47 / 120
行方不明事件⑭
しおりを挟む
先輩達と階段を下る。階段は狭く、二列になるのが精一杯。万が一の退路を確保するため、1列で進む。
班長達の気配が近くなっていくにつれ、何かの魔力の波長を感じる。感じたことのない波長だったが、先輩達は知っているようで警戒を高める。何の波長か聞きたかったが、声を出すわけにもいかない。取り敢えず警戒を高めたがら、先輩達の後に続くしかない。
階段を下りきった先はいくつもの部屋があり、騎士団の地下牢に似ていた。
どこか不気味さを覚えながらも、班長達の気配がする奥の部屋へと向かう。因みにここに来る最中、何もなかったわけではなくいくつものトラップがあった。踏んだ瞬間床が抜けるタイル板や気配を感じたら毒ガスを噴射する魔道具などが山ほどあった。しかも簡単には見破れないように。まあ先輩達はあっさりと見破って何もなかったかのようにここまで来れたのだが。
私もトラップなどを見破るのは結構できる方だと思っていたが、それでも見つけられなかった。先輩達が合図をくれて、私もじっくりと見ると分かるって感じで、先輩達との差をここでも見せつけられた。
それはさておき、目の前は班長達の気配がする部屋の扉。今すぐにでも突撃したいところだが、班長達がどういう状況なのか、全くわからない。かといって空間魔術を使うにも、侵入者が目の前まで来ているってことをばらしてしまう。まあ、そこは最悪どうにかなるのだが、空間魔術においての体力の消耗はどうしようもない。
どうするか。そう思っていると、キーカル先輩が私に合図を送ってきた。
「(お前が空間魔術使って把握。皆に教えろ)」
騎士団で覚えさせられる合図で、この合図を使うことで音も出さずに味方と情報共有することができるのだ。
空間魔術は体力をかなり削られるし、敵にも位置がばれるので、余りやらないほうがいいと思っていたが、確かに私ならもう既に体力を消耗しているし、今さらそんな変わらないだろう。
それに魔術だって素早く展開して素早く解除すればいいだけの話だ。向こうは魔道具を使っているはずだから、気のせいだと思ってくれるだろう。まあ、それが難しいのだが。ただ、第1班のメンバーでそれができない人はいない。もれなく私もできる。
あまりやりたくないが声を出したくないため、スペーション·グラスプを無詠唱で発動する。
無詠唱でやると、魔力や体力が普通に発動するより倍も消耗してしまうため、普段はやらない。
今はそんなこと言ってられないし、今さら体力の消耗とか言っても…という感じだ。
部屋の中は10畳半で、班長達と殺意をもった敵が6人。班長達は何かに拘束されているようだ。敵は班長達を囲うように見張りをしている。敵は当然のごとく気配が魔物に近い人で、強さもよく分からない。よく分からないということは、自分より強いということ。
その事を先輩達に伝えると、難しい顔をしながら会議を始めた。
会議をしてでた結果は、取り敢えず先輩達はこのまま突撃。私は敵が先輩達に注意を向けている間に班長達を開放。という流れになった。勿論、完璧にこの通りには絶対にいかないが、ゆっくり会議をしている時間もないのだ。臨機応変に動くしかない。
深呼吸して、一気に鉄の扉を開く。
「「!!」」
そこに広がる光景を見て、先輩達は息を飲んだ。
班長達の気配が近くなっていくにつれ、何かの魔力の波長を感じる。感じたことのない波長だったが、先輩達は知っているようで警戒を高める。何の波長か聞きたかったが、声を出すわけにもいかない。取り敢えず警戒を高めたがら、先輩達の後に続くしかない。
階段を下りきった先はいくつもの部屋があり、騎士団の地下牢に似ていた。
どこか不気味さを覚えながらも、班長達の気配がする奥の部屋へと向かう。因みにここに来る最中、何もなかったわけではなくいくつものトラップがあった。踏んだ瞬間床が抜けるタイル板や気配を感じたら毒ガスを噴射する魔道具などが山ほどあった。しかも簡単には見破れないように。まあ先輩達はあっさりと見破って何もなかったかのようにここまで来れたのだが。
私もトラップなどを見破るのは結構できる方だと思っていたが、それでも見つけられなかった。先輩達が合図をくれて、私もじっくりと見ると分かるって感じで、先輩達との差をここでも見せつけられた。
それはさておき、目の前は班長達の気配がする部屋の扉。今すぐにでも突撃したいところだが、班長達がどういう状況なのか、全くわからない。かといって空間魔術を使うにも、侵入者が目の前まで来ているってことをばらしてしまう。まあ、そこは最悪どうにかなるのだが、空間魔術においての体力の消耗はどうしようもない。
どうするか。そう思っていると、キーカル先輩が私に合図を送ってきた。
「(お前が空間魔術使って把握。皆に教えろ)」
騎士団で覚えさせられる合図で、この合図を使うことで音も出さずに味方と情報共有することができるのだ。
空間魔術は体力をかなり削られるし、敵にも位置がばれるので、余りやらないほうがいいと思っていたが、確かに私ならもう既に体力を消耗しているし、今さらそんな変わらないだろう。
それに魔術だって素早く展開して素早く解除すればいいだけの話だ。向こうは魔道具を使っているはずだから、気のせいだと思ってくれるだろう。まあ、それが難しいのだが。ただ、第1班のメンバーでそれができない人はいない。もれなく私もできる。
あまりやりたくないが声を出したくないため、スペーション·グラスプを無詠唱で発動する。
無詠唱でやると、魔力や体力が普通に発動するより倍も消耗してしまうため、普段はやらない。
今はそんなこと言ってられないし、今さら体力の消耗とか言っても…という感じだ。
部屋の中は10畳半で、班長達と殺意をもった敵が6人。班長達は何かに拘束されているようだ。敵は班長達を囲うように見張りをしている。敵は当然のごとく気配が魔物に近い人で、強さもよく分からない。よく分からないということは、自分より強いということ。
その事を先輩達に伝えると、難しい顔をしながら会議を始めた。
会議をしてでた結果は、取り敢えず先輩達はこのまま突撃。私は敵が先輩達に注意を向けている間に班長達を開放。という流れになった。勿論、完璧にこの通りには絶対にいかないが、ゆっくり会議をしている時間もないのだ。臨機応変に動くしかない。
深呼吸して、一気に鉄の扉を開く。
「「!!」」
そこに広がる光景を見て、先輩達は息を飲んだ。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
追い出された万能職に新しい人生が始まりました
東堂大稀(旧:To-do)
ファンタジー
「お前、クビな」
その一言で『万能職』の青年ロアは勇者パーティーから追い出された。
『万能職』は冒険者の最底辺職だ。
冒険者ギルドの区分では『万能職』と耳触りのいい呼び方をされているが、めったにそんな呼び方をしてもらえない職業だった。
『雑用係』『運び屋』『なんでも屋』『小間使い』『見習い』。
口汚い者たちなど『寄生虫」と呼んだり、あえて『万能様』と皮肉を効かせて呼んでいた。
要するにパーティーの戦闘以外の仕事をなんでもこなす、雑用専門の最下級職だった。
その底辺職を7年も勤めた彼は、追い出されたことによって新しい人生を始める……。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

異世界無宿
ゆきねる
ファンタジー
運転席から見た景色は、異世界だった。
アクション映画への憧れを捨て切れない男、和泉 俊介。
映画の影響で筋トレしてみたり、休日にエアガンを弄りつつ映画を観るのが楽しみな男。
訳あって車を購入する事になった時、偶然通りかかったお店にて運命の出会いをする。
一目惚れで購入した車の納車日。
エンジンをかけて前方に目をやった時、そこは知らない景色(異世界)が広がっていた…
神様の道楽で異世界転移をさせられた男は、愛車の持つ特別な能力を頼りに異世界を駆け抜ける。
アクション有り!
ロマンス控えめ!
ご都合主義展開あり!
ノリと勢いで物語を書いてますので、B級映画を観るような感覚で楽しんでいただければ幸いです。
不定期投稿になります。
投稿する際の時間は11:30(24h表記)となります。

王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる