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【新婚旅行編】六日目:バアルーン様と……?
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「あ、バアルさんっ、城内ではお食事も出来るみたいですよ?」
「おや、それはぜひ、そちらでお食事してみたいですね」
「ふふ、じゃあ、お昼ごはんはこちらでいただきましょうか?」
「ええ、そう致しましょう」
レストランの予約も終えてからも城内見学にお土産コーナーなどなど。ちらりと見えた、サターン様とヨミーン様のグッズの数々に、バアルさんは早くも黒革の財布を出しそうな勢いだった。
バアルさんが喜んでくれると俺も嬉しい。ワクワクしてくれていると俺も楽しみで、今からウキウキしてしまう。
ただ、ずっと俺の頭の中には、気になって仕方がないことがあった。
再現度が素晴らしいお城の外観と内装に、サタン様とヨミ様そっくりのマスコットキャラクター。そう、ここまで条件が揃っているのだ。市場でお二人のグッズが売られていた時みたいに、もしかしたら。
もしかしたら、バアルさんをモチーフにしたマスコットキャラクターもいらっしゃるんじゃ?
「……あの、バアルさん」
「っ……アオイ、此方を」
「え……何です、か!?」
前のめりな姿勢の彼が指し示した先には、逞しくもスラリと高いシルエット。白い髪をオールバックに決めて、執事服を纏う品のある立ち姿は、俺が求めて止まない彼にそっくり。
くるりと先が反った二本の触覚の金属っぽい光沢から、背中の四枚の羽の美しい透き通り加減。さらには渋いお髭のふわふわさと、綺麗な緑の瞳の煌めきまでもがバッチリと再現されている。マスコットキャラクターらしく、多少のデフォルメはされてはいるが。
そして、その隣には、小さな。
「バアルーン様と……アオ、ニャンさま?」
何で、俺だけ、ニャン何だよ……っ!?
「そこは、アオイーンとかじゃないの!? 流れ的にさぁ!?」
テンションが大波乱になってしまっている。バアルーン様のパーフェクトなカッコよさと可愛さに急上昇。してからの、大困惑。
いやいや、ホントに何でニャンなんだよ? しかも、その余計なニャンに引っ張られているせいか、実際の俺には生えていないオレンジのネコ耳と尻尾まで生えちゃってるし? ホントにどうして。
「ああ、誠にお可愛らしい……」
「ふぇ……」
「私の愛しい妻の可愛らしさには及びませんが、その魅力を最大限に再現なされようとしていらっしゃる作り手の熱意を感じます……透き通った琥珀色の瞳に、コロコロと変化する愛らしい表情……感服致しました……」
「ひょわ……」
ホントに俺は現金な男だ。
愛する旦那様が喜んでくれているなら、いいやって。ネコ耳と尻尾が生えていようが、名前にニャンが付いていようが関係ないやって。むしろ、もっとやってくれって、あっさりと手のひらを返しちゃうんだから。
「アオニャン様にお会いする為には、城内にて新しく作られたアトラクションに参加するのが確実とのこと。此方も事前予約が出来るそうですので、しておいても宜しいでしょうか?」
「は、はひ……よろしぃです……」
ご機嫌そうに羽をはためかせながら、バアルが額に頬にと口づけてくれる。腰砕けになりかけている俺を抱き支えてくれながら、頭を撫でてくれながら、慣れた手つきでサクサクと予約をしてくれた。
こちらのアトラクションこそが、ヨミ様達が用意してくれていたサプライズなのだと、俺が気づいたのは少ししてから。バアルの腕の中で、たっぷりと甘やかされた後だった。
「おや、それはぜひ、そちらでお食事してみたいですね」
「ふふ、じゃあ、お昼ごはんはこちらでいただきましょうか?」
「ええ、そう致しましょう」
レストランの予約も終えてからも城内見学にお土産コーナーなどなど。ちらりと見えた、サターン様とヨミーン様のグッズの数々に、バアルさんは早くも黒革の財布を出しそうな勢いだった。
バアルさんが喜んでくれると俺も嬉しい。ワクワクしてくれていると俺も楽しみで、今からウキウキしてしまう。
ただ、ずっと俺の頭の中には、気になって仕方がないことがあった。
再現度が素晴らしいお城の外観と内装に、サタン様とヨミ様そっくりのマスコットキャラクター。そう、ここまで条件が揃っているのだ。市場でお二人のグッズが売られていた時みたいに、もしかしたら。
もしかしたら、バアルさんをモチーフにしたマスコットキャラクターもいらっしゃるんじゃ?
「……あの、バアルさん」
「っ……アオイ、此方を」
「え……何です、か!?」
前のめりな姿勢の彼が指し示した先には、逞しくもスラリと高いシルエット。白い髪をオールバックに決めて、執事服を纏う品のある立ち姿は、俺が求めて止まない彼にそっくり。
くるりと先が反った二本の触覚の金属っぽい光沢から、背中の四枚の羽の美しい透き通り加減。さらには渋いお髭のふわふわさと、綺麗な緑の瞳の煌めきまでもがバッチリと再現されている。マスコットキャラクターらしく、多少のデフォルメはされてはいるが。
そして、その隣には、小さな。
「バアルーン様と……アオ、ニャンさま?」
何で、俺だけ、ニャン何だよ……っ!?
「そこは、アオイーンとかじゃないの!? 流れ的にさぁ!?」
テンションが大波乱になってしまっている。バアルーン様のパーフェクトなカッコよさと可愛さに急上昇。してからの、大困惑。
いやいや、ホントに何でニャンなんだよ? しかも、その余計なニャンに引っ張られているせいか、実際の俺には生えていないオレンジのネコ耳と尻尾まで生えちゃってるし? ホントにどうして。
「ああ、誠にお可愛らしい……」
「ふぇ……」
「私の愛しい妻の可愛らしさには及びませんが、その魅力を最大限に再現なされようとしていらっしゃる作り手の熱意を感じます……透き通った琥珀色の瞳に、コロコロと変化する愛らしい表情……感服致しました……」
「ひょわ……」
ホントに俺は現金な男だ。
愛する旦那様が喜んでくれているなら、いいやって。ネコ耳と尻尾が生えていようが、名前にニャンが付いていようが関係ないやって。むしろ、もっとやってくれって、あっさりと手のひらを返しちゃうんだから。
「アオニャン様にお会いする為には、城内にて新しく作られたアトラクションに参加するのが確実とのこと。此方も事前予約が出来るそうですので、しておいても宜しいでしょうか?」
「は、はひ……よろしぃです……」
ご機嫌そうに羽をはためかせながら、バアルが額に頬にと口づけてくれる。腰砕けになりかけている俺を抱き支えてくれながら、頭を撫でてくれながら、慣れた手つきでサクサクと予約をしてくれた。
こちらのアトラクションこそが、ヨミ様達が用意してくれていたサプライズなのだと、俺が気づいたのは少ししてから。バアルの腕の中で、たっぷりと甘やかされた後だった。
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