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【新婚旅行編】七日目:その瞳に映る星々に見惚れて
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そういえば、俺達が入ってきた出入り口はどうなって。
ふと気になって顔だけ後ろに向けてみれば消えていた。いや、現れた時と同じように塞がったというのが正しいのだろう。俺達の後ろには、まるで元から何もなかったかのように天井や周囲と同じような壁があった。繋ぎ目のようなラインすらも入ってはいない。
「ああ、アオイ、窓の外を見て下さい。誠に美しいですよ」
「え……うわぁっ」
いつの間にか、部屋を照らす照明は最低限になっていた。そのお陰でより際立って見えたのだ。
窓の外を次々と駆けていく流れ星が。煌めく星々の線は、時に俺達の乗っている乗り物の窓へと向かい風のように吹きつけては、はたまた降り注ぐ雨のようにキラキラと弾けては、儚く淡く瞬いて消えていた。
白や淡い黄色、赤にオレンジ、透き通るような青。一瞬一瞬で色味を変える星々の粒が、窓の外で踊るように舞っている。
光の飛沫は、いつしか俺達の足元へも。どうやら、床とその少し上の壁が透過されているようだ。お陰で全部見えている。俺たちを乗せてどのようにして、星々で出来たレールの上を駆け上がっているのかが。
実際には踏みしめていなくとも、視覚による効果は凄まじい。錯覚してしまう。ホントにバアルさんと一緒に星の川を走っているみたいだ。
見たことのない神秘的な光景は、なんと例えればいいのか。
……言葉にならない。キレイだねとか、スゴいねとか、率直な感想すらもぽかんと開いたままの口からは、一言も出てきやしなかった。
ふと顎に柔らかな指先が触れた。掬い上げるように優しく持ち上げられて、見惚れてしまっていた星の煌めき以上に目を奪われた。
「……宜しければ、あちらでゆっくり景色を楽しみませんか?」
万華鏡のように移りゆく星々の光が、柔らかく微笑む彼を照らしている。目鼻立ちの整った顔を、透き通るような白い肌を、薄闇の中でも淡い光を帯びた羽を、より魅力的に彩るように。
まるで、彼が星の世界の住人になってしまったみたい。とてもこの世のものとは思えない。白い睫毛に縁取られた瞳なんて、外で煌めき続けている星々の瞬きを映し込んだような。ずっと見ていたいくらいにキレイで。
「ふふ……」
形の良い唇が笑みをこぼす。それはそれは嬉しそうに、満足気に。
「誠に私の妻は愛らしいですね……いかがなさいますか? このまま、互いの瞳に映る星々を楽しみましょうか? それはそれで、大変有意義なお時間ではございますね。貴方様の美しく透き通った瞳を独り占めに出来るのですから」
「あ、ぅ……」
うっとりとした声が歌うように紡いでいく言葉の熱量に、鼓動ははしゃぎっぱなし。一気にお花が咲き乱れた頭もふわふわしてしまう。
それどころか今にも力が抜けてしまいそうな身体まで、足元まで浮ついていた。けれども、バランスを崩して星の川に膝をつくことはなく、バアルさんの長い腕に抱き支えてもらえた。
「……ありがと」
「……いえ」
嬉しいことばかりを囁かれて、すっかり俺は夢見心地になっていた。服越しでも逞しさが分かる分厚い胸元に、縋り付くようにもたれかかってしまっていた。
歩き辛いだろうに、バアルさんは一切そんな素振りは見せない。俺を抱き支えてくれたまま、ソファーへとエスコートしてくれる。
たおやかな手により恭しく、ふっくらと座り心地の良いソファーへと先に座らさせてもらった。彼がすぐ側に腰を下ろしたところで、俺は吸い寄せられるように抱きついていた。彼と一緒に寛ぐ時の定位置へと、その逞しい膝の上へとお邪魔させてもらったのだが。
「……ん、バアル……? どうか、したの?」
ふと気になって顔だけ後ろに向けてみれば消えていた。いや、現れた時と同じように塞がったというのが正しいのだろう。俺達の後ろには、まるで元から何もなかったかのように天井や周囲と同じような壁があった。繋ぎ目のようなラインすらも入ってはいない。
「ああ、アオイ、窓の外を見て下さい。誠に美しいですよ」
「え……うわぁっ」
いつの間にか、部屋を照らす照明は最低限になっていた。そのお陰でより際立って見えたのだ。
窓の外を次々と駆けていく流れ星が。煌めく星々の線は、時に俺達の乗っている乗り物の窓へと向かい風のように吹きつけては、はたまた降り注ぐ雨のようにキラキラと弾けては、儚く淡く瞬いて消えていた。
白や淡い黄色、赤にオレンジ、透き通るような青。一瞬一瞬で色味を変える星々の粒が、窓の外で踊るように舞っている。
光の飛沫は、いつしか俺達の足元へも。どうやら、床とその少し上の壁が透過されているようだ。お陰で全部見えている。俺たちを乗せてどのようにして、星々で出来たレールの上を駆け上がっているのかが。
実際には踏みしめていなくとも、視覚による効果は凄まじい。錯覚してしまう。ホントにバアルさんと一緒に星の川を走っているみたいだ。
見たことのない神秘的な光景は、なんと例えればいいのか。
……言葉にならない。キレイだねとか、スゴいねとか、率直な感想すらもぽかんと開いたままの口からは、一言も出てきやしなかった。
ふと顎に柔らかな指先が触れた。掬い上げるように優しく持ち上げられて、見惚れてしまっていた星の煌めき以上に目を奪われた。
「……宜しければ、あちらでゆっくり景色を楽しみませんか?」
万華鏡のように移りゆく星々の光が、柔らかく微笑む彼を照らしている。目鼻立ちの整った顔を、透き通るような白い肌を、薄闇の中でも淡い光を帯びた羽を、より魅力的に彩るように。
まるで、彼が星の世界の住人になってしまったみたい。とてもこの世のものとは思えない。白い睫毛に縁取られた瞳なんて、外で煌めき続けている星々の瞬きを映し込んだような。ずっと見ていたいくらいにキレイで。
「ふふ……」
形の良い唇が笑みをこぼす。それはそれは嬉しそうに、満足気に。
「誠に私の妻は愛らしいですね……いかがなさいますか? このまま、互いの瞳に映る星々を楽しみましょうか? それはそれで、大変有意義なお時間ではございますね。貴方様の美しく透き通った瞳を独り占めに出来るのですから」
「あ、ぅ……」
うっとりとした声が歌うように紡いでいく言葉の熱量に、鼓動ははしゃぎっぱなし。一気にお花が咲き乱れた頭もふわふわしてしまう。
それどころか今にも力が抜けてしまいそうな身体まで、足元まで浮ついていた。けれども、バランスを崩して星の川に膝をつくことはなく、バアルさんの長い腕に抱き支えてもらえた。
「……ありがと」
「……いえ」
嬉しいことばかりを囁かれて、すっかり俺は夢見心地になっていた。服越しでも逞しさが分かる分厚い胸元に、縋り付くようにもたれかかってしまっていた。
歩き辛いだろうに、バアルさんは一切そんな素振りは見せない。俺を抱き支えてくれたまま、ソファーへとエスコートしてくれる。
たおやかな手により恭しく、ふっくらと座り心地の良いソファーへと先に座らさせてもらった。彼がすぐ側に腰を下ろしたところで、俺は吸い寄せられるように抱きついていた。彼と一緒に寛ぐ時の定位置へと、その逞しい膝の上へとお邪魔させてもらったのだが。
「……ん、バアル……? どうか、したの?」
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