奴隷少女は騎士となる

入団試験

あれから一週間が経った。
この一週間は訓練したり、筆記試験の勉強をしたりと忙しかった。
タースリク王国の筆記試験はかなり難しいらしく、例年筆記試験で満点を取れるのは1人～2人ぐらいしかいないようだ。年によっては0人の時もあるそうだ。

入団試験の日程としては、午前に筆記試験、午後に実技試験を行い、その一週間後に合格発表をする予定らしい。

今年の受験者数は2000人なのに対し、合格者数は80人前後。
しかもその半分は騎士学校という、騎士になりたい子が通う学校から出る。本当に狭き門なのだ。

「ラ－イ！」

その言葉と共に私に突進してきたのは一週間ぶりに会うウィンさん。
昨日偶々図書館で会い、一緒に受験会場に行くことを約束したのだ。
ウィンさんもこの一週間、訓練と勉強に明け暮れていたらしい。
私とウィンさんは偶然受験番号が近く、筆記試験の部屋が一緒。
私と同じ人がいるというだけで緊張がかなり和らぐ。

一緒に受験会場に入ると、もう既に受験者がちらほらと席に着いていた。
私達も席に着き、最後の追い上げをしていく。
タースリク王国の騎士団は、筆記試験が合格に5割ほど影響するから、最後の追い上げはとても大事。

30分後。

「試験、初め！」

試験管の言葉と共に試験が始まった。制限時間は180分。
その間に一般教養学、魔法学、薬学にプラスし、ある事件が起きたときのその対処法を書くレポート問題を3問、解かなければならない。
まず、一般教養学の問題を見る。

問、(2000×126)÷20の答えを世界共通語の表記のしかたで答えよ

問、隣国のグラード王国と結んでいる条約のうち、約50年前に結んだ条約を答えよ

こんな感じの問題を90問程解いていく。難しいのも沢山あったが、8割程は解けた。
次は魔法学。

問、全魔法のうち、赤猫族に一番よく見られる適性魔法は何か答えよ　

問、複合魔法の組み合わせを全て答えよ

魔法学は、得意中の得意だったのですらすらと解けた。ただ、問題数が120問と多く、大分時間を使ってしまった。
残るは薬学とレポート問題。
レポート問題の方が配点が高いので、そちらからやっていく。

問、森を1人で上っている最中、上から魔法攻撃をされた。魔法をうってきた人の姿は見えない。また、応援は見込めない。このときの対処法を答えよ

問、盗賊100人の大型グループが子供3人を人質に取ってきた。要求は国王の身の引き渡しと、金貨100枚。こちらの陣営は騎士10人。応援は見込めない。このときの対処法を答えよ　

問、街中でワイバーンが暴れている。こちらの陣営は騎士5人。応援は見込めない。このときの対処法を答えよ

最初と最後が苦戦した。この手の問題は、説明が簡潔であればあるほど、正答率が下がる。
こちらが考えた案も、何百ものパターンを考えると、必ずどこかでミスが生まれるからだ。
何とか私が考えれる最善の案を考え、レポートにまとめる。

さあ、残り時間は40分。残った問題は薬学90問。どうにか全て答えたい。