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【新婚旅行編】六日目:とある王様は、大好きな二人の無自覚ファンサに心を鷲掴まれる
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「あ、ありがとうございます。作り方を忘れないようにって、バアルさんの手元を映させてもらったお手本動画が……」
アオイ殿はそこまで言いかけてから、はたとバアルの方を見た。バアルは何も言わずに、ただ微笑んで小さく頷く。アオイ殿は安心したように琥珀色の瞳を細めて、グリムとクロウの方へと笑顔を向けた。
「動画があるので、お二人の投影石に送りますね」
「やった! ありがとうございます」
「ありがとうございます、助かります」
「いえ、それで、その……良かったらなんですけど……旅行から帰ったら、一緒に作りませんか?」
「っ……はい! ぜひ! ご一緒したいです!」
「お誘い頂きありがとうございます、楽しみにしていますね」
嬉々としたグリムとクロウからの返事に、アオイ殿の頬がますます赤くなっていく。嬉しそうに微笑んでいた瞳が、バアルを見て微笑んでから私の方へと向いた。
「ヨミ様も、サタン様とレタリーさんも、ご一緒にどうですか? お忙しいでしょうから、皆さんにお時間は合わせま」
「是非っ! このレタリー、優秀な秘書として、しっかりとヨミ様のスケジュール調整をしておきます故、ドラゴンに乗ったつもりでいて下さい!」
「ほっほっ、わしも喜んで参加させてもらうぞ。目に入れても痛くない貴殿らの為ならば、いくらでも時間を作ろう。のう、ヨミ」
「……ええ」
私としたことが、うっかり出遅れてしまっていた。レタリーと父上が、私の参加を代弁してくれたから良かったものの。
「ありがとうございます!」
「愛しい妻のお願いを聞いて下さり、誠にありがとうございます。まだまだお代わりはございますので、どうか皆様、沢山お召し上がりになられて下さいね」
幸いアオイ殿も、珍しいことにバアルも、何も思わなかったようだ。そっと手を繋ぎながら、額が触れ合いそうな距離で微笑み合う様は何とも仲睦まじく、愛らしい。
二人の幸せそうな姿を見ていると、ふとした瞬間に目頭が熱くなってしまう。今は、楽しい席である。父上が、皆が美味しそうな笑顔を浮かべているこの席では、涙など一番不要であるというのに。
堪らえようとすれば堪らえようとするほど、逆に込み上げてきそうになってしまう。そんな折だった。別の強い感情によって、頭を強烈にぶん殴られたのは。
「アオイ、はい、どうぞ」
「ふふ、ありがとう、バアル。いただきます」
透き通った羽をはためかせながら、サンドイッチを片手に微笑むバアル。バアルの手によって口元へと運ばれたサンドイッチを、満面の笑みで頬張るアオイ殿。
美味しいですか? 美味しいですっ、と微笑み合うところまでは、何度か見させてもらえたことが。だが、しかし。
「お次は、何をお召し上がりになられますか?」
「んー、どれにしようか迷っちゃうなぁ……って、次はバアルの番でしょう?」
「ああ、失礼……愛しい私の妻の笑顔が、大変お可愛らしかったものですから……つい、もう一度ご拝見させて頂きたく存じまして……」
「もー……また、嬉しいことばっかり言ってくれてさぁ……」
斯様に可愛らしい会話をしている間も、彼らの可愛らしい戯れ合いは止まらない。バアルがアオイ殿の頭を撫でたかと思えば、頬を寄せる。彼の小さな額や、手の甲へと次々にキスを落としていく。
アオイ殿は擽ったそうに微笑みながら、バアルの好きにさせていた。いや、寧ろ、もっとと強請るように自ら擦り寄っていって?
あれ? 貴殿ら、ファンサービスがエグくなってはおらぬか?
アオイ殿はそこまで言いかけてから、はたとバアルの方を見た。バアルは何も言わずに、ただ微笑んで小さく頷く。アオイ殿は安心したように琥珀色の瞳を細めて、グリムとクロウの方へと笑顔を向けた。
「動画があるので、お二人の投影石に送りますね」
「やった! ありがとうございます」
「ありがとうございます、助かります」
「いえ、それで、その……良かったらなんですけど……旅行から帰ったら、一緒に作りませんか?」
「っ……はい! ぜひ! ご一緒したいです!」
「お誘い頂きありがとうございます、楽しみにしていますね」
嬉々としたグリムとクロウからの返事に、アオイ殿の頬がますます赤くなっていく。嬉しそうに微笑んでいた瞳が、バアルを見て微笑んでから私の方へと向いた。
「ヨミ様も、サタン様とレタリーさんも、ご一緒にどうですか? お忙しいでしょうから、皆さんにお時間は合わせま」
「是非っ! このレタリー、優秀な秘書として、しっかりとヨミ様のスケジュール調整をしておきます故、ドラゴンに乗ったつもりでいて下さい!」
「ほっほっ、わしも喜んで参加させてもらうぞ。目に入れても痛くない貴殿らの為ならば、いくらでも時間を作ろう。のう、ヨミ」
「……ええ」
私としたことが、うっかり出遅れてしまっていた。レタリーと父上が、私の参加を代弁してくれたから良かったものの。
「ありがとうございます!」
「愛しい妻のお願いを聞いて下さり、誠にありがとうございます。まだまだお代わりはございますので、どうか皆様、沢山お召し上がりになられて下さいね」
幸いアオイ殿も、珍しいことにバアルも、何も思わなかったようだ。そっと手を繋ぎながら、額が触れ合いそうな距離で微笑み合う様は何とも仲睦まじく、愛らしい。
二人の幸せそうな姿を見ていると、ふとした瞬間に目頭が熱くなってしまう。今は、楽しい席である。父上が、皆が美味しそうな笑顔を浮かべているこの席では、涙など一番不要であるというのに。
堪らえようとすれば堪らえようとするほど、逆に込み上げてきそうになってしまう。そんな折だった。別の強い感情によって、頭を強烈にぶん殴られたのは。
「アオイ、はい、どうぞ」
「ふふ、ありがとう、バアル。いただきます」
透き通った羽をはためかせながら、サンドイッチを片手に微笑むバアル。バアルの手によって口元へと運ばれたサンドイッチを、満面の笑みで頬張るアオイ殿。
美味しいですか? 美味しいですっ、と微笑み合うところまでは、何度か見させてもらえたことが。だが、しかし。
「お次は、何をお召し上がりになられますか?」
「んー、どれにしようか迷っちゃうなぁ……って、次はバアルの番でしょう?」
「ああ、失礼……愛しい私の妻の笑顔が、大変お可愛らしかったものですから……つい、もう一度ご拝見させて頂きたく存じまして……」
「もー……また、嬉しいことばっかり言ってくれてさぁ……」
斯様に可愛らしい会話をしている間も、彼らの可愛らしい戯れ合いは止まらない。バアルがアオイ殿の頭を撫でたかと思えば、頬を寄せる。彼の小さな額や、手の甲へと次々にキスを落としていく。
アオイ殿は擽ったそうに微笑みながら、バアルの好きにさせていた。いや、寧ろ、もっとと強請るように自ら擦り寄っていって?
あれ? 貴殿ら、ファンサービスがエグくなってはおらぬか?
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