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【新婚旅行編】五日目:なにか、俺にリクエストとかって、ある?
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休憩中にバアルの術によって、そのつど清めてもらってはいた。俺が余韻に浸っている内に、身体もベッドもキレイさっぱり。たっぷり愛してもらった痕跡なんてシミの一つも、シワさえも微塵も残していないほどの徹底ぶりだった。
だからといって、お風呂に入らない訳には。毎日の楽しみの一つである、彼とのバスタイムを逃す訳にはいかない。切り出してみれば彼も同意見だったので、お風呂まで運んで行ってもらい今に至るということで。
ふと、心地いい温水と共に肌を撫でてくれていた手が止まる。
「お次は、御髪を洗わさせて頂きますね」
「……ん、いいよ、お願い」
「失礼致しますね」
もうすでに気持ちがよかった。でも、頭を洗ってもらっている時は、もっとというか、格別というか。
「は、ぁ……」
思わず溜め息が漏れてしまう。頭皮を撫でては揉んでいく指先の力加減が絶妙で、気を抜けばうとうとしてしまいそう。マッサージ師としてもやっていけそうな腕前だ。
甘い香りが漂う中、ますます夢見心地な気分が強くなってしまっていると「流しますね」とひと声かけられた。慌てて頷いてから重たくなっていた瞼をしっかりと瞑れば、温かいシャワーが髪と頭皮を撫でていく。
キレイに泡を洗い流している最中にも髪を、頭を優しく撫でてもらえてしまえば、極楽な心地よさに温かさまで加わって、ますます頭の中がふわふわしてきてしまう。
いつの間にやら俺の視界はゆらゆらと揺れていたらしかった。不意に段差に躓くように、頭がカクンッと深く落ちたところで気がついた。
自分の行動に自分で驚き、大げさに肩が跳ねたところで、俺を深く深くへと引きずり込もうとしていた眠気が少し遠のいていく。
「アオイ、大丈夫ですか?」
心配そうに尋ねてきたバアルは、すぐさまシャワーを止めた。後ろから俺の身体を支えるように抱きながら、顔を覗き込んでくる。
「うん、大丈夫。ごめんね、バアルに洗ってもらうのが気持ちよくて……うとうとしちゃってた」
「左様でございましたか……」
嬉しさ半分、申し訳無さ半分ってところだろうか。安心したように微笑んではいるものの、彼の凛々しい眉毛は片方下がったままだ。
優しい彼のことだ。俺も望んでのことなのに、負担をかけてるんじゃって思っていそう。
「ね、バアル……なにか、俺にリクエストとかって、ある?」
「リクエスト、でございますか?」
「うん……ほら、せっかくさ、いっぱいバアルに愛してもらえているし、この後も……もっと俺のこと、愛してくれるでしょ?」
不思議そうにしていた表情が、今度は喜び一色に染まっていく。落ち込みかけていた触角が跳ねるようにぴょこんと上がって、弾むようにふわふわと揺れ始める。
期待していた通りの反応に、俺まで嬉しくなっていた。
「ふふ……だからさ、お返しがしたいっていうか……いつもはしない体勢? とか……後、俺にして欲しいこととかさ……」
あふれんばかりの喜びは、俺の口を素直にした。照れ臭さなんてへっちゃらだと跳ね除けて、自分の気持ちをそのまま言葉にすることが出来ていた。
「なんか、ないかなって……俺の方が、いっぱい気持ちよくしてもらっちゃってるから……だから、俺もバアルのこと、喜ばせたいなって……」
「宜しいのでしょうか?」
「ふぇっ」
逞しい腕に後ろから抱きすくめられて、思わず変な声を出してしまっていた。しっとり濡れた素肌と、ほどよい弾力のある筋肉が密着してしまう。
今更なのに。散々、素肌と素肌で触れ合ってきていたのにドキドキしてしまう。ベッドの上か、浴室かってだけなのに。
「どのようなお願いをしても、宜しいので?」
だからといって、お風呂に入らない訳には。毎日の楽しみの一つである、彼とのバスタイムを逃す訳にはいかない。切り出してみれば彼も同意見だったので、お風呂まで運んで行ってもらい今に至るということで。
ふと、心地いい温水と共に肌を撫でてくれていた手が止まる。
「お次は、御髪を洗わさせて頂きますね」
「……ん、いいよ、お願い」
「失礼致しますね」
もうすでに気持ちがよかった。でも、頭を洗ってもらっている時は、もっとというか、格別というか。
「は、ぁ……」
思わず溜め息が漏れてしまう。頭皮を撫でては揉んでいく指先の力加減が絶妙で、気を抜けばうとうとしてしまいそう。マッサージ師としてもやっていけそうな腕前だ。
甘い香りが漂う中、ますます夢見心地な気分が強くなってしまっていると「流しますね」とひと声かけられた。慌てて頷いてから重たくなっていた瞼をしっかりと瞑れば、温かいシャワーが髪と頭皮を撫でていく。
キレイに泡を洗い流している最中にも髪を、頭を優しく撫でてもらえてしまえば、極楽な心地よさに温かさまで加わって、ますます頭の中がふわふわしてきてしまう。
いつの間にやら俺の視界はゆらゆらと揺れていたらしかった。不意に段差に躓くように、頭がカクンッと深く落ちたところで気がついた。
自分の行動に自分で驚き、大げさに肩が跳ねたところで、俺を深く深くへと引きずり込もうとしていた眠気が少し遠のいていく。
「アオイ、大丈夫ですか?」
心配そうに尋ねてきたバアルは、すぐさまシャワーを止めた。後ろから俺の身体を支えるように抱きながら、顔を覗き込んでくる。
「うん、大丈夫。ごめんね、バアルに洗ってもらうのが気持ちよくて……うとうとしちゃってた」
「左様でございましたか……」
嬉しさ半分、申し訳無さ半分ってところだろうか。安心したように微笑んではいるものの、彼の凛々しい眉毛は片方下がったままだ。
優しい彼のことだ。俺も望んでのことなのに、負担をかけてるんじゃって思っていそう。
「ね、バアル……なにか、俺にリクエストとかって、ある?」
「リクエスト、でございますか?」
「うん……ほら、せっかくさ、いっぱいバアルに愛してもらえているし、この後も……もっと俺のこと、愛してくれるでしょ?」
不思議そうにしていた表情が、今度は喜び一色に染まっていく。落ち込みかけていた触角が跳ねるようにぴょこんと上がって、弾むようにふわふわと揺れ始める。
期待していた通りの反応に、俺まで嬉しくなっていた。
「ふふ……だからさ、お返しがしたいっていうか……いつもはしない体勢? とか……後、俺にして欲しいこととかさ……」
あふれんばかりの喜びは、俺の口を素直にした。照れ臭さなんてへっちゃらだと跳ね除けて、自分の気持ちをそのまま言葉にすることが出来ていた。
「なんか、ないかなって……俺の方が、いっぱい気持ちよくしてもらっちゃってるから……だから、俺もバアルのこと、喜ばせたいなって……」
「宜しいのでしょうか?」
「ふぇっ」
逞しい腕に後ろから抱きすくめられて、思わず変な声を出してしまっていた。しっとり濡れた素肌と、ほどよい弾力のある筋肉が密着してしまう。
今更なのに。散々、素肌と素肌で触れ合ってきていたのにドキドキしてしまう。ベッドの上か、浴室かってだけなのに。
「どのようなお願いをしても、宜しいので?」
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