戻ればいいだけです。あなたの持つ刀は我の腕が芯になっていますから、刀を我に刺し元通りになれば力は使えるようになります。全ての力が使えるならば、この島を沈める事は難しいことではありません」
「刺す?すごい怖いことをサラッと言うたな」サスケが言いました。
「石の形のままなら切断したところに当てればいいだけなのですが、刀になりましたからね。痛みは感じませんから大丈夫ですよ」女はにこやかに笑いました。
「桃石はあなたの身体だったという事なんですね。もうオレたちにやれる事はないやろうし、コレはあなたにお返しします」太郎はそう言うと刀を抜き女の前まで歩いていくと刀を手渡しました。
「感謝いたします」女はそう言った後すぐに、自分の右腕の切断された部分に刀を刺しました。血などは出ず、肩の方からゆっくりと右腕が再生されていきます。全てが元に戻った時、指先からポタポタと皮鉄の鋼が落ちていき地面に広がりました。女の左手には刀の柄だけが残っており、柄を太郎に手渡しました。
「そちらはお返しいたします」女は右手を少し動かし、「あなた方が島を離れ岸に着く頃には力は全て戻っていそうです。もう鬼が現れる事はありません」と言いました。
「この島に残るん?」ハナが女に聞きました。
「ええ。この先、何百年、何千年と見守っていかねばなりません。何かが起こったとしても、島にいれば全ての力を使い対処が出来ます」
女の話を聞き終えた太郎たちはまた舟に乗り込み島を出ました。太郎もサスケも怪我をしている為上手く漕げませんでしたが、何かの力なのか舟は波に乗り真っ直ぐ進み、あっという間に岸に到着しました。
舟を降りた太郎たちが視線を上げると、数人の男が立っていました。
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