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【新婚旅行編】四日目:打って変わって出会いの連続
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好きなだけ撫でさせてくれたケルベロスとの出会いの後、俺達の状況は一変した。
「バアルさん、もしかして、この子は……」
「ペガサスですね。こちらも幼体のようでございますが……」
お次の出会いは続けざまに。まだ、さして花畑を離れていないのに訪れた。上空から突然、小型犬サイズの白馬が舞い降りてきたのだ。これまた白鳥のように真っ白だけれども、小鳥のように小さな羽をはためかせながら。
「ぷるるるっ」
小さな鼻を鳴らしながら俺の方へと近寄ろうとして、ぴたりと止まった。丸いエメラルドグリーンの瞳がバアルさんをじっと見つめている。
まだ術士としてペーペーな俺には、彼または彼女の言わんとせんことは分からない。でも、今回は何となく察することが出来た。多分、これ、バアルさんに許可を求めているんじゃ?
「バアル……」
「アオイにご挨拶をしたい、と……私の妻の可憐なお鼻や愛らしい頬に擦り寄りたいようですが……いかがなさいますか?」
「ふぇっ……お、俺は構いませんけど……?」
バアルさんは構わないでいてくれるんじゃ? わざわざ俺のこと……私の妻って強調したくらいだし。
顔が一気に熱を持ち、頭の中にお花が咲き乱れていく。地に足はついているのに、踏みしめている感覚が曖昧になったみたい。ふわふわとした感覚のまま、バアルさんに委ねるようにくっついてしまっていた。
すぐさま肩を抱いてくれて、支えてくれた彼のツンツンしていた雰囲気が和らいでいく。
「……控えめにお願い致しますね。私の妻は繊細でいらっしゃいます故」
「ひひんっ」
ぱっちりした睫毛も真っ白なペガサスは彼女だったらしい。バアルさんが教えてくれた。俺と鼻先をくっつけて挨拶をして、頬に擦り寄ってきた背をしばらく撫でさせてもらって、バアルさんにも挨拶をしてから彼女は再び青空へと舞い上がっていった。
見送る際に仰ぎ見たところ、彼女のご家族だろうペガサスが四頭、上空から俺達を見下ろしていた。普通の馬よりも大きかった二頭がご両親、子馬サイズの二頭がご兄弟だったみたい。
「遊んで頂きありがとうございます、お転婆な娘がお世話になりました、とのことです」
晴れ渡る青を駆けていく彼らを見送った後に、そうバアルさんが伝えてくれたんだ。
現世育ちな俺にとっては一般的な生き物達のように、彼らも人並外れた感覚を持っていることだろう。それによって分かるのかもしれない。俺達と接触した証拠みたいなのが。
でなければ、説明がつかない。この、入れ食いのような状況が。
「ふふ、可愛いなぁ……よしよし、いい子、いい子……」
ペガサス一家と別れてからほどなくして、俺達に近寄ってきてくれたのはグリフォン。上半身が鷹、下半身はライオンという、想像上の生き物の中ではメジャーな、バアルさんにこのパークの存在を教えてもらった時から会ってみたいと思っていた内の一頭だ。
この子もバアルさん曰く、まだ子供らしい。今のところ、その体長は大きめのネコさんくらいだが、その内ライオンサイズくらいには大きくなるんだろうか。
「くるるる……」
結構、好き勝手に撫でさせてもらっているのに、グリフォンはイヤそうな顔もしないし、離れてもいかない。それどころか、もっともっとと強請るように手のひらに擦り寄ってきてくれる。頭の羽根を立たせながら、長いライオンの尻尾をぱたぱたと振っている。
彼との出会いは小さな森の方へと向かおうとした時。まるで出迎えに来たと言わんばかりに、その森の木々の合間から現れ、俺達の方へと一直線に飛んできたのだ。
彼もまた寸前で止まり、バアルさんに確認を取るようにじっと見つめていた。もしかして、姿を見せてくれた時からバアルさんとは念話でもしていたのだろうか。してそうだなぁ。俺が分かんないってだけで。
グリフォンとも少しの触れ合いの後に別れた。大きな嘴はすべすべで、羽根はふわふわ。ライオンの毛は使い古したタオルみたいにごわごわしていたけれど、お日様の匂いがした。
「どの子も、すっごく懐っこくて大人しいですね」
「バアルさん、もしかして、この子は……」
「ペガサスですね。こちらも幼体のようでございますが……」
お次の出会いは続けざまに。まだ、さして花畑を離れていないのに訪れた。上空から突然、小型犬サイズの白馬が舞い降りてきたのだ。これまた白鳥のように真っ白だけれども、小鳥のように小さな羽をはためかせながら。
「ぷるるるっ」
小さな鼻を鳴らしながら俺の方へと近寄ろうとして、ぴたりと止まった。丸いエメラルドグリーンの瞳がバアルさんをじっと見つめている。
まだ術士としてペーペーな俺には、彼または彼女の言わんとせんことは分からない。でも、今回は何となく察することが出来た。多分、これ、バアルさんに許可を求めているんじゃ?
「バアル……」
「アオイにご挨拶をしたい、と……私の妻の可憐なお鼻や愛らしい頬に擦り寄りたいようですが……いかがなさいますか?」
「ふぇっ……お、俺は構いませんけど……?」
バアルさんは構わないでいてくれるんじゃ? わざわざ俺のこと……私の妻って強調したくらいだし。
顔が一気に熱を持ち、頭の中にお花が咲き乱れていく。地に足はついているのに、踏みしめている感覚が曖昧になったみたい。ふわふわとした感覚のまま、バアルさんに委ねるようにくっついてしまっていた。
すぐさま肩を抱いてくれて、支えてくれた彼のツンツンしていた雰囲気が和らいでいく。
「……控えめにお願い致しますね。私の妻は繊細でいらっしゃいます故」
「ひひんっ」
ぱっちりした睫毛も真っ白なペガサスは彼女だったらしい。バアルさんが教えてくれた。俺と鼻先をくっつけて挨拶をして、頬に擦り寄ってきた背をしばらく撫でさせてもらって、バアルさんにも挨拶をしてから彼女は再び青空へと舞い上がっていった。
見送る際に仰ぎ見たところ、彼女のご家族だろうペガサスが四頭、上空から俺達を見下ろしていた。普通の馬よりも大きかった二頭がご両親、子馬サイズの二頭がご兄弟だったみたい。
「遊んで頂きありがとうございます、お転婆な娘がお世話になりました、とのことです」
晴れ渡る青を駆けていく彼らを見送った後に、そうバアルさんが伝えてくれたんだ。
現世育ちな俺にとっては一般的な生き物達のように、彼らも人並外れた感覚を持っていることだろう。それによって分かるのかもしれない。俺達と接触した証拠みたいなのが。
でなければ、説明がつかない。この、入れ食いのような状況が。
「ふふ、可愛いなぁ……よしよし、いい子、いい子……」
ペガサス一家と別れてからほどなくして、俺達に近寄ってきてくれたのはグリフォン。上半身が鷹、下半身はライオンという、想像上の生き物の中ではメジャーな、バアルさんにこのパークの存在を教えてもらった時から会ってみたいと思っていた内の一頭だ。
この子もバアルさん曰く、まだ子供らしい。今のところ、その体長は大きめのネコさんくらいだが、その内ライオンサイズくらいには大きくなるんだろうか。
「くるるる……」
結構、好き勝手に撫でさせてもらっているのに、グリフォンはイヤそうな顔もしないし、離れてもいかない。それどころか、もっともっとと強請るように手のひらに擦り寄ってきてくれる。頭の羽根を立たせながら、長いライオンの尻尾をぱたぱたと振っている。
彼との出会いは小さな森の方へと向かおうとした時。まるで出迎えに来たと言わんばかりに、その森の木々の合間から現れ、俺達の方へと一直線に飛んできたのだ。
彼もまた寸前で止まり、バアルさんに確認を取るようにじっと見つめていた。もしかして、姿を見せてくれた時からバアルさんとは念話でもしていたのだろうか。してそうだなぁ。俺が分かんないってだけで。
グリフォンとも少しの触れ合いの後に別れた。大きな嘴はすべすべで、羽根はふわふわ。ライオンの毛は使い古したタオルみたいにごわごわしていたけれど、お日様の匂いがした。
「どの子も、すっごく懐っこくて大人しいですね」
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