奴隷少女は騎士となる

灰色の街。

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行方不明事件⑭

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先輩達と階段を下る。階段は狭く、二列になるのが精一杯。万が一の退路を確保するため、1列で進む。
班長達の気配が近くなっていくにつれ、何かの魔力の波長を感じる。感じたことのない波長だったが、先輩達は知っているようで警戒を高める。何の波長か聞きたかったが、声を出すわけにもいかない。取り敢えず警戒を高めたがら、先輩達の後に続くしかない。

階段を下りきった先はいくつもの部屋があり、騎士団の地下牢に似ていた。
どこか不気味さを覚えながらも、班長達の気配がする奥の部屋へと向かう。因みにここに来る最中、何もなかったわけではなくいくつものトラップがあった。踏んだ瞬間床が抜けるタイル板や気配を感じたら毒ガスを噴射する魔道具などが山ほどあった。しかも簡単には見破れないように。まあ先輩達はあっさりと見破って何もなかったかのようにここまで来れたのだが。
私もトラップなどを見破るのは結構できる方だと思っていたが、それでも見つけられなかった。先輩達が合図をくれて、私もじっくりと見ると分かるって感じで、先輩達との差をここでも見せつけられた。

それはさておき、目の前は班長達の気配がする部屋の扉。今すぐにでも突撃したいところだが、班長達がどういう状況なのか、全くわからない。かといって空間魔術を使うにも、侵入者が目の前まで来ているってことをばらしてしまう。まあ、そこは最悪どうにかなるのだが、空間魔術においての体力の消耗はどうしようもない。
どうするか。そう思っていると、キーカル先輩が私に合図を送ってきた。

「(お前が空間魔術使って把握。皆に教えろ)」

騎士団で覚えさせられる合図で、この合図を使うことで音も出さずに味方と情報共有することができるのだ。
空間魔術は体力をかなり削られるし、敵にも位置がばれるので、余りやらないほうがいいと思っていたが、確かに私ならもう既に体力を消耗しているし、今さらそんな変わらないだろう。
それに魔術だって素早く展開して素早く解除すればいいだけの話だ。向こうは魔道具を使っているはずだから、気のせいだと思ってくれるだろう。まあ、それが難しいのだが。ただ、第1班のメンバーでそれができない人はいない。もれなく私もできる。

あまりやりたくないが声を出したくないため、スペーション·グラスプを無詠唱で発動する。
無詠唱でやると、魔力や体力が普通に発動するより倍も消耗してしまうため、普段はやらない。
今はそんなこと言ってられないし、今さら体力の消耗とか言っても…という感じだ。

部屋の中は10畳半で、班長達と殺意をもった敵が6人。班長達は何かに拘束されているようだ。敵は班長達を囲うように見張りをしている。敵は当然のごとく気配が魔物に近い人で、強さもよく分からない。よく分からないということは、自分より強いということ。
その事を先輩達に伝えると、難しい顔をしながら会議を始めた。

会議をしてでた結果は、取り敢えず先輩達はこのまま突撃。私は敵が先輩達に注意を向けている間に班長達を開放。という流れになった。勿論、完璧にこの通りには絶対にいかないが、ゆっくり会議をしている時間もないのだ。臨機応変に動くしかない。

深呼吸して、一気に鉄の扉を開く。

「「!!」」

そこに広がる光景を見て、先輩達は息を飲んだ。
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