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【新婚旅行編】六日目:いざ、作戦会議!

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 背中越しに伝わってくる大好きな温もり。俺を後ろから抱き締めてくれている彼、バアルさんに見守られながら、手のひらの中にある投影石に魔力を込める。

 たちまち淡い光を帯びた石から、一筋の光が部屋の天井へと向かって斜めに伸びていく。そうして、プロジェクターよろしく俺達の目の前に淡く輝く画面を映し出した。

 大きな画面に表示されているその見た目は、現世でお世話になっていたインターネット上の検索サイトそのもの。使い方も一緒らしく、一番上に表示されている長方形の枠の中に、探したい物の名前や知りたい事柄を入力すればいいとのこと。

 今までは数字しか読めなかった俺だが、最近はバアル先生のお陰でこちらの文字にも強くなれた。今こそ、その成果を発揮する時だろう。

 目の前の画面とは別に、投影石が手元に表示してくれている文字パネル。淡く光っているそれらに触れながら、アルファベットと似ているけれども何かの図形っぽい、こちらの文字を入力していく。

「えーっと……み、な、み、エ、リ、ア……スペースを開けて……テーマ、パーク……っと」

 人差し指で一文字ずつタッチする度に、つい口に出してしまっていたけれども、どうにか。

 続いて、入力枠の隣にある虫眼鏡の形をしたアイコンをタップすれば、バッチリお目当てのサイトへと。テーマパークのマップやアトラクションにショー、レストランやお土産品などなど。テーマパークを最大限楽しむ為の情報を、余すことなく詳しく紹介してくれているという公式サイトへと辿り着くことが出来た。

「やった! バアルさんっ、早速、作戦会議を始めましょうっ!」

 上手く出来た達成感と共にテンションが上がった俺は、思わず身体ごと振り向いていた。すると待ち構えていたかのように、大きな手のひらに包み込まれるように頬をむにっと挟まれた。

 思わず落としかけていた投影石がふわりと浮かぶ。丁度、俺達が腰掛けているソファーの前へと、広いテーブルの上へと、ひとりでに浮かんでいって静かに着地した。

 オレンジの結晶の行き先を、つい目で追ってしまっていると促された。頬を優しく包んでくれている手のひらから、よしよしと撫で回された。まるで、こちらを向いて下さいと言わんばかりに。

 改めて向けた途端に視線が絡む。優しい眼差しが、ますますゆるりと細められていく。カッコいい目尻のシワが深くなっていく。

 ……なんて、嬉しそうに微笑んでくれるんだろう。

 隠す気もなく堂々とあふれさせてしまっている喜びのオーラにあてられて、俺の胸の高鳴りは最高潮。だというのに、ゆるゆると頬を撫でてもらえてしまたっもんだから、おまけに髪の毛も梳くように撫でてもらえてしまったもんだから。

 踊り狂っていた心音が、全身にまで響いていく。ご褒美という名の嬉しいスキンシップの数々に、すっかり夢中になってしまっていると、柔らかく微笑みかけてくれている唇から笑みがこぼれた。

「ふふ……して、議題は?」

「ふぇ……そっ、そりゃあ、当然っ、明日遊びに行くテーマパークの攻略順ですよ!」

 明日でかれこれ七日目を迎えることになる、俺とバアルさんの新婚旅行。出発前に大まかに、行きたいねってところは二人であらかじめ決めていたとはいえ、それら一つ一つでどう過ごすかなどは詳しくは決めてはいない。

 いや、バアルさんはプライベートビーチでの過ごし方や、買い物が楽しめそうな市場とか。ちゃんとご自身で計画を立ててくれていたり、調べておいてくれていたりはしていたんだけどさ。

 俺はというと、完全に行き当たりばったり。今回のテーマパークだって、この前のパーク同様に入場前にサラッと決めて臨むつもりだったのだ。ヨミ様達からの助言がなければ。

 それは、ついさっきのこと。二人っきりでは持て余してしまう、こちらの広くて高級感あふれるリビングに、まだほんのりと花のように甘い紅茶の香りが残っているくらいには、さっきのこと。
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