奴隷少女は騎士となる

灰色の街。

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訓練

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天気は晴れ。空気も澄んでおり絶好の訓練日よりだ。
今日から明日にかけ、一ヶ月程前に中止となった野営訓練をする。前回は始まってすぐに退散指示が出たため、野営どころか魔物狩りすら出来ていない。騎士団では最低六回は野営訓練をすることが義務付けられているため、完全中止にすることはできない。会議の結果、こうなったというわけだ。
本当は後処理等も残っていて、新人以外の騎士は皆忙しそうなのだが見張りの人や、万が一の事も考えて、ベテラン騎士も参加させないといけない。忙しい中私達の訓練に付き合ってくれるから、何時もよりも真剣にやらないと。
今回付き添いで来てくれるのは第2班班員の今年で騎士歴三年目になる人と、第一班班員の騎士歴6年目の人。どちらもベテラン騎士だ。

集合場所に到着すると既に50人程度の人が来ていた。今回は80人程度が参加するらしい。知り合いを探そうと辺りを見回すと、丁度カリナンがいた。声を掛けようとするが、どうやら同じ班の班員と話している。相手が私の知らない人だったので話しかけることを諦め、全員集合するのを待つ。

十分程経ち、全員集合したようだ。ベテラン騎士二人が馬に乗る。それを見て私達も馬に乗り、走り始める。馬の乗り降りは騎士団入団直後に徹底的に覚えさせられたお陰でスムーズにできる。馬との信頼を築くのは騎士にとっては仕事と一緒。自分の馬が割り振られたら先ずいきなり乗ったりはせず、信頼をおかれるまで世話をし続ける。そうすることで一種のコミュニケーションをすることになるのだ。誰だって知らない奴を背中に乗せたりはしたくない。それは馬でも同じだ。

森につくと、前回とは打って変わって何時もの森に戻っていた。特徴的な魔力の波長も嘘のように感じられない。
馬から降り、合図と同時に森の中へと入る。前回いた人達は先程までかなり警戒心を高めているようだが、特に何もないと分かり安心しているようだ。

最初は皆、団子状態でゾロゾロと進むが、途中でベテラン騎士にバラバラにされるまでがセオリーだ。相も変わらず集団で動いているよう人達を蹴散らしているベテラン騎士を遠くから眺める。
私は戦術的に単独行動の方が動きやすいため、最初から一人で行動だ。それに仲間と一緒に動くのはルール違反にもなる。私にとってルールとは破ったら殺されるというイメージがあるため、軽々しく破れない。ここではそんなことされないと見ていたらわかるのだが、心理的な作用が働いているのだろう。

そうこうしている内に近くに魔物の気配を感じた。魔物といってもそこまで強くない。初級魔物程度の奴。でも、何時だって油断は大敵だし、警戒は十分にして気配を消す。練習のために魔術師は使わない。使ったとしても、周りが木々であることを考慮して放つため、だいぶ威力を落とすことになるだろう。
私はこっそりとその魔物に近づくと、一気に飛び出して短剣を振るった。
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