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行方不明事件⑪
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先輩達が来てからはあっという間だった。それまで私が苦戦していたのが嘘みたいに倒されていく。とうとう戦闘は終わり残されたのは拷問のために生かされている状態だ。目の前で既に拷問が始まっている。辺りには血の臭いが漂っている。
「大丈夫だった?」
「はい。ありがとうございます」
ガリウス先輩が話しかけてきた。他の先輩も、拷問しながらではあるが、私の方をチラチラ見てくる。まあ、私が全身血まみれだからだと思うが。元々黒かった服は血が染み込み赤黒くなり、所々破れている。魔力修復がついているため買い直す必要はないが、生憎私の魔力は殆ど空に近い。少なくとも、服を修復できるだけの魔力は持ち合わせていない。それに加え、足や腕からは未だに出血が続いている。服に染み込まれなかった血が私の指を伝って落ちるものだから余計に酷くなるだろう。
獣化して戦ってこれなのだから獣化していなかったら危うく死んでいたかも知れない。それが分かっているから先輩達もあんなに怒っているのだろう。
「今回は死ななかったからいいものの、今度からはちゃんと報告してよ。僕達だって悪人を殺したことぐらいはあるし、少なくともライよりは経験あるんだから。一丁前に気を使わなくたっていいの!分かった?」
「……はい」
ばれていた。私の考えていること全て。本当に先輩達には頭が上がらない。
「先輩達は、凄いですね」
「いつかライも出来るようになるさ。僕達も出来る限りのことは補助するから。なんだかんだ言って期待してるんだよ?頑張ろ?」
「勿論です」
その前にこの戦いを終わらせないと。
先輩達を見ると、既に拷問が終わったようだ。拷問していた盗賊はもうピクリとも動いていない。
「どうだった?」
「ああ、班長達は王都の中にある小屋にいるらしい。場所も聞き出した。早速行くぞ」
「了解」
各自が動き出す。先輩達についていく。
それにしても、どうやって班長達を連れ去ったんだろう。多分パーティーで貰ったという物が関わっているとは思うが、どう関わっているのか分からない。もしかしたらそれはダミーで、私達の目から逃げるための物かもしれない。
「ライ?どうしたの?」
「ガリウス先輩。いえ、犯人はどうやって班長達を連れ去ったんだろうと思いまして」
「ああ、僕達もそれで引っ掛かってるんだよね。だから取り敢えず班長達を連れ戻せたら話聞けるんじゃないかって結論になってる。あんまり深く考えすぎても迷路になるだけだしね」
「そうなんですね」
先輩達でも分からないなら私には無理だな。先輩の言う通り、まずは班長達を連れ戻すことを優先で考えよう。
しばらく歩き続け、馬を置いたところに戻る。
「此処からはスピード出していくからな。ちゃんとついてこいよ。特にライ!」
「はい!」
何故に私……と思っていると、キーカル先輩が並走してきた
「お前が勝手な行動するからだろ。次はないからな」
「……!はい!」
「大丈夫だった?」
「はい。ありがとうございます」
ガリウス先輩が話しかけてきた。他の先輩も、拷問しながらではあるが、私の方をチラチラ見てくる。まあ、私が全身血まみれだからだと思うが。元々黒かった服は血が染み込み赤黒くなり、所々破れている。魔力修復がついているため買い直す必要はないが、生憎私の魔力は殆ど空に近い。少なくとも、服を修復できるだけの魔力は持ち合わせていない。それに加え、足や腕からは未だに出血が続いている。服に染み込まれなかった血が私の指を伝って落ちるものだから余計に酷くなるだろう。
獣化して戦ってこれなのだから獣化していなかったら危うく死んでいたかも知れない。それが分かっているから先輩達もあんなに怒っているのだろう。
「今回は死ななかったからいいものの、今度からはちゃんと報告してよ。僕達だって悪人を殺したことぐらいはあるし、少なくともライよりは経験あるんだから。一丁前に気を使わなくたっていいの!分かった?」
「……はい」
ばれていた。私の考えていること全て。本当に先輩達には頭が上がらない。
「先輩達は、凄いですね」
「いつかライも出来るようになるさ。僕達も出来る限りのことは補助するから。なんだかんだ言って期待してるんだよ?頑張ろ?」
「勿論です」
その前にこの戦いを終わらせないと。
先輩達を見ると、既に拷問が終わったようだ。拷問していた盗賊はもうピクリとも動いていない。
「どうだった?」
「ああ、班長達は王都の中にある小屋にいるらしい。場所も聞き出した。早速行くぞ」
「了解」
各自が動き出す。先輩達についていく。
それにしても、どうやって班長達を連れ去ったんだろう。多分パーティーで貰ったという物が関わっているとは思うが、どう関わっているのか分からない。もしかしたらそれはダミーで、私達の目から逃げるための物かもしれない。
「ライ?どうしたの?」
「ガリウス先輩。いえ、犯人はどうやって班長達を連れ去ったんだろうと思いまして」
「ああ、僕達もそれで引っ掛かってるんだよね。だから取り敢えず班長達を連れ戻せたら話聞けるんじゃないかって結論になってる。あんまり深く考えすぎても迷路になるだけだしね」
「そうなんですね」
先輩達でも分からないなら私には無理だな。先輩の言う通り、まずは班長達を連れ戻すことを優先で考えよう。
しばらく歩き続け、馬を置いたところに戻る。
「此処からはスピード出していくからな。ちゃんとついてこいよ。特にライ!」
「はい!」
何故に私……と思っていると、キーカル先輩が並走してきた
「お前が勝手な行動するからだろ。次はないからな」
「……!はい!」
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