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【新婚旅行編】六日目:無機質なハズなのに、どこか楽しそうな音
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すでに擽ったい背中を、背骨をなぞっていくかのように指の腹で撫でてみたり。感触を楽しんでいるみたいに、指先で摘んでいる耳たぶをムニムニと揉んでみたり。
脇の下っていう定番ながらも反則的なところを擽ることはしなかったけど、さらに俺を笑い転げさせるには十分なほど。彼の言う、お返しとやらが終わる頃には、息も絶え絶えにされてしまっていた。
「は、ぁ……は、もー……バアル……」
「申し訳ございません……」
「ん、いいよ……楽しかったし……バアルも、楽しかったんでしょ?」
「ええ……」
申し訳なさそうに細められていた瞳が、ぱぁっと明るさを取り戻す。
ほんのりとシャンデリアの灯りだけが照らす室内は薄暗くて静かだ。お互いに黙ってしまうと、まだ整っていない俺の吐息しか聞こえない。
そんな現状が、いつかの甘い雰囲気を思い出させたのか。ただ単に、見つめ合っていた緑の眼差しにどうしようもなく惹かれたのか。
「は、ぁ……ん、ふ……」
自然と触れ合いたくなっていた。お互いに擦り寄るように唇を重ねて、身を寄せ合っていた。
別に、これだけでも幸せだ。愛する人と思う存分じゃれ合って、抱き締め合えて。
でも、つい込み上げてきてしまう。もっと彼とくっついていたいと、強く彼を感じていたいと願ってしまう。
「バアル……ん、んむ……」
それ以上は口にしなくても大丈夫だと、野暮なのだと。そう言わんばかりに彼は俺の望みを叶えてくれた。吐息を奪うように、俺を求めてきてくれた。
触れてくれた、ひと回り大きな手の動きはさっきまでとは全然違っていた。
変わらずに温かいし、手つきは優しいのだけれども。触れられたところから、どんどんと熱を持ってしまう。早くも淡い感覚が募ってしまっていた。
どちらのものかも分からない乱れた吐息に混じって聞こえてくる衣擦れの音。絶え間なく交わしてくれているキスの合間に聞こえてくる音は、無機質なハズなのにどこか楽しそうに聞こえる。
多分、一枚一枚丁寧に脱がせてくれている彼自身が楽しそうだから。
影を落とすように覆い被さって、俺をベッドの上の住人にしている彼。バアルさんは、俺の服を脱がす時には術を使うことはしない。着替えさせてくれる時には、大盤振る舞いで多用してくれているにも関わらずだ。
今もまた、髪を梳くように頭を撫でてくれながら、器用に俺の腰からズボンを下ろそうとしている。
鮮やかな緑の瞳は、うっとりと微笑んでいてご機嫌そう。針金のように細くて長い二本の触角も、そのくるっと反った先端をふわふわ揺らしている。
気持ちは分かる。ドキドキするもんな。俺だって、バアルさんの服を脱がさせてもらう時は、指先まで震えちゃうし。カッチリと着込んだ服の下から透き通るように白い素肌が、彫刻みたいに隆起した肉体美があらわになった時には、ついつい手を止めて見惚れちゃうし。
ぼんやりと思い浮かべてしまっていると、可愛らしい音を立てて口づけられた。まるで、私に集中して下さい、と言わんばかりに。心配してくれなくても俺の頭の中は、いっつもバアルさん一色なんだけどな。
とはいえ、そんなこと。術で思考を繋げるか、口にしなければ伝わりやしない。バアルさんみたく高度な術も使えなければ、口も塞がれてしまっている俺は行動で示すしか。柔らかな彼の唇を、そっと唇で食むことで伝えようと試みた。
どうやら伝わったらしい。ちょっぴり寂し気だった眼差しが、またゆるりと細められていく。カッコいい目尻のシワが深くなっていく。
脇の下っていう定番ながらも反則的なところを擽ることはしなかったけど、さらに俺を笑い転げさせるには十分なほど。彼の言う、お返しとやらが終わる頃には、息も絶え絶えにされてしまっていた。
「は、ぁ……は、もー……バアル……」
「申し訳ございません……」
「ん、いいよ……楽しかったし……バアルも、楽しかったんでしょ?」
「ええ……」
申し訳なさそうに細められていた瞳が、ぱぁっと明るさを取り戻す。
ほんのりとシャンデリアの灯りだけが照らす室内は薄暗くて静かだ。お互いに黙ってしまうと、まだ整っていない俺の吐息しか聞こえない。
そんな現状が、いつかの甘い雰囲気を思い出させたのか。ただ単に、見つめ合っていた緑の眼差しにどうしようもなく惹かれたのか。
「は、ぁ……ん、ふ……」
自然と触れ合いたくなっていた。お互いに擦り寄るように唇を重ねて、身を寄せ合っていた。
別に、これだけでも幸せだ。愛する人と思う存分じゃれ合って、抱き締め合えて。
でも、つい込み上げてきてしまう。もっと彼とくっついていたいと、強く彼を感じていたいと願ってしまう。
「バアル……ん、んむ……」
それ以上は口にしなくても大丈夫だと、野暮なのだと。そう言わんばかりに彼は俺の望みを叶えてくれた。吐息を奪うように、俺を求めてきてくれた。
触れてくれた、ひと回り大きな手の動きはさっきまでとは全然違っていた。
変わらずに温かいし、手つきは優しいのだけれども。触れられたところから、どんどんと熱を持ってしまう。早くも淡い感覚が募ってしまっていた。
どちらのものかも分からない乱れた吐息に混じって聞こえてくる衣擦れの音。絶え間なく交わしてくれているキスの合間に聞こえてくる音は、無機質なハズなのにどこか楽しそうに聞こえる。
多分、一枚一枚丁寧に脱がせてくれている彼自身が楽しそうだから。
影を落とすように覆い被さって、俺をベッドの上の住人にしている彼。バアルさんは、俺の服を脱がす時には術を使うことはしない。着替えさせてくれる時には、大盤振る舞いで多用してくれているにも関わらずだ。
今もまた、髪を梳くように頭を撫でてくれながら、器用に俺の腰からズボンを下ろそうとしている。
鮮やかな緑の瞳は、うっとりと微笑んでいてご機嫌そう。針金のように細くて長い二本の触角も、そのくるっと反った先端をふわふわ揺らしている。
気持ちは分かる。ドキドキするもんな。俺だって、バアルさんの服を脱がさせてもらう時は、指先まで震えちゃうし。カッチリと着込んだ服の下から透き通るように白い素肌が、彫刻みたいに隆起した肉体美があらわになった時には、ついつい手を止めて見惚れちゃうし。
ぼんやりと思い浮かべてしまっていると、可愛らしい音を立てて口づけられた。まるで、私に集中して下さい、と言わんばかりに。心配してくれなくても俺の頭の中は、いっつもバアルさん一色なんだけどな。
とはいえ、そんなこと。術で思考を繋げるか、口にしなければ伝わりやしない。バアルさんみたく高度な術も使えなければ、口も塞がれてしまっている俺は行動で示すしか。柔らかな彼の唇を、そっと唇で食むことで伝えようと試みた。
どうやら伝わったらしい。ちょっぴり寂し気だった眼差しが、またゆるりと細められていく。カッコいい目尻のシワが深くなっていく。
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