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【新婚旅行編】四日目:初めまして、アオイ、バアルの最愛よ
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会って欲しい方がいる、とドラゴンさん達からお願いされたのは、俺の顔の熱が収まってから。勿論断る理由なんて。むしろ、こちらからお願いしたくらいだ。
そうしてドラゴンさん達に道案内してもらいながら、水晶が至るところに生えている道をせっせと進んで行けば、辿り着いた岩場にもドラゴンさんが居た。凸凹していて歩きにくい岩場の中央の盛り上がった台地の上に、威風堂々と座っていた。
水晶で出来た台地の高さは、パークの真ん中にそびえ立つ水晶の山よりは劣ってしまう。が、盛り上がったそこへと、ドラゴンさんの元へと辿り着く為には飛び出た水晶を掴みながらクライミングするか、バアルさんに抱き抱えてもらって飛んでもらわなければならないだろう。
自然と見上げる形になる、広い台地はまるでドラゴンさんの身体に合わせてあつらえられた玉座のよう。全部が青く透き通った水晶だから、氷にも見えちゃいそうだけど。
ぽかんと口を開けたまま不躾な視線を送ってしまっていると、ドラゴンさんが真っ赤な瞳を俺達の方へ向けた。
艶めく鉱石のような、見ただけで硬そうだと感じる黒い鱗に覆われたその巨体は、遠目から見ても大きいなんてもんじゃない。俺達と同行している一番大きなドラゴンさんが可愛く見えてしまうレベル。彼にとっては俺なんて、米粒くらいにしか見えていないかもしれない。
というか、あのドラゴンさん。何処かで見たような。
「あ、あの看板の」
「ええ、恐らく。パークの看板は、彼をモデルにして作られたのでしょうね」
やっぱり。あの黒い身体に真っ赤な瞳。ヨミ様やサタン様を思わせるカラーリングをした彼こそが、迫力満点だったパークの看板の主役。実際にモデルさんが居たとは。
ドラゴンさんが台地から俺達の元へと降りてくる。広げられた巨大な黒の翼は夕焼けの空を覆い尽くし、夜空へと変えてしまわんばかり。軽くはためくだけで巻き起こる強風に、目を開けていられなかったのは一瞬だった。
バアルさんが庇うように抱き締めてくれて、周りのドラゴンさん達が風を防ぐ壁になってくれた。
バアルさんは術も施してくれたんだと思う。続けて起こった強烈な向かい風が俺の頬を叩こうとしても、不思議な温かさが俺の全身を包んで守ってくれた。目も開けていられたんだ。
『済まない、驚かせてしまっただろうか』
頭の中に落ち着いた声が響く。申し訳無さそうな声の主は言わずもがな。
『初めまして、アオイ。我らが神の新たな愛し子であり、バアルの最愛よ。来てくれてありがとう、お会い出来て光栄だ』
俺達の前へと降り立っていた黒いドラゴンさんが、その太い首を地につかんばかりに下げてきた。
少し離れているにも関わらず、ドラゴンさんが静かに呼吸するだけで前髪がぶわりと揺れる。大きな赤い瞳には、俺と俺を抱き支えるバアルさんの姿が映っていた。
「こちらこそ、会えて嬉しいです。初めまして、えっと……」
『ヨミだ。こちらで生まれた際にサタンから頂いた。その時はまだ、ヨミはこんなにも小さかったがな』
瞳を細めながらドラゴンさんが爪を一本立てた。俺達でいう人差し指なのだろう。懐かしそうに笑いながら続けて本当の名前も言ってくれたけど、イド君の時のようにその部分だけは聞き取れなかった。
「すみません、ヨミさん……折角教えてくれたのに」
『いや、構わぬよ。どちらも比べることの出来ない、私の大切な名だからな』
頭の中で響いていた快活な笑いがふと止む。ところで、と切り出してきた声は優しくも威厳に満ちた声だった。
『貴方方にお願いがある。どうか、立ち会って頂きたいのだ。私達の新しい家族の誕生を』
そうしてドラゴンさん達に道案内してもらいながら、水晶が至るところに生えている道をせっせと進んで行けば、辿り着いた岩場にもドラゴンさんが居た。凸凹していて歩きにくい岩場の中央の盛り上がった台地の上に、威風堂々と座っていた。
水晶で出来た台地の高さは、パークの真ん中にそびえ立つ水晶の山よりは劣ってしまう。が、盛り上がったそこへと、ドラゴンさんの元へと辿り着く為には飛び出た水晶を掴みながらクライミングするか、バアルさんに抱き抱えてもらって飛んでもらわなければならないだろう。
自然と見上げる形になる、広い台地はまるでドラゴンさんの身体に合わせてあつらえられた玉座のよう。全部が青く透き通った水晶だから、氷にも見えちゃいそうだけど。
ぽかんと口を開けたまま不躾な視線を送ってしまっていると、ドラゴンさんが真っ赤な瞳を俺達の方へ向けた。
艶めく鉱石のような、見ただけで硬そうだと感じる黒い鱗に覆われたその巨体は、遠目から見ても大きいなんてもんじゃない。俺達と同行している一番大きなドラゴンさんが可愛く見えてしまうレベル。彼にとっては俺なんて、米粒くらいにしか見えていないかもしれない。
というか、あのドラゴンさん。何処かで見たような。
「あ、あの看板の」
「ええ、恐らく。パークの看板は、彼をモデルにして作られたのでしょうね」
やっぱり。あの黒い身体に真っ赤な瞳。ヨミ様やサタン様を思わせるカラーリングをした彼こそが、迫力満点だったパークの看板の主役。実際にモデルさんが居たとは。
ドラゴンさんが台地から俺達の元へと降りてくる。広げられた巨大な黒の翼は夕焼けの空を覆い尽くし、夜空へと変えてしまわんばかり。軽くはためくだけで巻き起こる強風に、目を開けていられなかったのは一瞬だった。
バアルさんが庇うように抱き締めてくれて、周りのドラゴンさん達が風を防ぐ壁になってくれた。
バアルさんは術も施してくれたんだと思う。続けて起こった強烈な向かい風が俺の頬を叩こうとしても、不思議な温かさが俺の全身を包んで守ってくれた。目も開けていられたんだ。
『済まない、驚かせてしまっただろうか』
頭の中に落ち着いた声が響く。申し訳無さそうな声の主は言わずもがな。
『初めまして、アオイ。我らが神の新たな愛し子であり、バアルの最愛よ。来てくれてありがとう、お会い出来て光栄だ』
俺達の前へと降り立っていた黒いドラゴンさんが、その太い首を地につかんばかりに下げてきた。
少し離れているにも関わらず、ドラゴンさんが静かに呼吸するだけで前髪がぶわりと揺れる。大きな赤い瞳には、俺と俺を抱き支えるバアルさんの姿が映っていた。
「こちらこそ、会えて嬉しいです。初めまして、えっと……」
『ヨミだ。こちらで生まれた際にサタンから頂いた。その時はまだ、ヨミはこんなにも小さかったがな』
瞳を細めながらドラゴンさんが爪を一本立てた。俺達でいう人差し指なのだろう。懐かしそうに笑いながら続けて本当の名前も言ってくれたけど、イド君の時のようにその部分だけは聞き取れなかった。
「すみません、ヨミさん……折角教えてくれたのに」
『いや、構わぬよ。どちらも比べることの出来ない、私の大切な名だからな』
頭の中で響いていた快活な笑いがふと止む。ところで、と切り出してきた声は優しくも威厳に満ちた声だった。
『貴方方にお願いがある。どうか、立ち会って頂きたいのだ。私達の新しい家族の誕生を』
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